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前編【創作BL作家206名に聞いた】WEBTOONに対する本音とは?

若年層を中心に人気を伸ばす「WEBTOON」
韓国発のウェブコミックで、フルカラー・縦読み・無料……など様々な魅力から、読者層が広がっているようです。
世界における市場規模は、2028年には3兆円を超える予測だとか!

そんなWEBTOONを、BLファンはどのように見ているのでしょうか?
そこで今回は、最もコアなBLファンとも言える「創作BL作家」さん206名を対象にアンケートを実施しました。
BLファンの間でもWEBTOONは流行っているのか?そしてWEBTOON制作へのモチベーションは?など、ここでしか聞けないBL作家さんの本音を前編・後編に分けて盛りだくさんにお伝えしていきます!

BLファンはWEBTOONを読む?

まずはWEBTOONの利用について。
75%の作家さんが「WEBTOONを読む」と回答しました!

コミックアプリ・サービス利用者の約4割がWEBTOONを利用している、という調査結果(MMD研究所調べ)と比較すると、BLファンは一般に比べてWEBTOONを読む傾向にあるということがわかります。

多いのは日本の作品?海外の作品?

続いては読んでいるコンテンツについて。
韓国発コンテンツであるWEBTOONですが、読まれている作品の海外比率はどのようになっているでしょうか?

なんと約7割が海外=韓国の作品!
日本でもWEBTOONの読者数が増加していますが、作品の供給量はまだ追いついていないようです。
基本的には韓国作品の輸入が多く、WEBTOON市場はそれで成り立っているようです。
特に大手WEBTOONサイトである「NAVER WEBTOON」は、8か国語もの多言語展開で世界各地に作品を輸出しているそうです…!

ではこの内訳の中で、具体的にどんな作品が読まれているのでしょうか?
BL作品、非BL作品問わず聞いてみました。

ピンクで示されているのが、特に人気なBL作品!
『女神降臨』や『外見至上主義』など、映像化された人気WEBTOON作品を抑えてBL作品が1,2位を占めています。
横読み漫画のみならず、WEBTOONのジャンルにおいてもBL作品が人気のようです。

それでは特に人気な『ENNEAD(エネアド)』『夜画帳』『キリング・ストーキング』の3作を少しご紹介します!

ENNEAD(エネアド)
エジプト神話をもとにした一大叙事詩BL。近親相姦や歪んだ執着愛全開でかなり骨太、読み応えのある作品。

夜画帳
韓国発の時代物BL作品。元春画師の受けが有力者の攻めに迫られる、その強引さがBLファンに刺さる。

キリング・ストーキング
第2回世界マンガコンテスト大賞受賞。歪な共依存を描いたサイコホラーBL作品。読後感はかなり重い。

この3作品に共通するのは、全て「韓国作品」であるということ。
一般的なWEBTOON作品と同様に、BLジャンルでも国内作品より韓国作品が人気のようです!

WEBTOONに対するBLファンの望みは?

日常的にWEBTOONを楽しんでいるBLファンに「WEBTOON」に対する要望を聞いてみました。
どのような点にニーズがあるのでしょうか?

特に気になる回答は
「BL専門の配信サイトがメジャーになってほしい」
「日本の作品を増やしてほしい」
の2つでした。

BLファンはWEBTOONを読みたくとも「どこで読めばいいのか」「日本の作品が少ない」という意見を持っているようです。
これら2つのニーズについて、それぞれ詳しく分析しました!

BLファンのニーズ①:BL専門の配信サイトがメジャーになってほしい

韓国におけるWEBTOONのBL作品はどのように配信されているでしょうか?
二大WEBTOONサイトのうち「Kakao」の例を見てみましょう。

こちらのグラフはKakaoにおける新作作品のジャンル内訳をまとめたものです。
1年間に登録されたBL新作は156作品、全体の15%を占めて4位の作品数でした!

Kakaoは日本で言う「ジャンプ+」のようなメジャーなサイトですが、その中でも一定数のBL作品が楽しまれている模様です。
しかしKakaoはメジャーであるがゆえに、日本のような大人向けBL作品は多くないようです。

そこで台頭してきたのが「BLに強みを持つWEBTOONサイト」の台頭!

KakaoやNAVER WEBTOONのようなメジャーサイトに代わってBL作品を積極的に配信しているのが、以上4つのサイトです。
中でもLezhin(レジン)は日本語サイトがあり、日本のBLファンにも親しみのある作品が多いようです。

このように韓国ではBLに強いサイトが登場していますが、日本ではどうでしょうか?
WEBTOONを配信している日本のサイトとしては、「LINEマンガ」「めちゃコミック」「ピッコマ」の3つが特に人気です。

どのサイトにも「BL」というジャンル自体は存在しますが、どこもWEBTOONのBL作品は少なめ。
WEBTOONのBL作品が色々な場所に点在しているような国内サイトの現状から、それらをまとめたBL専門のサイトが求められているようです!

BLファンのニーズ②:日本の作品を増やしてほしい

2つ目のニーズは国内作品について。
普段は主に韓国の作品を読んでいるBLファンからはこんな意見が寄せられています。

舞台が現代の日本なのに日本らしくない描写(背景、食事、学校生活←特にこれ)があって違和感がある。webtoonの海外BL作品でそういうパターンをいくつか見掛けたので、webtoon自体は読むのが好きだがwebtoonのBL作品は敬遠しがちになった。

売れ線の似たようなイラスト、似たようなジャンルではなく、日本人に合うテイストのタテヨミが生まれてほしいと思います。

翻訳されて言葉は日本語になっているものの、微妙な文化の差から違和感を感じてしまう、という声がちらほら。
特に学校生活については制服や校内の様子が日韓で異なるので、違和感が大きくなってしまうようです。

また、翻訳のクオリティに対する意見も上がっていました。
BL作品は特に繊細な台詞の掛け合いも多いことから、少しでも違和感を抱くと冷めてしまう、という声がいくつか上がっていました。
BLを専門にしていない翻訳者が翻訳をする場合もあるため、必ずしもBLファンが満足するような仕上がりになるとは限らないようです。

以上のような意見(=「国内BL専門サイトが欲しい」「海外作品に満足できないので日本作品を増やしてほしい」)から、BLファンの「質の良いWEBTOON BL作品」に対するニーズは予想以上に大きいようです!

そのうえで、今後日本でWEBTOONが流行ると思いますか?という質問は、以下のような結果となりました。

「もっと流行ると思う」と回答した方が圧倒的多数!
少しずつ作品数の増加や質の向上を感じているようで、今後のジャンルの成長に期待が寄せられているように感じます。


前編のまとめ

創作BL作家さん206名にWEBTOONに関するアンケートを実施した結果、75%の方が読んでいるという結果に!
依然として韓国作品が多い中、日本オリジナルの作品やBL専門サイトを求める声が上がっていました。
WEBTOONのBL作品は、これからの成長に期待ができるジャンルだという結果になりました!

そして後編では「創作BL作家のWEBTOON制作」についてお届けします!
果たして創作BL小説家、漫画家は、分業によるスタジオ形式の作品作りに対してどのような感情を抱いているのか…などなど、必見の内容です!!
次回もぜひご覧ください♪

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