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富士通のAIを活用し梱包箱の破損を判定する実証実験に、大手飲料食品メーカー7社が参加~参加企業拡大で物流問題やフードロスの削減に期待!~



こんにちは。富士通広報のMOGYです。1月に入り一段と寒くなり、コンビニエンスストアなどの店頭で温かい飲み物を手に取る機会が増えました。手を温めるためのちょっとしたカイロ代わりにもなりますよね。
 
さて、どれにしようかなとHOTドリンクが陳列された棚の一番手前にちょっと凹んだペットボトルや 缶とそうでないものが並んでいたら、皆さんはどちらを手に取りますか?中身はどちらも変わらないとわかっていても、つい凹んでいない方を選んでしまう人もいるのではないかなと思います。もし同じような行動をとる人が続いたら・・・凹んだものは、ずっと手に取られることのないまま賞味期間を過ぎ破棄されてしまうかもしれません

さて、ここでクイズです。OK?NG?あなたならどう判断する?

ではシーンをコンビニエンスストアから飲料メーカーさんの倉庫に移してみましょう。下に並んでいる画像は、工場から出荷されて倉庫に届いた清涼飲料水が梱包されたダンボール箱の一覧です。ここでは商品として販売店さんに出荷できる状態かどうかを目視で検品するのですが、もしあなたが倉庫の検品担当者だったとしたらどのダンボールが出荷OKでどれがNGだと判断しますか?

清涼飲料水が梱包された段ボール箱

中身は問題ないのに・・・ダンボールの外観だけで不良品に!

左右両端のA列とD列は判断がつきやすいと思いますが、中央のB列とC列は少し悩んだのではないでしょうか?特にC列は人によって判断が分かれるかもしれません。中身は問題ないので本当はOKにしたいところです。
実際の現場でもC列どころかB列でもNGと厳しく判断され、工場に持ち帰ることもあるのだとか。返品された商品は工場で再度梱包をするも、その間に賞味期間が先の商品が出荷され、再梱包した商品がそれよりも古い賞味期間の商品となってしまった場合は受け取ってもらえないこともあるようです。そして販売先を失ってしまった商品は・・・やむを得ず破棄することになってしまいます。

判断の教科書はAIと人間が一緒につくる

さて、C列はOKとするかNGとするか?考えている間に、販売店さんへ納品するトラックの出発時間がどんどん迫ってきます。ほかの担当者だったらどう判断するでしょう・・・?
 
この判断基準を標準化し、現場での検品作業を出来るだけ減らすため、AI活用に着目したのがサントリー食品インターナショナル株式会社さんです。富士通は、ダンボールの劣化度合いを判定するAIを開発し、判断基準の標準化を目指す清涼飲料水メーカーさんや販売店さんの取り組みを支援しています。
 
AIモデルの開発には、飲食料品メーカーさんや販売店さんのご協力により蓄積された破損したダンボールのサンプル画像約2,500枚を使用しました。現場での基本的な作業は、破損したダンボールをスマートフォンのカメラで撮影するだけです。すると撮影された画像に対して過去の出荷判断(OK/NG)と紐づく類似画像が5枚レコメンドされ、その中で出荷OKのものが多ければ、撮影したダンボールの出荷はOKと判断されます。もし3枚はOKで2枚はNGなど判断にバラつきがある場合は、撮影された写真と最も類似している画像を現場担当者が選定し最終的な出荷可否を判定します。

過去の出荷判断画像(5枚)がレコメンドされている様子
過去の出荷判断画像(5枚)がレコメンドされている様子

ポイントは、最終判断に常に人の判断を入れていくこと!これによってAIの判断基準がアップデートされていく仕組みになっているので、「この程度の凹みやキズであれば大丈夫」と判断する人が増えていけば、梱包状態への過剰なNG判定が減り、食品ロスの削減や物流問題の解決につながっていくことが期待できます。

今後の取り組みについて

まだ実証実験の段階ですが、画像データは、学習データの2,500枚にさらに蓄積され、現在3,000枚を超えており、AIの精度も定期的に見直し、向上を図っています。この取り組みに賛同する飲料メーカーさんも少しずつ増え、2023年6月21日のプレスリリース時の5社(キリンビバレッジ株式会社コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社サントリー食品インターナショナル株式会社株式会社セブン-イレブン・ジャパン、富士通)に、2社株式会社伊藤園アサヒ飲料株式会社)が加わり、現在7社に拡大しました。ちなみにこのプロジェクト、大手食品加工会社さんも注目しているみたいです!
 
思い描く理想の世界は、一人ひとりの意識を変えること、そう「ちっちゃいことは気にしない」です!競合や業界を超えて課題を共有し、物流問題やフードロスの削減に向けてみんなで目指す「判断基準標準化」のプロジェクトにぜひご注目ください。


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