[カバー漫才] 和牛がキュウの名作漫才「干支」をカバーしたら…

川西賢志郎:「干支」ってあるじゃないですか?

水田信二:どっちの?

川:どっちの!? え?二択?

水:「えと」と言われたら,あれかあれですよねぇ

川:「あれかあれ」って,あれしかないやろ「えと」は

水:どっち?

川:「どっち」って…,動物のほうや

水:あ〜動物のほうの干支ね

川:「動物のほう」って…俺はそれしか思いついてないけど…。もう一つのほうの「えと」ってなんなん?

水:いやでも…動物のほうの干支の話やろ

川:そうやけど…

水:それやったらその話したらええやん。関係ない話するとややこしくなるから

川:まぁそうやけど…

水:で,何?干支がどうしたって?

川:いやあの〜,水田くんは干支全部言えるのかな〜と思って…

水:え?賢志郎どうした?なんで急にそんなこと聞こう思ったん?年末年始でもないのに。大丈夫かお前

川:大丈夫や。っていうか,そういう漫才や。「干支を全部言えるか」っていうネタや。なんで俺ネタの説明せなあかんねん

水:干支は全部言えますよ。一般常識やから

川:まぁまぁそうなんやけど,以外に言えないやつが大人に混ざってたりしますからね〜

水:なんで疑ってんねん。おらんてそんな大人。大人ならみんな言えるから

川:ほんなら言うてみ?

水:今?

川:今や。なんで漫才終わってからお前が干支言うてんの聞かなあかんねん

水:人前やから

川:人前で言えないことやないやろ,干支は

水:あ〜そっか。動物のほうの干支ね

川:動物やないほうの「えと」って人前では言えないようなもんなんか

水:動物のほうの干支は,ちゃんと言い方ありますからね

川:言い方覚えてんのね

水:覚えてますよ

川:ほんなら言うてみて

水:ねうし

川:え?

水:とらう たつみ うまひ つじさ るとり いぬい

川:……。愛媛ではそういう言い方なん?

水:え?何が?全国共通やろ,言い方は

川:それやと,7匹しかおらんやん

水:え?7匹しかいない!? 干支って十二支やろ?

川:そうや。12匹や

水:言い方は合ってるやろ?

川:「言い方」というか,尺は俺が知ってんのと同じやったけど…

水:尺合ってんなら何一つ間違えてないってことやないか

川:そうやな。何か飛ばしたり抜かしたりはしていないってことやな

水:それなのに,初期設定の12匹から5匹も減って現在7匹しかおらんって…,どういうことやねん

川:こっちが聞きたいわ。区切るとこ間違ってない?

水:区切るとこ?あ〜あれちょうど三文字で割り切れるから,「三文字で区切る」って思い込んでたけど,そうとは限らないってこと?

川:三文字で区切ったら絶対7匹になってまうからね

水:ほんなら区切るとこ変えたらええんやな。だって,尺は合ってるんやろ?

川:尺は絶対合ってるわ。俺も尺には自信あるから

水:三文字だと足りないんやから…,ねう しと らう たつ みう まひ つじ さる

川:ん?

水:とり

川:おっ!

水:いぬ

川:おぉ!

水:い

川:後半めっちゃええやん

水:後半の追い上げがすごかったわ

川:後半の追い上げは評価するけど,11匹やな

水:え?1匹足りない?

川:あと1匹や

水:惜しいな。もう少し文字節約したらええんやな?そしたら1匹分くらい捻出できるやろ

川:そうやな。とにかく12匹にせんと,この場が収まらんから

水:ね う し と ら う た つ み う ま ひつじさるとりいぬい

川:絶対ちゃうやろ

水:絶対違うな

川:なんやねん,「ひつじさるとりいぬい」て。バランス悪すぎるわ

水:そんなバカやないしな昔の人

川:干支,以外に難しいな。覚えんの簡単やと思ってたけど,どこで切るのかが難しい

水:21文字の組み合わせパターン言うたら天文学的な数字になるんちゃうの?

川:そうやな〜

水:どうしたらええの?これ

川:ちなみに…,お前の干支は?

水:僕?僕はさるです

川:さっきおったやろ「さる」。後半のほうに

水:お〜そうや!おった!あの後半の追い上げの口火を切ったん「さる」や!

川:そこは「さる」の二文字で決定ってことやろ?

水:お〜,ほんならお前は?

川:僕は,ねずみ

水:ねずみ。ねずみ?

川:ねずみ

水:ねずみは…,ないな

川:ほんまや。なんでないの?

水:分からんけど,どうする?

川:「どうする」言われても…,ないんならなくてもええけど…

水:ええの?なくて

川:尺は合ってるわけやから

水:尺は合ってんねん。絶対

川:そん中に入ってないというのであれば,俺が間違えて覚えてたってことやろ?

水:まぁそうやな。でもそんな落ち込むことちゃうって。これまでお前はずっと「ねずみ」やと思ってやってきたわけやから,ショックなんは分かるけど,今後は俺と一緒に「さる」として生きてったらええから

川:そんなことできんの?勝手に

水:そんなことより,「さる」の二文字がやっと分かったんやから,残りの18文字をどう組み合わせるかや

川:あっ!

水:何?

川:さっきの後半の追い上げ

水:え?「さる」の後のあの追い上げ?

川:あれもう一回言うてみて

水:さる とり いぬ い

川:「とり」と「いぬ」も決まりやろ!

水:お〜それやったら最初のほうにも「うし」とか「とら」もおったんちゃう?

川:おった!そういうかんじで最初から言うたらいけるんちゃう?

水:ね うし

川・水:「ね」ってなんやねん

川:「ね」はおかしいやろ

水:分かってるけど,直後の「うし」と「とら」が確定してるんやから,「ね」でいかざるをえない状況に追い込まれてんねん

川:ほんならもうお手上げや。「ね」なんて動物おらんもん

水:もしかして…,「ね」って「ねずみ」?

川:え?

水:「ねずみ」の頭文字の「ね」ちゃう?

川:ええよそんなん。俺がさっき「ねずみ」って言うたからやろ?俺を慰めるために無理やり「ね」は「ねずみ」の「ね」なんて言わんでも。「ねこ」や普通。それがもし頭文字だとしても,「ね」がつく動物言うたら「ねこ」やろ

水:言うなてそれ。それはみんな思うてんねん。「なんで『ねずみ』やねん。そこは普通『ねこ』やろ」って。それでもお前は,自分の干支は「ねずみ」やと思ってこれまで生きてきたわけやろ?

川:そうやけど…

水:それやったら「ねずみ」でええやん。「ねずみ」のままで生きられるチャンスを自ら棒に振る必要ないやろ。「ねこ」の分まで一生懸命生きたらええやん

川:水田〜。そやな。そしたら最初の「ね」は,「ねずみ」の「ね」や!

水:ね うし とら う たつみ

川:「う」は?

水:「うなぎ」

川:「うさぎ」ちゃう?

水:「うさぎ」か たつみ

川:「たつみ」ってなんやねん

水:辰巳琢郎さんやろ

川:人も入ってんの?干支に?

水:「たつみ」という名字で干支に入れるいうたら,辰巳琢郎さんくらいやろ。それから…,うま ひつじ さる とり いぬい

川:「いぬい」は?

水:乾選手や。サッカーの

川:二人目はあかんやろ。人が入れてたとしてもせいぜい一人や。「いぬい」やなくて「いぬ」やろ

水:「いぬ」か。で,最後の「い」がまた何かの頭文字

川:「い」がつく言うたら…

水:イシダイ

川:タイならまだしも「イシダイ」て…

水:イルカ

川:なんでお前海に出ようとすんねん。たぶん陸の動物やと思うわ。これまでの干支のラインナップからして

水:いのしし

川:それや!「い」はいのししや!でもそれやと結局11匹やけど…

水:え?まだ1匹足らんの?

川:「たつみ」や

水:あ〜,辰巳琢郎やから,「辰巳」と「琢郎」で2匹と数えれば合計12匹や!

川:辰巳さんを「1匹2匹」で数えんな。それに「琢郎」は干支にエントリーされてないやろ

水:それやったら……,「たつみ」を二つに分割する?

川:「たつ」やな

水:「たつ」?龍ってこと?

川:龍や

水:それ架空の動物やん

川:そやけど,干支はもともと中国から来たもんやから。中国の話によく出てくるやろ龍は

水:ほんなら,最後に残った「み」は?

川:「み」がつく言うたら…

水:みみず

川:弱いわ「みみず」は。干支のメンバーとしてはキャラが弱い

水:みみずく

川:「みみずく」は鳥やからもう入ってんねん

水:干支の「とり」って鳥全般なん?「とり」って言うてるけど本当は鳩のこととかちゃうの?

川:それやったら「はと」って呼ぶやろ。わざわざ「とり」って言うてんねやから鳥全般や。「みみずく」はもうそん中に入ってんねん

水:ミンク

川:急に洋風になったな

水:もしくはミンククジラ

川:海に出るなて

水:もうないやん。干支に入れるだけの実力のある「み」がつく動物なんて

川:おるてきっと。あと1匹やから

水:あっ!

川:何?

水:おった!干支に入れるだけの実力のある「み」がつく動物

川:名前は?

水:水田

川:お前は無理やろ。もうええわ〜

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毎日道端に落ちているネタを拾っては落としています。それがオチ屋です
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藤澤俊輔 (漫才作家/オチ屋)

2012年よりフリーの漫才作家としてネットで漫才台本を販売。プロの漫才師や落語家の方にも台本を提供。これまで台本を100本以上書いています。劇団によって演劇化された台本もあります。一生使える漫才台本を書きます(永久無料のアフターケア付) 漫才をこよなく愛する人を探しています

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