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複業×地方創生という働き方〜日本初、サーカス型?プロジェクト〜

複業×地方創生のプロジェクト

“焼酎の未来を創造する”をテーマに募集されたプロジェクトメンバーの説明会に参加してきました。

「焼酎を飲みながらワークショップ」をするというところにも惹かれましたが、

なんといってもこのプロジェクトが目をひいたのは、全てのメンバーが“複業”でこの仕事に取り組むこと、

そして、鹿児島にある“地方企業とのコラボ企画”だった、ということです。

■「パラレルワークで焼酎の未来を創造する」

 2018年6月、少し変わったプロジェクトのメンバー募集が目に入りました。

それは、“複業”で焼酎の国内市場の認知拡大を目指した施策を考える、というもの。

しかも、タッグを組むのは大口酒造という鹿児島伊佐市にある企業。

© comemo761490874

公募で選ばれた“複業”メンバーでチームを組み、酒造見学のため実際に伊佐市へ出張したりもしながら、3ヶ月にわたって実施するプロジェクトらしいのです。

募集には、こう書いてありました。

“エンドユーザーとしての感覚や、企画、マーケティング、営業など今まで培ったお仕事のスキルを使ってこのプロジェクトに参加してみませんか。”

「こんな面白そうな企画を、“公募”しているのか……!」

はたと、自分はこうした企画を考える仕事をやってみたかった、ということを思い出しました。

私は今、演劇家としてフリーランスで脚本を書いたり演出をしたりしていますが、学生時代は気になるCMの映像や広告のキャッチコピーなどを集めるのが好きで、広告業界に就職するか迷った時期もありました。 しかし二兎は追えないので、本業がある今は、具体的に何か書いてくださいと依頼があるか、何か企業に勤めない限り、こうしたものに携わる機会もないと思っていました。“複業”でそんなチャンスがあるとは。“3ヶ月という1つのプロジェクトなら、自分にもできるかもしれない”

しかも、プロジェクトは大好きなお酒のこと。そして大好きな九州へも行けるかもしれない。

この機会はそうそうないぞ。というわけで、説明会に参加してみることにしました。

 ■『パラレルワーカーが働けるプラットフォーム』

6月25日、説明会当日。会場は、いろんな職業の人で賑わっていました。男女の割合は、だいたい同じくらい。

冒頭に、社団法人 SIDELINEの代表の篠原敏文さんからプロジェクトについての説明がありました。

© comemo761490874

今回のプロジェクトは、大口酒造とSIDELINEの共同で立ち上がった企画で、メンバーの募集や、プロジェクト全体のマネジメントはSIDELINEが手がけています。篠原さんは、“複業”の機会をより多くの人に提供するべく、

『パラレルワーカーが働けるプラットフォーム』

として、昨年12月にSIDELINEを設立したばかりなのだそう。

http://sideline.or.jp

確かに、SIDELINEのようなプラットフォームなしでは、会社の外から色んな人を集めて、一緒にアイディアを! と言っても簡単に実現できませんよね……。 しかも、今回のように都心ワーカーと地方企業とのタッグならば、なおさら。 “複業”について、あまり詳しくありませんでしたが、個人ごとの“複業”ではなく、今回のSIDELINEのようにメンバーを募って“複業”のチームを公募する、というのは、やはりこれまで前例のない珍しい取り組みなのだとか。

近頃、「働き方改革」が謳われ、副業解禁する企業なども耳にするようになりましたが、色んな仕事でこうしたプロジェクトごとの“複業”の機会が増えれば、参加したくなる人、結構多いんじゃないでしょうか。

「“複業”だからこその多様なメンバーがチームを組んで、新しい可能性や価値と向き合っていくことができる。」

篠原さんの言葉に、ますますこのプロジェクトに胸が踊りました。

■大口酒造、50周年の挑戦

説明会には、この日のために大口酒造の山田常務が鹿児島からいらして、伊佐市や大口酒造の焼酎について、紹介がありました。

ところでみなさん、伊佐市が“焼酎発祥の地”はと呼ばれているのはご存知ですか?

昭和29年、伊佐市にある郡山八幡神社を解体修理した際、柱の一部から「焼酎」について書いた落書きが発見されたたそうなんですが、永禄二年(1559年)に当時の宮大工が刻んだとされるその落書きには、こんなことが書いてありました。

「ここの主はケチで一度も焼酎を飲ませてくれなかった」

この、酒好きな宮大工の愚痴が、日本で初めて「焼酎」という文字が出てきた最古の資料なんだとか。そのエピソードから、伊佐市は“焼酎発祥の地”と呼ばれているそうなんです。

焼酎といえば鹿児島ですが、その鹿児島にとって、“伊佐”は最も特別な土地。そんな伊佐市の酒造会社11事業所が、昭和45年に製造から販売までを一貫して行なう全面協業の協業組合を発足させ、銘柄を「伊佐錦」に統一したのが、大口酒造のはじまりだそう。

その大口酒造の設立50周年の企画として、「伊佐錦」をリブランディングすべく立ち上がった今回のプロジェクト。そんな社運を賭けたプロジェクトに、都心の複業ワーカーチームとタッグを組む、と決めた大口酒造。

「どうしても、自分たちが住んでいる地域で聞く情報からの発想になってしまう。だから是非、みなさんと一緒に、“焼酎の新しい文化”を作りたいんです。」

山田常務の言葉から、このプロジェクトへの並々ならぬ熱意が伝わりました。

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 ■焼酎を片手にワークショップ

最後に、大口酒造さんが用意してくれた「伊佐錦」を飲みながら、テーブルごと分かれたチームでミニワークショップを行いました。

『焼酎人口を増やすには?』

のお題で、課題となっているものと、提案をチームで考えます。

参加者は初対面でしたが、みんな片手にもった焼酎のせいか打ち解けた雰囲気で始まり、

焼酎の課題となっているものは何か、を挙げていくと、「おじさんが飲む、というイメージ……」 「ラベルが無骨……」 「安いお酒……」

などなど、大口酒造の方が聞いたら怒ってしまうんじゃないかとひやひやする、しかし、エンドユーザーとしては率直な声が飛び交いました。そうして上がってきた課題に対して、参加者でアイデアを出し合います。

「いつもだとこういう風に考えてるんですけど、」「あ、その考え方面白いですね!」「逆にこっちをターゲットにするはどうですか?」「それありかも。」

働いている環境がそれぞれ違うだけあって、色んな視点からの提案が出てきて、議論は大いに盛り上がりました。

実際に大口酒造さんの生の声を聞き、“伊佐錦”を飲みながら、ごちゃまぜなバックグラウンドの人たちと、同じ課題を真ん中においてコミュニケーションしていると、

自分の体験を掘り起こしながら、「どうやったらもっと飲んでもらえるんだろうか」

と考えていき、いつのまにか“伊佐錦”が“自分ごと”になっていく、不思議な体験でした。

短時間のワークショップでしたが、実際にプロジェクトを始動させながらこの過程を何度も繰り返すと想像すると、今までに見たことのない場所へ行けそうな、新しいアイデアが生まれそうな予感がしました。

■新しいサーカス型プロジェクト

アイデアを出し合うワークショップのイベントはよく目にしますが、このあと参加メンバーが決まり、プロジェクトは実際に始動していきます。「この指とまれ!」方式で集まった、都心に住むバラバラのバックグラウンドの人たちが、出し合ったアイデアを携えて、遠く鹿児島の地へ赴く。 それはまるで、異なるパフォーマンスをするサーカス団が、遠くの街へと巡業するようなプロジェクトだな、と思いました。

それぞれが生きてきた時間、体験したものが混ざり、これまでにない化学反応が起こるのではないでしょうか。

どんな新しい“焼酎の未来”が創造されるのか、楽しみです。

© comemo761490874

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