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新成人をサポートする「振り袖バンク」を立ち上げたい!

大人にとって成人式は対岸の火事?

世の中には様々な理由で成人式に参加したいけれど、できない多くの新成人がいる事を皆さんご存知でしょうか?

コロナ以前、「荒れる成人式」がマスコミに取り沙汰される事が多かった記憶があります。
ド派手な和装で「荒れる」新成人達を煽るマスコミ、その報道を見て彼らを冷笑するのが、毎年の恒例行事となり、それが成人式の象徴となっていたような印象があります。

中高を通して友人があまりできなかったり、大学の試験を優先したり、そもそも式典に興味がないなどの理由から成人式へ行かなかった人は私の周りに数多くいます。

そんな理由からこれまで私は、
「出席するのも自由、欠席するのも自由でいいんじゃない?」と対岸の火事程度の軽い気持ちで成人式をとらえていました。

そんなある日、私の仕事をいつもお手伝いしてくれている20歳の女子学生から、
「年明けの成人式に出席して、友達に会いたいけれどそれが出来ないんです」と相談を受けました。

よくよく彼女の話を聞いてみると、家庭の事情で振り袖を用意することが出来ないとのことでした。
行政からの式典招待状に服装の縛りはありません。しかし、9割以上の女性が振り袖を着用する中で、平服で参加するには強い意志が必要で、それを持てというのはあまりにも酷な話だなと感じました。

結局彼女は、1月9日に行われた成人式参加を断念し、その日はアルバイト先に向かいました。しかし、振り袖姿の新成人とすれ違ったり、旧友のSNSを見て、寂しさや羨ましさを感じずにはいられなかったと正直に打ち明けてくれました。

新成人に祝辞を述べることを放棄した大人たち

現在、新成人に祝辞を述べるのは天皇陛下や総理大臣、自治体の長となっています。
しかし本来は、慣例的な行事としてではなく職場や地域、家族、親族など身近な大人すべてが、
「20歳になったね。おめでとう!」と祝辞を述べる立場にあります。

両親や祖父母、歳上の兄弟姉妹、近所のおじちゃん、おばちゃんなどからお祝いの言葉をもらったり、一緒にご飯を食べたり、写真を撮ったり、それが新成人を祝うということです。

行政が成人式を主催してくれることで、いつしか周囲の大人達は、それに甘えて新成人をお祝いすることを放棄し、彼らの成長を心の底から喜び、讃える作業をないがしろにして来てしまったと知りました。

そんな大切な日にバイトに向かい、旧友達のインスタを見ながらひとりで夕食を食べた彼女の気持ちを察すると、成人式を軽く考えていた自分が情けなくなりました。

身近な子どもが新成人となる際、私には自分の言葉で彼らに祝辞を述べる責任があったのだと強く感じました。

誰もが20歳まで生きられるわけではない

当たり前のように毎年行われる成人式ですが、
自分の小学校、中学校、高校時代の友人の何人かは、交通事故、病死、、医療事故、自死などの理由で20歳を迎える事が出来ずにこの世を去りました。

私には子どもが2人いますが、彼らの同級生や
近所で遊んでいた子の中にも、白血病などで若くしてこの世を去ってしまった子がいます。これほど医療が発達している現代でも、逆らえない運命はあるのだとつくづく感じます。

日本の成人式は、敗戦間もない1946年(昭和21年)に初めて実施されました。
戦争により多くの若い命を失い、虚脱の状態にあった当時、次代を担う青年達に明るい希望を持たせて、励ましていこうと埼玉県蕨町の町内会が、国民学校の校庭にテントを設置してお祝いしたのが成人式の始まりです。

しかし、最近では成人式の主旨を「20歳まで親に育ててもらったことを感謝する日」ととらえる人も多く、20歳まで生き永らえた(生き延びた)生命そのものの尊さをシンプルにお祝いすることから遠のいてしまった感もあります。

振り袖という高いハードル

話は前に戻りますが、現在成人式に参加するには、振り袖などの晴れ着が高いハードルになっている事を今回のケースから知りました。

どのくらい高いハードルかと言うと、ちなみに振り袖を購入する場合は、50万円〜150万円、レンタルでも数万円〜30万円くらいの費用がかかります。着付けやヘアメイクは別料金となると、保護者の援助なくしては、そこに踏み切れない事情が見えてきました。
スーツなどの洋装の場合は、もう少し費用は抑えられるものの、靴やバッグまで含めると、量販店で購入したとしても5〜6万円弱の出費は覚悟しなければならないことがわかりました。

先日、募金活動を行ったケアリーバーの場合、施設職員が振り袖を知り合いから調達し、自腹で着付けやヘアメイクを行っていました。
また、川崎市で就労支援などを行なっている団体職員の方も、自分の振り袖を新成人の方に無償でお貸しした経緯があるとお聞きしました。奨学金で大学に通う学生の中には、成人式の衣装を親の収入に頼る事が難しく、出席したいが出来ないという事情を抱えている人も多いそうです。

本当の自由とは「選べるということ」

さて、ここで成人式の参加について原点に戻ってもう一度考えてみたいと思います。成人を迎えた本人が式典参加をするか否かは、やはり本人に選択権があると私は考えます。

仮に振り袖を親が準備する余裕があったとしても、式典に参加したくなければ「行かない」選択をする自由が新成人にはあります。また、成人式には参加したいけれど、振り袖はイヤだという場合、自分が1番しっくりくる服装で出席すればいいのだと思います。

一方、行きたいけれど、振り袖がハードルになる場合、出席を「断念」せざるを得ないのはとても気の毒が気がします。

過去には、自治体がさまざまな理由で振り袖禁止を掲げた地域もありましたが、自治体が制約を設けるのは少し行き過ぎな感じもします。

成人式に行ってもいいし、行かなくてもいい。行きたい人は、振り袖を着てもいいし、スーツを着てもいいし、普段着でもいい。
男性が振り袖を着るのもアリだし、女性が羽織り袴もアリ。
友達に会いに行くために参加するのも、特に会いたい友達がいないなら参加しないでいい。
真の自由とは、選ぶことができるということではないかと思います。

「振り袖バンク」に大きな反響

ネットを検索すると、成人式の振り袖問題についてたくさんの意見が揚げられています。
特に目につくのは、
「振り袖を着たいが、親が用意してくれる気配がない」
という意見です。

そこで「振り袖バンク」という名前で、振り袖を必要としている新成人と、着なくなった振り袖を無償でお貸ししたいという方をマッチングするサービスがあればいいのにと思いました。

思い切ってSNSで主旨や協力者を呼びかけたところ、たくさんの方々から振り袖の無償貸与のご連絡をいただきました。
また、着付けの先生やヘアメイクアーティスト、スチール撮影のカメラマン、動画撮影のアーティストの方などからご協力の申し出をいただきました。

そこで「振り袖バンク」を利用した第一回目成人式を2023年4月23日(日)に行いたいと思います。撮影は、カメラマン、ヘアメイクさんのみの参加となりますが、撮影終了後、溝の口たまい本店で今年1月成人式を行えなかったひとりの新成人をお祝いする会を開催する予定です。

ご賛同される方、フジマルまで連絡をください。飲んで飲んで飲みまくって、彼女の成人式を一緒にお祝いしましょう!
(プライバシーを考慮し、彼女の名前や顔写真は伏せてあります)。



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