深川岳志

ショートショートを書く人。毎日、一作ずつ書いて、夜にClubhouseのルーム「ショー…

深川岳志

ショートショートを書く人。毎日、一作ずつ書いて、夜にClubhouseのルーム「ショートショートの朗読と雑談と」で朗読しています。よかったら、聞きに来てね。本職はフリーライター。好きな著名人は筒井康隆、色川武大、草彅剛、壇蜜など。

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■なにをするサークルか 「ショートショートの朗読と雑談と」の打ち合わせをしたり、記録を残したり、ショートショートに関する知見を蓄積するサークルです。 ■活動方針や頻度 「ショートショートの朗読と雑談と」はClubhouseで毎日19時から21時まで開いています。ショートショートを通じて交流が図れればいいなと思っています。 ■どんな人に来てほしいか ショートショートを書きたい人、朗読したい人に参加してほしいと願っています。ショートショートの定義は人によって異なると思いますが、ここでは100字から2000字程度の長さの小説を想定しています。 ■どのように参加してほしいか ショートショートを書いたら、どこに書いたか、URLを教えてください。面白い本や朗読があれば、メモを残していってもらえると助かります。また、ショートショートのお題も募集しています。 ■タイトル画像は、EATALK MASKのミムコさんによるものです。マスクケース文庫という面白いプロジェクトを運営されています。

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    自分でも毎日Clubhouseでショートショートを朗読しているのですが、朗読家の方に読んでいただくとまったく出来上がりが違います。このマガジンは朗読していただいた作品を紹介していくために作りました。

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    • 【ショートショート】口やかましい

       玄関を開けると、棒が立っていた。 「掃除に参りました」  よく見ると、コードレスの掃除機だ。足下に吸引システムがついている。 「自分でやるからいいよ」 「そういう人ほど掃除をしません」  正論である。 「お金は出せない」 「充電させていただくだけで十分です」  それならと部屋に入れたのが間違いだった。 「ものがあるので吸引できません。ものがあるので吸引できません」 「うるさい。同じことを何度もいうな」  私は必死になって床の上に放り出したものを右から左へ、左から右へと移動さ

      • 【ショートショート】サウナの夢

         ナイロンタオルを持って銭湯に行き、身体の隅々まで洗った。  次にサウナで汗を流した。汗といっしょに身体の中の老廃物も出ていくようだ。冷水に首まで浸かるときゅっと肌が引き締まる。  身体の内も外もキレイになってアパートに帰り、すぐに薄がけ布団をかぶった。  夢の中に小人が出てきた。何人もの小人が裸の私を一生懸命小さな布きれで擦っている。なにかを塗りつけ、広げているようだ。乾燥するのを待って、また皮膚という皮膚を何度も擦る。  目が覚めると、肌がツヤツヤしていた。  私は会社に

        • 【ショートショート】巨大猫

           前に飼っていた猫が亡くなってから半年。  妻が新しい猫をもらってきた。  今度は雄の赤ちゃんで、茶トラだ。毛並みがとても美しい。  猫の成長は早い。半年もすればもう大人だ。  つい先日まで掌に乗っていたと思うのに、もういまでは本棚の上やカーテンレールの上を歩いて、私たちを見おろして威張っている。  五年たった。  我が家の猫はまだ成長を続けている。体長は三メートルくらい。  リビングの床にのび、だらんと身体をひろげるとまるでペルシア絨毯である。  私も妻もよく猫の上で昼寝を

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        記事

          【ショートショート】空飛ぶペット

           友だちのユウジのマッションを訪ねた。 「やあ、いらっしゃい」  リビングに入ると、毛深い絨毯がなくなり、柔らかい木目のカーペットに変わっていた。 「あの高そうな絨毯、どうしたんですか」 「ああ、彼なら帰って行った」 「彼?」 「うん。毎年、春になると、窓から飛び出していくんだ」 「空飛ぶ絨毯ってことですか」 「メールアドレスをつけておいたら、先方から返事が来たよ」  ユウジはスマホを開いて、ロシア語のメールを見せてくれた。 「渡り絨毯、ですか」  とぼくは言った。 「こんな

          【ショートショート】空飛ぶペット

          【ショートショート】タイル掃除

           洋式トイレの便座に腰かけていて、ふと、壁のタイルが一枚浮き上がっているのに気がついた。  この家も古いからなあ。  薄青のタイルを、力をこめてぐいと押した。カチっと音がする。  まわりのタイルがぱらばらと剥がれ落ちた。そのうち勢いがつき、狭いトイレのタイルが全部落ちてきた。 「うわあ」  オレはあわてて個室から逃げ出した。  騒音が静まってから扉をあけてみると、床はタイルの山になっているものの、壁はピンク色のぴかぴかのタイルに一変している。タイルの下にタイルがあったのだ。

          【ショートショート】タイル掃除

          【ショートショート】シンデレラの靴

           魔法使いは、かぼちゃの馬車、美しいドレス、ガラスの靴を用意しました。  シンデレラは喜んでドレスを身につけ、靴を履こうとしました。しかし、サイズが合っていません。 「サイズがふたつ違うわ」 「数時間だけだ。頑張りな」  魔法使いは冷たく言い放つと姿を消してしまいました。 「痛い痛い。ああ、痛い」  パーティ会場の隅で椅子に座り込み、しくしく泣いているシンデレラの姿を見た王子様は、 「どうしたのですか」  とたずねました。 「靴のサイズが合わなくて足が痛いのです」 「可哀想に

          【ショートショート】シンデレラの靴

          【ショートショート】柿のタネ

          「残業させちまって悪かったな」  ヤマシロは部下のタテカワショウコに謝った。見張りが長引いてしまったのである。ふたりは小さな探偵事務所の所員だった。  晩飯を奢り、流れでヤマシロの行きつけのバーに行った。 「なに飲む」 「カシスソーダをお願いします」 「じゃ、それとバーボン。あと、柿のタネね」  ヤマシロはピーナッツに手を伸ばした。  タテカワもピーナッツに手を伸ばした。  偶然ではなかった。ふたりともピーナッツ派だったのである。  柿のタネの山が残ってしまった。  なんとな

          【ショートショート】柿のタネ

          先週のショートショート【24年04月14日~04月19日】

          ■2023年04月14日(日) Yumikoさんの最後のお題は「ガウチョパンツ」。まるで試練のようだ。ガウチョパンツでなにを書くか。結論として棺桶に行き着く。自分でもここに行きつくまでの頭のなかの動きは妙なものだと思う。とにもかくにも「ぼくが死んだときには、特大の棺桶が必要になるだろう」と書き出してしまったので、最後まで一直線に書いていく。タイトルは「増える荷物」。妻からの評価は低い。 ■2024年04月15日(月) 今日からAkiさんのお題。本日は「混雑」。いいお題。書け

          先週のショートショート【24年04月14日~04月19日】

          【ショートショート】夜のお勤め

           深夜、キタムラが墓場に到着すると、弟はホッとした顔をした。 「交代だ。大丈夫だったか」 「ああ。なんもねえ」 「腹減ったろ」  キタムラは弟にサンドイッチを渡した。 「ありがてえ」  弟は包装を破りながら墓場をあとにした。  キタムラ家の墓は、六坪ほどの大きな地面にぽつんと建っていて、まわりに砂利が敷き詰められている。いかにもゾンビが好みそうな墓であった。  右隣はモリヤマ家の墓、左隣はサトウ家の墓である。それぞれの家の墓守とはお互いに顔見知りであった。  キタムラは持って

          【ショートショート】夜のお勤め

          【ショートショート】マルのお仕事

           ヒロシの部屋はシンプルだ。ドアを入って左側にベッドがあり、突き当たりには勉強机と椅子。  机の上には単語ドリルが広がっている。 「ああ、面倒くさい」  と呟きつつ、ヒロシはノートに英単語を書き写す。 「オレも猫になりたい」  ごろんと腹を見せて寝ていたマルが、 「にゃん」  と鳴く。 「おまえは何もすることがなくていいなあ」  ――そうかな。 「えっ」  声が聞こえた気がして、ヒロシはあたりをきょろきょろと見回した。  マルがのびをして立ち上がった。  ベッドから下り、ペッ

          【ショートショート】マルのお仕事

          【ショートショート】静かな宇宙人

           世界中の大都市に巨大な宇宙船があらわれたとき、人類は「すわ、戦争か」とおもった。  無数の宇宙人が地上に降り立った。  宇宙人は地球人にそっくりだった。  地上に降り立った宇宙人は、しかし、何もしなかった。  政治家、科学者、哲学者などがファーストコンタクトを図ろうとしたが、ことごとく失敗した。相手は無反応だったのである。  宇宙人の数は数千万とも一億とも言われたが、誰がリーダーなのかもわからない。  念のため、宇宙船の捜索も行われたが、ただの空洞としか言いようがなかった。

          【ショートショート】静かな宇宙人

          【ショートショート】別荘と下宿

           ヤマモトタツルは風光明媚な場所に住んでいる。言い方を変えれば田舎だ。  山の麓なので家は樹木に囲まれ、五分ほど歩けばきれいな川もある。  ただ、美しい自然はたまに見るからいいのであって、住んでいるとすぐに飽きる。  タツルはレンタル別荘を始めることにした。  季節のいい時期だけ、別荘地として顧客に貸し出す。顧客の自宅はその間、留守になる。タツルは管理者として顧客の自宅に住まわせてもらうわけである。 「もしもし、ヤマモトさんですか」 「そうですが、あなたは」 「コバヤシです。

          【ショートショート】別荘と下宿

          【ショートショート】弁慶のハンコ

           タツヤは猫を飼っている。「弁慶」という名前だ。  膀胱炎の検査治療費に四万円かかった。ペットの病気にはお金がかかると聞いていたが、ホントである。  いざというときに備えるため、タツヤは都心にあるにゃんにゃん保険のビルを訪れた。窓口の男性は、タツヤの書いた書類を確認し、 「では、ハンコを」  と言った。  タツヤがハンコを押すと、 「違いますよ。ご本人様のハンコです」  と指摘する。 「ご本人様というと、弁慶のことですか」 「そうです」 「弁慶にハンコはありませんが」 「では

          【ショートショート】弁慶のハンコ

          【ショートショート】予約が大事

           ショウタがアヤコのスマホ画面に見入っている。 「ここ、人気店なのよ」  洒落た外見のカフェだ。 「なにがいいの」 「スイーツ。チーズケーキが絶品なの」 「入れるかな」  とショウタは心配した。 「大丈夫。予約済みだから」  アヤコはちらっとスマホを見た。 「あと百人か。五時間くらいね」  ショウタはびっくりした。 「いつ予約したんだい」 「三日前」 「気が遠くなる」 「このくらい常識だよ」  それからふたりはアヤコが予約していた美術館で特別展示を鑑賞し、一週間前から予約して

          【ショートショート】予約が大事

          【ショートショート】増える荷物

           ぽくが死んだときには特大の棺桶が必要になるだろう。  というのも、手術の失敗という思いがけない理由で妻が亡くなったからだ。  全身麻酔で意識がなかったから、妻は自分が死んだことに気づいていない。  いまでは幽霊として病室に取り憑いている。  ただ、本人にその自覚があるかどうか。  病室から動けないらしく、メッセージアプリでほしいものを連絡してくる。 「歯ブラシを買ってきて。毛の柔らかいやつね。私、歯茎弱いから。歯磨き粉はわかっていると思うけど、シュミテクトよ。あ、それからコ

          【ショートショート】増える荷物