夢の海外旅行

 友人たちとイギリスに遊びに行った。
 ある日、ひとりで鉄道に乗った。空き席を探して歩いていたが、先頭車両に近づくほど、柄が悪くなっていく。
 床に寝そべっているガキが多く、なんてことだと思ったら大人は座席に寝そべっていた。英国人め!
 どんどん先頭車両に近づき、雰囲気は最悪になって、次の駅に到着した。
 先頭のドアから飛び降りると、苔むした長い階段が続いていた。カエルがぴょんぴょん跳ねている。
 私もカエルのあとを追うように下っていった。長い階段だった。海岸に出た。
 砂浜は周囲三メートルくらいしかなく、泳ぐしかない。
 服を来たまま泳いでいるうちに潮が満ちてきたのか、どんどん水位が上がっていく。
 私とカエルは対岸の崖に飛びつき、這い上がっていった。斜度がおそろしく急で、まるでロッククライミングのようだ。
 ようやく上がりきるとそこは広い牧草地で、パラソルの下で妻が航空チケットを売っていた。

(了)

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