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「ドングリ」のマイクロノベル 他3篇 #64

 先週からマテバシイ高が止まらない。食用に需要が高まっているらしい。人気のクヌギのレートに近づいている。こんなときはコナラに換金して、部屋中に敷き詰めてゴロゴロしようか。そんな妄想にふけるリスの投資家。

 子どもの頃、隣家のお爺さんが湯飲みの中に見せてくれたミジンコクジラ。見えれば、長生きするという。雨のあと、マツヨイグサの水滴から捕まえたと聞いて、いまでも探してしまうけれど、未だに出会えたことはない。

 最近ちょいちょい無くなるものがある。昨日は集まって騒ぐムクドリを眺めていたら、空からふっと箸の先のようなものが現れて一羽をつまんで消えた。今朝も散歩中の犬が消えたと騒いでいた。嫌な世界になったものだ。

 モノリスって奴は、ちょうどいい角度で上から押すと地面に沈み込んでいく。そしてまた、地球のどこかに現れるんだ。繰り返すうち、ひみつの小箱が出てくると聞いて、イグアノドンだった頃から生まれ変わり立ち替わりやっているが、まだ箱にはお目にかかれない。

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