[カバー漫才] ハマカーンがまんじゅう大帝国の名作漫才「登山」をカバーしたら…

神田伸一郎:最近僕,登山にはまってまして…

浜谷健司:いいじゃないですか登山。山に登るほうの「とざん」でしょ?

神:それしかないでしょ「とざん」って。他にもあるの?「とざん」って。最近流行りの美容グッズ?

浜:ないよ,「とざん」なんて名前の美容グッズ。俺は美容グッズとか興味ないんだよ。いいんだよこれはつかみなんだから。サラッと流してくれれば

神:あ〜お前の話はいつものようにサラッと流せばいいのね

浜:「いつものように」って言うなよ。たまには俺の話もまじめに聞けよ

神:登山って装備が大事じゃないですか

浜:装備は大事ですよ。遭難する恐れがありますからね

神:だから僕は,いつもロッジで忘れ物がないかちゃんと確認してから山に登るんですけど…

浜:ちゃんとしてるじゃないですか

神:こないだミスしてしまいまして…

浜:忘れ物したんですか?

神:忘れたというか,間違えて持ってきちゃって…

浜:何を?

神:醤油じゃなくて,ソース持って行っちゃったんですよ

浜:あ〜たまにありますよね〜醤油とソースを間違えちゃうことね。あれやっぱり色が似てるからですかね。お刺身定食のお刺身にソースをかけてしまったときのあの絶望感ときたら,まさに鬼どもの宴ですよね〜

神:だからその日は,山に登るか,それとも引き返すか迷ってたんだけど…

浜:いやいやちょっと待て。お前はなんで山に醤油を持って行こうとした

神:方角を知るためだよ

浜:……。どういうことだよ

神:醤油がないと方角が分からないからですよね〜だから僕は山登りの準備をするときはまず醤油をリュックに入れるんですよ。でもまさかそれがソースだったとはね〜あのときの絶望感ときたら,まさに下衆の極み

浜:俺のだよそれ。俺の「下衆の極み」を使うな。お前「下衆の極み」の使い方下手なんだから

神:でもそんなに高い山じゃなかったから,その日は醤油なしで登ることにして,歩き始めたの

浜:説明しろよ

神:何が?

浜:「『醤油がないと方角が分からない』とはどういう意味かを説明しろ」って言ってんだよ

神:え?知らないの?

浜:何が?

神:「遭難したときは,小皿を二枚出してそこに醤油を入れる」っていうやり方

浜:知るわけないだろ,そんなふざけたやり方。遭難してんのに醤油入れてどうすんだよ

神:順番に両方なめる

浜:醤油をなめんの?

神:それで,甘いほうが西

浜:…………。あ〜「醤油は西のほうが甘い」って言うからな

神:そうそれ。醤油は西のほうが甘いんだよ。大阪とか九州とか,西に行けば行くほど甘くなっていくから

浜:それで方角分かんの?大丈夫かお前

神:でもソースだと方角が分かんないから…

浜:醤油でも分かんないだろ

神:ソースなんて持っててもただ重いだけでしょ

浜:そんな重くもないですよ

神:山をなめるな。余計なもん持って登って帰ってこれるほど山は甘くないんだよ

浜:お前だろ一番山なめてんの。醤油で方角分かると思ってんだから

神:それで,少しでも荷物を軽くするために,ソースをこうやって出しながら山に登ったんだよ

浜:ソースを撒き散らしながら?

神:そしたら遭難しちゃってさぁ…

浜:変な登り方するからだよ。でも遭難はまずいだろ。方角分かるもん持ってないんだろ?

神:醤油忘れちゃったからね。やっぱりね,そういうときに限って遭難するんだよね。人生ってそういうもんじゃないですか

浜:「醤油で方角分かる」って思ってるやつが人生を語るんじゃないよ

神:なんとか方角を割り出そうと思って振り向いたら,なんか道に,茶色い細い線がずーと続いてんの

浜:なんだよその線。山道だろ?

神:山道って普通線引いてないじゃん

浜:そりゃそうだよ。山道は舗装してないから線なんて引けないんだよ。万が一引けたとしても茶色の線って。なんでわざわざ目立たない色を選んだ

神:でもどうせ方角分からないから…

浜:醤油ないからな

神:その線を辿って歩いて行ったら,ロッジに帰ってこれたんだよ

浜:どういうシステムなんだよその茶色い線。謎の茶色い線のおかげで命拾いしたってこと?

神:そうなんだよ

浜:で?なんだったの?その線は

神:なんか,ソースみたいなにおいがする線だったんだけど…

浜:ソースみたいなにおいがする線なんてあるわけないだろ。線ににおいつけるにしたって,ラベンダーとかシトラスとかなら分かるけど,ソースって…

神:僕もそう思って,なめてみたんだよ

浜:線をなめたの?汚いだろ

神:こういうときのために準備しておいたナゲットで,その線をすくってなめたから汚くないよ

浜:どういうときのためのナゲットなんだよ。で?なめたら?

神:ソースだった

浜:え?どいうこと?山にソースがかかってたってこと?

神:そうなんだよ。僕が思うに,あの山はおっきなコロッケだったんじゃないかな〜

浜:お前は何をバカなことを言ってんだよ。トンカツって可能性もあるだろ

神:確かにね。ソースがかかってるってことは,コロッケかトンカツの二択だよね

浜:行こうよその山。夢の山ってことだろ?

神:行けばなんの山か分かるからね

浜:ここか〜

神:ほらこれ。この線

浜:お〜ほんとだ。確かにソースのにおいがするよ

神:食べてみてよ。そしたらこの山がコロッケなのかトンカツなのか分かるでしょ

浜:お〜そうだな。じゃあこのソースかかってるところを…

神:どう?コロッケ?トンカツ?

浜:う〜ん…,なんか土みたい味だな

神:土味のコロッケってこと?

浜:そんなコロッケないだろ。土味とかじゃなくて,土の味だ

神:お前土食べたことあるのかよ

浜:俺は登山は超軽装備で行くから,お腹すいたらいつも土食べてる

神:山をなめてるのはお前だろ。山ってどんな味なの?

浜:味はそんなにないけど,山は甘くない

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毎日道端に落ちているネタを拾っては落としています。それがオチ屋です
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藤澤俊輔 (漫才作家/オチ屋)

2012年よりフリーの漫才作家としてネットで漫才台本を販売。プロの漫才師や落語家の方にも台本を提供。これまで台本を100本以上書いています。劇団によって演劇化された台本もあります。一生使える漫才台本を書きます(永久無料のアフターケア付) 漫才をこよなく愛する人を探しています

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