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『バブリーダンス』のakaneさん芸術監督『FINAL LEGEND 9』 での昭和ノスタルジーとエンターテイメントの力。

振付師:akaneが芸術監督を務める『FINAL LEGEND 9』

『バブリーダンス』で日本中を沸かせた振付師:akaneさんが芸術監督を務める、『FINAL LEGEND 9』の千秋楽公演へ去る3月6日に行って参りました。

「日本が世界に誇る!OSAKA ダンスエンタメまるわかり」をコンセプトに、「芸人・タレント」×「コレオグラファー」で三つのチーム編成し、チームバトルを行う本公演はダンス経験者は勿論、今までダンスに接してきた事が無かった人にも広く受け入れられる設計なっておりました。

各演目の開始前に、プレゼン形式でダンスのコンセプトやポイントを説明してくれるので、振付への解像度が高まり世界観により深く没頭する事ができます。

ダンスの技術力は勿論、それぞれの演目が独創的だったり、芸術性が高かったり、メッセージ性を強く打ち出していたりと目まぐるしく展開が繰り広げら、あっという間の3時間となりました。

akaneさんの演目は『バブリーダンス』にメンズバージョンが加わったスペシャル版と、数年振りに手がけた完全オリジナルの『ワタシガレガシー』。

彼女自身が昭和のファッションや音楽に多大なインスピレーションを受けていると述べている様に、昭和エッセンスを振付と音楽に見事に昇華して演出されています。

昭和ノスタルジーとエンターテイメントの力

昭和の哀愁と勢いは子供の頃を過ごした僕にも強く印象を残しています。

インターネットが無かった時代であり、全てがアナログで構築されていた世界。
その中で、目に飛び込んでくるTVの映像や耳に届いてくる音楽は独特のミームを形成していました。

1970年には大阪万博が開催され、その時を生きた人たちは多大なインスピレーションと明るい未来に胸を踊らせました。

特に子供の頃にそれを体感した衝撃は容易に想像ができ、現在も最前線で活躍するクリエイターの作家性にも強く影響を与えています。

昭和バブルの恩恵もあり、その時代に培われた日本のエンターテイメント力は高く、TVのバラエティ、映画、アニメ、漫画は世界中へ輸出されたくさんの人に愛されていきます。

それはエンターテイメントのみならず、車・家電などに代表される絶対品質を元に
『Japan as No.1』(日本の製品が一番!)と言われ世界から称賛されていました(Sonyの「ウォークマン」、TOYOTAの車、パナソニックやシャープのTV)。

昭和はチャイルドブームであり、子供の数も多く日本の人口は1億2千万人を数え、国内だけでビジネスが完結する条件が揃っていました。

それは、音楽でいう「レコード」や「CD」の国内売り上げとして、爆大な利益を生み出す事ができ、映像制作や音楽制作の現場にたくさんの予算が投じられた時代でもあります。

それから、日本経済のバブルが弾けるとデフレや就職氷河期などが訪れ、日本のGDPは海外の先進国に比べ緩やかに下降して行きます。

これは「日本の失われた20年」と揶揄されました。

『Japan as No.1』と言われて誇らしかった記憶も遠くなり、いつの日か『日本の家電はマニュアルが分厚い』という皮肉を言われる様になります。


日本が世界へ向けて発信するエンターテイメント

現在、世界的な時代の流れにより日本も様々な帰路に立たされています。

コロナ情勢も然り、「ニュートラルカーボン時代」の到来もそうです。
これまで世界的ブランドとして、業績を伸ばしていた日本企業の多くは、今ではプレゼンスを失っていきました。

米国のGAFAMや中国のBAT、韓国のLG、サムスンの勢いは今では誰もが知る所だと思います。

しかしながら、日本企業のなかにも世界規模で成長している所もあります。

Sony エンターテイメント、Nintendo、カプコンなどがそれです。

これらの企業に共通するのは、ゲームや音楽、映画などのエンターテイメントを手がけているという事です。

今や、世界的なブランドとなっているトヨタもホンダも松下電器も、元々は何もない小さな町工場から始まりました。

世界に負けないプロダクト作るという高い志と忍耐力とともに、日本は経済大国にまでのし上がっていきました。

現在、どこの世界よりも早く超高齢化社会を迎える日本にとって、国内の需要だけでビジネスを廻して行くのは難しくなってきました。

だからこそ、世界に向けてプロダクトやコンテンツを日本から発信することが必要となっています。

テクノロジーの発展により技術はコモディティ化し、誰でも低価格でプロダクトやサービスを受けれる様になりました。

それでは、日本は世界に向けて何を発信すれば良いのか。

その答えの一つが、エンターテイメントだと思います。

厳しい状況下や環境においても、世界で活躍するクリエイターやアーティストは日本にもたくさん存在しています。

日本のダンスもそれであり、事実たくさんのダンサーが世界で結果を残し活躍しています。

国際社会で生きていくという事は並大抵のことではありません。
昨今の世界事情が、それを如実に語っています。

今こそ、昭和の志と共に世界へ羽ばたくエンターテイメントを発信する。
そんな未来を想像していると大阪万博2025のビジョンが眼前に広がり、血と肉が沸き立つ様な激しい衝動と喜びで溢れました。

『心が躍り出す』とは、まさにこの事ですね。

昭和のエネルギーとエンターテイメントが盛り沢山なakaneさんのダンスの世界。
今後もどんな形で我々を楽しませてくれるのかが楽しみです。

そして、たくさんの人たちに熱い感動と共感をもたらす、偉大なコレオグラファーとダンサーの皆さんに心から感謝と敬意を込めて。

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