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《通常の90代も秋過ごす》ボストン・ポップス・オーケストラのコンサートとル・テリエの小説「異常【アノマリー】」について

コンサートの感想の前に、

最近、フランス人作家、エルヴェ・ル・テリエによる著書(加藤かおりさんの訳)2020年ゴンクール賞受賞作「異常【アノマリー】」という小説を読みました。

11人の様々なタイプの人物が、飛行機の乱気流に巻き込まれ、異常な事態におちいるのですが、さて、もし、自分がこのような事態に遭遇したら、11人のどの行動となるだろう?

そのような視点で読みました。作者のル・テリエは、1957年パリ生まれの作家、ジャーナリスト、数学者、言語学者です。

コンサートについて、

2023年10月6日(金)19時、

東京国際フォーラム ホールAで開催された「ボストン・ポップス・オン・ツアー 2023 日本公演 ジョン・ウィリアムズ・トリビュート」へ行ってきました。

ホールAの観客数は約5千人、ステージ上には配線が張りめぐらされ、天井には大型ラインアレイスピーカー、壁には巨大スクリーン、指揮者の譜面台にもモニター画面というように、クラシックの生演奏によるコンサートとはいささかおもむきが異なる光景です。

オーケストラの歴史は、1881年にクラシック音楽を演奏するボストン交響楽団が設立され、そこへ気軽な演奏会用の楽団を併設し、1900年頃から「ボストン・ポップス・オーケストラ」として、ジャズ、映画音楽など様々なジャンルの曲を演奏することになったようです。

会場ではスポットライトを浴びた指揮者のキース・ロックハートがマイクを持ち観客へ「ニジュウネンブリ、タイヘン、ウレシク、オモッテマス!」と、語りかけます。

そう、前回の日本公演は20年前で、そのときの指揮者はジョン・ウィリアムズ。

そして、今回のコンサートはジョン・ウィリアムズ・トリビュートということでジョン・ウィリアムズの作品が中心となりますが、本人は91歳という高齢のため来日せずインタビュー映像での出演です。

そのジョン・ウィリアムズはニューヨーク出身の現役作曲家、これまでに「スター・ウォーズ」をはじめ数々の映画音楽を作曲、91歳となる現在でも毎日1時間の散歩を日課とし、午前中を中心に作曲の作業を週に6日続けているそうです。

プログラム前半は「スーパーマン/ジョーズ/タワーリング・インフェルノ/未知との遭遇」を、映画の名場面に合わせて演奏し、

中盤はゲストのヴァイオリニスト服部百音もねさんとボストンポップスの共演。この機会に「日本の曲をやろう!」と選曲されたのが百音さんの父、服部隆之たかゆきさんが作曲した「Les enfants de la Terra〜地球の子どもたち〜」という曲で、困難に立ち向かい、あらゆる方々と和合してゆきたいという思いが込められての演奏でした。

後半は「インディ・ジョーンズ/イーストウィックの魔女たち/スター・ウォーズ」という、これまたおなじみの曲が映画の名場面に合わせて演奏されます。

フルオーケストラによるボストン・ポップスの演奏は、一糸乱れぬ正確さの上に拡声されて迫力が増し、特に、生演奏ではよく聴き取れないあたりの低音もクリアでお腹へ響くような音量となり、ステージサイドのスクリーンに映し出される場面と共にすべての曲を楽しみました。

 そういえば、ジョン・ウィリアムズは「スター・ウォーズ」9作品に関するインタビューの中で「ヨーダの考えが美しい」と言ってましたが、

私にとっては、インタビューに答えるジョン・ウィリアムズこそ、容姿ではなく人格者という意味でヨーダのように見えます。

服部百音さんが和を重視したり、ジョン・ウィリアムズがヨーダみたいだったりすることは、世の中のウェルビーイング(よい状態であること)に貢献していると思いますし、いろいろなリスクを想定して万全でいらっしゃるでしょうが、

私のような者においては、この先どんな危機が待ち受けているか、あらかじめ知ることはできません。もしかすると、異常【アノマリー】みたいなことが起こるかもしれませんし・・・。

そのような予知できない危機に対応して、どう乗り越えてゆくか「危機対応学」として、研究している方々がいます。

そのエッセイによると、危機の発生メカニズムは「ABCXモデル」で説明できるそうで、危機につながるストレッサーが ”A”、それに対応するための資源が ”B”、その認識が ”C”、危機が ”X” となります。

”A”の例:家族構成の変化、事件、事故など
”B”の例:人とのつながり、財産など
”C”の例:”A”に対する感情、満足度など

”A”が発生したときに、”B”が充分ではなく、”C”を受け入れられない場合に、”X”という危機が起こる、ということ。

逆に、どんな”A”が起きたとしても、備えとして”B”をたっぷり準備して、ゆったり構えた”C”の心持ちでいると、危機には至らない、と、こうありたいものです。

最後に、

そういえば、11人の中には、
ミュージシャンがいて、
異常事態を楽しん
でいたっけ、
見習い
たい




な〜



以上【アノマリー】でした。



読んでいただき、ありがとうございます。

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