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漫才論| ⁹⁰予選のネタがYouTubeで公開されるM-1の現状を逆に利用する方法とは❓

予選のネタもYouTubeでどんどん公開されるようになってきているM1グランプリ。みる側からするとうれしいですが,演者側は,「知名度が上がっていい」という気持ちと,「ネタバレするから勘弁してくれ」という気持ち,両方あるのではないかと思います

和牛のように「予選で全部違うネタをやる」ようなコンビであれば全然問題ないですが,M-1で勝負できるネタが1,2本しかないコンビにとっては結構不利です。何か対策があるのでしょうか?

和牛はなぜ毎回違うネタができたのか

和牛がなぜ毎回違うネタをできたのかというと,M-1のためにネタを作っているわけではなく,日頃からネタを育て続けていたからです。それを何年もずっとやってきたからです(「『ネタを育てる』とはどういうことか」についてはこちらをご覧ください)

「M-1のためだけにネタを作る」
という発想を捨てる

多くのコンビは,その年のM-1を想定してネタを磨きます。このやり方だと,M-1で通用する強いネタは2,3本しかできません。以前は,予選のネタがYouTubeにアップされることはなかったので,ものすごく強いネタが2本あれば優勝することも可能でしたが,状況は変わりました。優勝するためには,ものすごく強いネタ2本のほかに,予選を突破するための強いネタが1,2本は必要になってきます

「予選を突破するための強いネタ」は,新ネタである必要はないと思います。過去のM-1予選でやったことがあるネタでもいいと思います。ただし,「M-1のためだけのネタ」ではなく,「普段から育てているネタ」である必要があります。そのようなネタであれば,過去の予選でみたことがある人がみても,「あれをこんなふうに育ててきたのか」という別の感動を与えることが可能だからです

「M-1のためだけ」という発想を捨てて,強いネタを何本も育て続けていけば,M-1予選で使えるネタも増えます。その中から,そのタイミングで「一番いい」と思えるネタをやるようにすれば,和牛のように,毎回違うネタをすることも可能になります

これほど効果のある「宣伝」はそうそうない

予選のネタをYouTubeで公開することには賛否両論ありますが,「公開される」ということを踏まえて,M-1のためだけにネタを作るのではなく,普段からネタを育てることがあたりまえになり,何年も何年もネタを育て続けるコンビが増えるとすれば,それはものすごくいいことだと思います

このやり方で「毎回違うネタで予選を勝ち上がれるコンビ」になれれば,「公開される」のはむしろ大歓迎です。これほど効果のある「宣伝」はそうそうないからです

今後も予選を公開し続けるのかどうかは分かりませんが,この状況を嘆くのではなく,むしろ,大いに利用したほうがいいと思います

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