自分語りnights by星空
最近、夢に神様が出て来る。
だからといって、お告げや予知夢をくれる訳でもないし、願いを訊いてもらえる事もない。むしろ、話を聞いているのはこっちだ。まるでカフェにてミルクティー片手に親友と駄弁ってるかのように、知らなくても生死には関わらない事を話し続ける。
きっと今夜も、
「でさ~、それでジンサったらセンスがないの、ホントに終わってる。だってさ、いくらなんでも出張土産がストラップってあり得ないよね? それを貰ってどうすれば良いのって話〜 着けたくはないし、かと言って二度と日の目を見させないのもどうかと思うの、」
今夜も始まった。神様の話(愚痴)を永遠と聞く夢。別に嫌いじゃない。というか普通に面白い。
話の内容に触れておくと、「ジンサ」ってのはこの神様の知り合い。よく話に出てくる。でもこの神様から嫌われている事以上は知らない。神様にも出張があってお土産文化もあるのは初耳。だから詳しい事はわからない。
それと、今愚痴を吐いてる神様だけど、口調から多分女性だと思う。こうも曖昧なのは、なぜだか輪郭が歪んで顔やシルエットがはっきりしないからだ。
「わたし、占いだと今年は嫌なこと一つ起こらないって言われたのに、新年早々、すでに気分悪いんですけど、」
気分悪いまでに発展させたのは嫌悪感情を働かせ過ぎただけだと思うけど、そんな事より、
「神様の世界って、占いあるんですか? 誰が占ってるんですか?」
って事の方が気になってしまった。
「人間のことは人間が占ってるでしょ、それと同じで神のことは神が占ってるよ。まあ、当てになんないけど、」
何だか不思議な感じだ。
「日本みたいにさ、八百万の神がいたら、たいじんかんけいも苦労するのよ」
おそらく、『たいじんかんけい』は『対人関係』ではなくて『対神関係』という字があてられるのだろう。
「来世は唯一神がいいな~、一人ぼっちで楽そうじゃん」
「ちょっと待って下さい。唯一神が居るんですか? 八百万の神が居るのに?」
サラッと矛盾していないか?
「伝説みたいなものだけどね。会ったことはないし、存在が確認されたこともないけど居るってことは真実らしいよ。どうしてかはわたしも良く知らないけど、」
あっちの世界も完璧な世界って訳じゃなくて楽しそうだ。
「あっ、そろそろ時間ヤバい。じゃあ、わたし帰るね、今夜もありがと。じゃぁね、幸ある明日に女神の加護を、」
最後だけ神らしいセリフを残して、消えてしまった。
目覚めは疲労感があるという事はなく、むしろ、朝には似つかないほどのエネルギーが動いている。きっと悪くない一日が始まった。
そして、確実に今夜もあの女神は他愛もない話をしてくれるのだろう。
あとがき
おはようございます。深志文學の星空です。
世の中には、自分語りばかりする人っていますよね。あるいは、口を開けば愚痴や文句しか言わない人とか。私はそういうのをただ聞くのが好きです。もちろん自分に対するネガティブワードは嫌いですが。
この物語で挑戦したのは、今風の話し方。できる限りラフでチャラチャラした話し方をさせてみたのですが、私が割と古風なのもあって予想外に苦戦しました。なんか文字に起こすと雰囲気違うってのがよく起こりました。まだまだガンバリが必要です。
では。
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