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「紫陽花」のマイクロノベル 他3篇 #50

 この紫陽花、何色に見える? これ本当に紫陽花ですか、なにか色をつけてるとか。いや、こういう色の紫陽花が咲く世界へ来たんだよ。この花を見た瞬間、別の世界へと飛ばされるらしい。まだ帰る方法は見つかってない。

 稲苗の影だけつまんで田植えをする。光合成ができずにこの陰苗は枯れるが、残った陽苗は影ができないので生育旺盛で、良い米が穫れる。でも、これは食べてはいかんぞ。影のない人にお供えする大切なお米なんだから。

 温室の天井に吊り下げられた祝福の鐘が鳴る。ショクダイオオコンニャク開花の宣言だ。人々は仏炎苞を模したスカートをはき、花の周囲を輪になって踊る。臭いを嗅げば十年長生きをするとの言い伝えもある。さあ祭だ。

 いまが見頃が終わったショクダイオオコンニャクの「見頃」、この雰囲気いいでしょう。好きなんですよ。いや、なにも襲いかかったりなんかしませんから。気をつけていれば大丈夫です。十中八九はね、そう十中八九は。

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