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#オチの直前まで無料

#オチを予想してお楽しみください (6文字)

漆原:部長!お願いします!辞めさせてください!

部長:どうした急に,漆原君

漆原:辞めさせてほしいんです

部長:「辞めさせてほしい」って…,何を?

漆原:仕事をです

部長:仕事を!?

漆原:向いてないんですこの仕事

部長:「向いてない」って…漆原君,君は何年になる?この仕事をはじめて

漆原:ちょうど10年です

部長:そうだろ?10年もやってこれたんだ。「向いてない」ってことはないだろ

漆原:いや…,ずっと前から気づいてましたよ,向いてないって。だって…この体型ですよ

部長:……小太りってことか?

漆原:小太りなのは自業自得ですけど……,変身した後もこの体型ですよ

部長:それは…,まぁ気持ちは分かるが…

漆原:変身して登場した時,ちょっと笑うんですよ

部長:「笑う」って…,誰が?

漆原:怪獣がですよ

部長:怪獣が?いやそれは……思い出し笑いだろ。怪獣だってたぶんあるだろ,思い出し笑いとかなんかそういう……

漆原:小太りだからですよ!ウルトラマンなのに

部長:気にしすぎだろ。あれだけ兄弟がいるんだ。そりゃあ一人ぐらい小太りな奴だっているだろ。「兄弟そろって全員スマート」っていう方が不自然だよなぁ

漆原:ヒーローなんですよ。悪い怪獣を倒し地球を救うヒーローは,かっこよくないと駄目でしょ

部長:いや…でも…君だってこれまで何体もの怪獣を倒し,幾度も地球を救ってきたじゃないか

漆原:倒しはしましたけど…,跳び蹴りとかできないんですよ僕

部長:小太りだからな。でも別に「跳び蹴りで倒さなきゃいけいない」ってことはないからな。パンチとか,そういうのならできるだろ?

漆原:できますけど,でも結局僕の決め技は,さば折りですよ

部長:あぁ…確かにそうだな。なんだかんだと技を繰り出すが結局最後はさば折り。君はいつもそうやって怪獣たちを倒してきた

漆原:僕だって飛び蹴りは無理でもかっこよくパンチとかで決めたいですよ。でも……必死で闘った結果……さば折りになっちゃうんですよいつも。こうやってグッて体重かけて…

部長:小太りならではの技だな

漆原:だいたいなんで小太りの僕がウルトラマンに選ばれたんですか。おかしいじゃないですか

部長:ちょっと待て。漆原君,君はなんで自分がウルトラマンに選ばれたのかを知らないのか?

漆原:知らないですよ

部長:君はそんな事も知らないで「向いてない」なんて言ってるのか?

漆原:え?どういうことです?

部長:君は自分のことをなんにも分かってないんだな

漆原:何がですか?

部長:ウルトラマンタローが腰を痛めて引退が決まった時,誰にその穴を埋めてもらうのかを決める会議があった。そこで,社長や会長はもちろんのこと,会議に集まったメンバー全員が真っ先に挙げたのが君の名前だ

漆原:いや…だから…,なんでなんです?こんな小太りの僕を全員が真っ先に挙げるっておかしくないですか?

部長:名前だよ

漆原:名前?

部長:君,名前はなんて言う?

漆原:漆原虎男(うるしはらとらお)…ですけど…

部長:そういうことだ

漆原:え?名前だけで選ばれたんですか?確かにいかにもウルトラマンっぽい名前ですけど

部長:ご両親の夢だったんじゃないのか?ウルトラマン

漆原:それは…,僕も薄々感じてはいましたけど…

部長:だろ?社長も会長もずっと「ご両親の夢を叶えてあげたい」と思ってたんだ。ただ小太りだというだけの理由でウルトラマンにさせないのは心苦しいと…

漆原:そこまで思っていただいていたなんて知りませんでした。それは感謝します。でも…

部長:なんだね?

漆原:だからと言って「ウルトラマンウルシハラ」っていう名前にしなくたっていいじゃないですか,ウルトラネーム。「漆原」って結構珍しい名字なんですから。「小太り」で「漆原という名前」で「ウルトラ警備隊に勤めてる」って言ったらすぐ疑われるんですよ。ウルトラマンウルシハラなんじゃないかって

部長:誰かにばれたのか?

漆原:いや…分かんないですけど,薄々気づいてるんじゃないですか,みんな。それに僕はなりたくてなったんじゃないんですよ。人事異動でしょ,これ。別の部署に異動願い出してたんですよ。ウルトラマンが誤って破壊した建造物などを修復する部署に

部長:あと1年だけがんばってくれないか。あと1年ウルトラマンウルシハラとして働いてくれたら,必ず希望の部署に異動できるようにするから

漆原:あと1年?ほんとですか?約束してもらえるんですか?

部長:約束する

漆原:じゃあ…あと1年だけですよ

部長:ありがとう。助かるよ。1つだけお願いがあるんだが…

漆原:なんですか?

部長:あと1年,君がウルトラマンウルシハラだということがばれないように気をつけてほしい

漆原:もうかなりばれてるっぽいですけどね…

部長:これ以上ばれないようにするための作戦を毎日メールで送るから,その作戦を確実に実行してほしい

漆原:部長が作戦をメールしてくれるんですか?

部長:あぁ。だから君もまめにメールを返してくれないか?

漆原:それならまかせてください。僕,◯◯(◯◯)は◯◯ですから

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