“ならでは”の掛け算で生まれた、「新しい焼酎文化」〜複業×地方創生プロジェクト〜
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■いざ、最終プレゼンへ!
都心の複業メンバーがチームになり、大口酒造の“伊佐錦”をリブランディングするプロジェクト。
始動から3ヶ月、とうとう最終提案の日。
2ヶ月ぶりに、再び鹿児島県伊佐市の大口酒造に訪れ、2チームのプレゼンを行いました。
■女性ターゲット“ならでは”
今回、通称”白伊佐錦”こと伊佐錦のリブランディングだけでなく、「新しい焼酎文化」をつくりたい、というのが大口酒造山田常務の想いでした。
焼酎といえば、どうしても“おじさんくさい”というイメージがつきまといます。
「新しい焼酎文化を作る」ためには、やはり女性の巻き込みは不可欠。わたしたちは、ターゲットを[女性]に絞ることにしました。企画を練るに当たり、メンバーの若宮さんから「プロジェクトを進めていくには、“ならでは”を大事に考えていきたい」と提案がありました。若宮さんは過去に多くの新規事業を立ち上げた新規企画のエキスパート。いつも企画時に”ならでは”の企画になっているかを大事にしているといいます。
https://comemo.io/entries/11525
これがきっかけで、企画当初から我々チームの中では、「“ならでは”を考える」というのが軸になりました。
まずは女性ターゲット”ならでは"のニーズを探るため、デプス(深掘り)インタビューを実施。
大多数に向けた定量調査ではなく、特徴的な女性6人に、じっくり時間をかけてインタビューを行いました。
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ここからわかったのは、
・女性はお酒そのものより、飲むシーンを重視
・周りが何を飲んでいるかに影響されやすい
・焼酎を選ぶのは、糖質制限のためなど消去法的な理由ということ。
「自分を演出するためにバーで飲む」 「ストレス発散のために同僚とわいわい飲む」など
女性は、お酒そのものではなくシーンでお酒を選んでいる。
そして現状、焼酎にはそういうシーンがない。ということが分かりました。
■白伊佐錦の“ならでは”
前回の鹿児島出張では酒造見学や意見交換を行い、白伊佐錦の"ならでは”を発掘することに集中しました。
チームメンバー、鹿児島フリーク川股さんの紹介で、鹿児島市の焼酎専門店『017よか晩』さんで“白伊佐錦”とその他の芋焼酎の飲み比べ会を実施。
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「焼酎って味の違いが正直分からない……」都心でのインタビューでもよく出た意見で、私もそう思っていたのですが、
各焼酎の特徴や蔵のストーリーを聞きながら飲み比べると、それぞれ全く違う個性が見え、白伊佐錦との違いがはっきりわかりました。
この体験と大口酒造の社員の方との意見交換から、白伊佐錦の”ならでは”は、・ 飽きが来ない、クセのないシンプルさ
だとわかったのです。
■そして行き着いた“気分”
女性と白伊佐錦の"ならでは”を掛け合わせると、どんな提案ができるか、チームの議論は白熱しました。
「伊佐錦はシンプルだから色んな飲み方に合いそう」色々な飲み方や割り方の案を出しながらも
「どうもありがちだな…」と悶々とする一同。
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色々切り口を変えて議論する中、
「片手で持てるボトルに入れてみたら?」という一言が。
この言葉に、体感でピンとくるものがありました。
クラブやフェスでZIMAやコロナのような片手でボトルを持ってお酒を飲むときの気分が上がる感じ。演劇で身体感覚から考える癖からか、〈体感〉の筋が通ったとき、すっと腑に落ちました。
飲むシーンが、見えた。その感覚をチームにシェアすると、リーダーの関口さんから、
「シーンごとに“気分”が変わるってことか」と。
この一言に女性陣がそうそう!と頷く。女性は気分でお酒を飲むのだ!
【女性の“気分”から考える。】私たちのコンセプトが決まった瞬間でした。
■チームの“ならでは”
大口酒造の売上の95%を占める黒伊佐錦。一方、大口酒造の初代ブランドなのに目立たない“白伊佐錦”。
山田常務が、「黒伊佐錦が親父だとすると、白伊佐錦は母親みたいな優しさ」とコメントしていたことを思い出し、私たちは"白"に女性のイメージを重ねました。
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黒=男性的な“俺についてこい!”というイメージとのコントラストをはっきりさせ、“白”を女性的なブランドとして提案することに。
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女性がお化粧すると”気分”が変わるように、“気分”にあわせて粧いを変えるISA
これは、「シンプルな味」という白伊佐錦の”ならでは”があるからこそできるアイディアです。“気分”に合わせて粧うーーー例えば、
・クラブや音楽フェスでの楽しい気分に飲む「ISA FUN」
⇒ソーダボトルで、“立ちながら飲める”この試作品は実際に渋谷EDGEofのファッションイベントでテスト。外国人が半分以上もいるイベントでビールやワインを抜いて圧倒的な人気で、50本用意した【ISA】はあっという間に完売! FUNの粧いは楽しみたい夜にぴったりでした。
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他にも、
・家で一人、ほっとしたい気分に飲む「ISA RELAX」
⇒ホット柚子茶のように、ジェル状の伊佐錦を“溶かして飲む”・大事な人とお祝いしたい気分に飲む「ISA CELEBRATE」
⇒シャンパンのように、華奢なグラスに“そそいでもらって飲む”など、味や成分ではなく"気分"から考えて見ると、あれだけ焼酎とは縁遠かった女性が飲むイメージがはっきりと湧いてきます。
ここで藤原の演劇家"ならでは"の妄想力が発動。それぞれの気分のイメージが次々と湧いてきました。……「やる気ないんだったら辞めたら?」後輩に、嫌味を言ってしまった。彼氏にも八つ当たりした。さっき階段でコケた。どうしてわたしは、こんなわたしから逃げられないんだろう。ソファの隅にうずくまる。カップをふーふー冷ましながら、ホットISAを飲む。温かさが喉を通って染み込んで、どんどん身体が緩んでいく。はあ。なんか泣けてきた。………
提案する“気分”を、いさ子ちゃんの日常の一コマとして、妄想Instagramまで作ってしまいました。
https://www.instagram.com/shiroisako/?hl=ja
プレゼンでも説明だけでなく"気分"を実感してもらうため、“気分”劇場を開催。
山田常務と、女性社員のYさんに、
「二人は付き合って1年で、今日は付き合って一年の記念を祝うデート」という設定で演じてもらい、メンバーが店員役となり、2人をエスコート。椅子をひいて席につくまでもてなし、ボトルに入った【ISA】を華奢なグラスに注いで、乾杯。
丁寧にエスコートされ少し2人が緊張する“気分”が、言葉以上に私たちの提案を会場に伝えてくれました。
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ープレゼン後、社員の方から、
「女性は焼酎じゃなくて“気分”を飲む、というのは発見でした……」と、コメントをいただいたり、体感から考えるアプローチが斬新だった、演劇の視点が入った企画は初めてでした、と感想をもらったり。
女性"ならでは"を深堀りし、白伊佐錦"ならでは"を活かし、演劇まで取り入れた複業チーム"ならでは"の提案が、新しい視点をお渡しできたとしたら嬉しい限りです。
一方、もう一つのチームはまた違ったアプローチでした。このチームのターゲットは、“都心ユーザー”。
焼酎の新しい飲み方提案と、リサーチワークショップを兼ねたイベントを開催していたのですが、
普段焼酎を飲まない人が、焼酎のカクテルを試してみたり、集まった人が焼酎について話したり、大盛況のイベントでした。
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参加者からは、「焼酎のイメージが変わった!」という声が多くあったそうです。
このイベントの手応えから、伊佐錦と出会うきっかけさえ増えれば、もっと焼酎は広まっていくのではないか、というのを軸に、
東京でのアンテナショップの提案や、SNSでのキャンペーンの提案、登竜門やクラウドファンディングを利用してお客さんを巻き込んでいく提案など、“出会いをつくる”ことにこだわった、このチーム“ならでは”の提案でした。
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次回、レポート最終回は、3ヶ月を振り返って、「サーカス型」と称した遠距離複業プロジェクト"ならでは"の体験と発見についてまとめたいと思います
★「複業×地方創生で焼酎の新しい文化をつくる」3ヶ月のプロジェクト体験記
第一回目(説明会)
https://comemo.io/entries/9504
第二回目(東京でのリサーチ)
https://comemo.io/entries/10063
第三回目(現地鹿児島での取材)
https://comemo.io/entries/10127
第四回目(プレゼンまでの道のり)
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