見出し画像

「アルトゥロ・ウイの興隆」2回目。

 「アルトゥロ・ウイの興隆」を観た。2回目である。今回は、5列30番という非常にいい席。
 動き踊る草彅剛の汗しぶきが、美しいライトに照らされて見える。とても45歳とは思えないキレと体型。
 ジェームス・ブラウンを唄う草彅、歌、うまいじゃんと思う。オーサカ=モノレールの人も唄うのだけど、より演劇的で心に響いてくるものを感じた。
 客席の熱狂を生むためには、本来はもうすこし小さな箱がよかったのかもしれないが、それは贅沢というものだな。
 私の好きなシーンで、ウイが腹心の部下を裏切り、処刑するシーンがある。そのあとで、部下の亡霊にとりつかれるウイ。細かい演技の襞が伝わってくる。
 場面は少ないが、ヒットラー的かと思えるのは演説場面。シカゴから勢力を拡大していく中で、聴衆に「私を信頼せよ」と呼びかけるシーンがあり、説得力があった。
 ちょっとコミカルなのは、シェークスピア役者に歩き方や立ち方、座り方を教授されるシーンだ。おかしいのだが、あのハイルヒットラーの動きが再現されると、やや慄然とする。

新作旧作まとめて、毎日1編ずつ「朗読用ショートショート」マガジンに追加しています。朗読に使いたい方、どうぞよろしくお願いします。