地方とのタッグで得られる複業の視点〜 “サーカス型” !?プロジェクト〜
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複業×地方創生で、焼酎の新しい文化を作るプロジェクト!
“都心の複業メンバーでチームを組み、鹿児島県伊佐市に遠征する”
鹿児島県の大口酒造と一般社団法人SIDELINEがタッグを組んだ、なんとも珍しいプロジェクトが始動しました。
(初回説明会に参加した記事はこちら↓)
https://comemo.io/entries/9504
プロジェクトのミッションは、大口酒造の“伊佐錦”を、リブランディングすること。公募で複業メンバーとなった、
メディア運営会社勤務、建設会社の広報担当、新聞社勤務、複業スタートアップ会社の経営、演劇家(私)
と、様々なバックグラウンドの5名が、鹿児島へと遠征し、プレゼンをします。
日本で初めてかもしれない、この新しい働き方を“サーカス型”と名付け、
“ことば”を生業とする私が、この3ヶ月の体験記を連載中。7月末のキックオフミーティングから、1ヶ月間、2チームで《都心消費者の声》をリサーチし、いよいよ8月24日。
大口酒造のある鹿児島県伊佐市を訪問しました。
《鹿児島出張の目的》
1 東京のリサーチでの発見を伝える
2 伊佐錦を知る
①大口酒造のとっての“伊佐錦”とは?
②“伊佐錦”はどのように生まれたのか?
③“伊佐錦”は他と比べてどんな味なのか?今回の出張の目的は、複業チームと現地社員チームの視点を交換すること。
わたしたちのチームは、この鹿児島出張で持ち帰りたいものを上記3つに決めました。
■東京チームからのレポート
大口酒造の本社にて、まずは複業チームからのプレゼン。
都心消費者へリサーチした結果報告を行いました。わたしたちのチームは、“エクストリームな”東京の女性消費者に深掘りインタビューを行い、
「ステキな自分を演出したい、というお化粧のような欲求」
「ハッとするような新しい教養を得たい、知的好奇心」など、女性がお酒を飲むときに本当はどんな“欲求”があるのか、まとめたものを報告。
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(東京でのリサーチの様子、前回記事↓)
https://comemo.io/entries/10063
報告を聞いた社員チームからは、
「女性がストーリーで飲むという話が、今日やっと腑に落ちました。」
「焼酎の味の違いって、自分たちが思っているより分からないんですかねえ……。」
「こっちでよく飲む人も“銘柄が覚えにくい”って言うなあ。」など、様々な声が。
そして、もう一方のチームは、メディア運営のプロ、新聞社に勤める情報収集のプロの力で、総勢200名ほどにWEB上でアンケート&試飲会イベントを実施し、動画を交えてリサーチ結果を報告。
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焼酎に消極的な都心の消費者の声に対し、社員チームはどういうリアクションだろう……と思っていましたが、
同じようなところを課題に思っていたり、そう言われてみれば! と、改めて発見する部分があったようで、リサーチの成果を実感しました。
■①大口酒造のとっての“伊佐錦”とは?
その後、わたしたちのチームは、今度は大口酒造チームからの声を収集するため、“伊佐錦らしさ”のワークショップ。
複業スタートアップ経営の若宮さんをファシリテーターに、
『他の銘柄にはないけど、伊佐錦にあるもの』
『他の銘柄にはあって、伊佐錦にないもの』を、思いつくだけ紙に書いてもらい、出てきたワードを机に並べ、最終的に最も特徴的なもの3つに絞ってもらいます。
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“伊佐錦らしさ”のヒントを逃さないよう、わたしたちは、社員チームの議論で交わされる言葉に集中。・何にでも合う
・一度飲むとハマる味
・ニックネームがない
・ラベルの印象が弱いなどなど、“伊佐錦”を考えるうえでキーワードになりそうな言葉がたくさん出てきました。
もう一方のチームは、
「女性に売る場合」「男性に売る場合」2パターンのアイデアをブレストするワークショプで、複業チーム、社員チーム混じって様々な案が議論されていました。
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“深掘る”ことをテーマにした私達のチームを“発掘型”と名付けるならば、
もう一方のチームは、コミュニケーションをとりながらアイディアを出していく“ラリー型”。
2つのアプローチ方法は全く違います。この2つが同時並行で進んでいく、このプロジェクトの面白さも改めて感じました。
■②“伊佐錦”はどのように生まれたのか? 〜ルーツと変革 山田常務の想い〜
ワークショップ後の懇親会では、
焼酎を片手に、伊佐錦について山田常務にお話をお伺いしました。「伊佐錦は11の酒造が合併して大口酒造が創業するときに最初にできた銘柄なんです。飲んでもらえるきっかけさえあれば、もっと支持される力があるはず」
と、山田さんは語ります。今の大口酒造の売上の95%は、“黒伊佐錦”。
実は山田常務が「黒伊佐錦」というブランドをつくった張本人なのだそう。
当時、商品名に“黒”をつけるのはタブーだったところ、黒麹を使った“黒伊佐錦”で一躍黒ブームが巻き起こりました。「黒ブームは作れたのですが」と、山田さん。
すっかりその影に隠れてしまった初代銘柄“伊佐錦”を改めてプロモーションしたいという想いを、ずっと温めていたと言います。
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そんな折、昨年、大口酒造の若手育成のために、Sho-Chuブロジェクトを手がける九州大学の坂口光一教授を招いて企画を考えたことがきっかけで、
“外からの視点に刺激をもらい、プロジェクトをすすめる”ことに手応えを感じたのだそう。
(ちなみに、この若手社員×坂口教授で生まれた企画は、酒造横に“ミニ蒸留体験施設を作る”というもの。
現在早速工事が進んでおり、今年秋ごろにはオープン予定! と、なんともスピーディーに進行中。)「周りからは、外の声なんか聞いてどうするんだ、と言われますけどね。でも、第三者から見たうちのイケてるところ、イケてないところを知って、変えていかないと、意味がないんです。」
良くも悪くも何が起こるか先がわからない、東京の複業チームとの連携に踏み切るのは、普通の企業からすると勇気のいる判断なのでは、と思います。変わるために、挑戦を面白がり続ける山田さんの姿勢あってこそのプロジェクトなのだな、と感じました。
実は、ミーティングの前に全員で酒造を見学し、実際に作る行程を見せていただいたのですが、
杜氏(酒造の監督)の方が、
「うちの製造機器は、業界で最新のものを導入しているんですよ」
と、語っていた姿を思い出しました。
11もの酒造が一つになってできた大口酒造。
創立当初から脈々と引き継がれるチャレンジ精神が、大口酒造らしさなのかもしれません。
■③伊佐錦は他の焼酎と比べてどういう味なのか?
翌日。
初日の大口酒造チームとのやりとりをふまえ、さらに、“伊佐錦らしさ”を調査するため、鹿児島市にある“017よか晩”さんに訪れました。川股さんが鹿児島に来たら必ず立ち寄るというこちらのお店で、開店前に特別に焼酎の飲み比べをさせていただきました。
お店にずらっと並んだ焼酎は、すべて店主の森さんが、自らの足で酒造に赴き選んだもの。店内のお酒は、その人が一番飲みたい濃さで飲んでもらえるよう、すべて各自自由に注ぐスタイルです。
お店には、黒伊佐錦はあるのですが、伊佐錦は置いていなかったので(だからこその今回のプロジェクトなのですが……)、
特別に伊佐錦の持ち込みを許可していただき、インタビュー結果でもあった、
“焼酎は味の幅が狭く、違いが分かりにくい”
ということについて検証するため、“伊佐錦”と同じ白麹の芋焼酎を実際に飲み比べてみました。
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店主の森さんから、それぞれのお酒がどういった蔵で造られているか、丁寧な説明をしていただき、蔵のストーリーを聞きながら、各銘柄を味わいます。
すると、一同、口をそろえて
「……全然違う。」
甘いもの、すっきりしたもの、香りがつよいもの、まったりしたもの、口に残るもの。
伊佐錦は、芋のしっかり感とすっきりとした軽さで、いつまでも飲んでいて飽きない味。「社員の方が、“伊佐錦を飲めばハマる”と言ってたのは、この感覚なのかもなあ……」
「焼酎は味の違いが分かりにくい」という声について、
わたしたちも現地でどれだけ違いを体感できるものか……と思っていましたが、酒造それぞれにあるストーリーの違いとともに、伊佐錦の味を知り、メンバー皆で大きなヒントをつかんだ瞬間でした。
■複業で活かされる、バックグラウンド
「よか晩」さんは、川股さんが参加していなければ、たどり着くことができなかった場所。
川股さんは今回、“鹿児島のプロジェクトならば絶対に関わりたい!”という想いで参加したのだそう。
複業で参加するにあたって、どういったスキルがあるか、というのは欠かせないことだとは思いますが、
“好き”の気持ちが、仕事とつながって、大きな掛け算を生む
ということも、複業プロジェクトのポイントなのかもしれません。
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今回の現地取材で、
“伊佐錦” 芋焼酎へのこだわりと挑戦がつまった、大口酒造にとって象徴的な銘柄なのだ、ということが分かりました。
そして、現地で実感した、“伊佐錦”のすっきりとした“飽きない”味。この後も、現地で得たヒントをもとに、東京で案を練っていく日々が始まります。
初日の夜に山田さんが語っていた、現状を変えたいという熱い想い、それを迅速に実行に移していくスピード感と、わたしたち複業チームのユニークなアイディアが刺激し合えば、新しいものが生まれそうな予感。
鹿児島前とはまた違う濃度で進んでいきそうなプロジェクト。続編も書いていきますので、ご期待ください。
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