起業
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「言い出しっぺのおまえが会社を作らなくてどうする」
と、みんなに責められて、経営戦略企画室所属の平社員、大文字長治郎は頭を抱えた。空間と時間を濃密に活用するために会社をいっぱい作ってしまえばいいと乱暴なことを言ったのは自分自身だ。
自業自得。
いっそ、絶対に反対されることを言ってみようか。
時流に反している業種といえば、アレだ。
「不動産会社はどうですかね」
「面白そうだな。やってみな」
裏目に出た。
やけくそで考えた企画書はこうだ。
タイトルは「コンテナハウス」。コンセプトは「ホームレス用ホーム」。
暴落した土地を全国で確保。建売住宅を販売するが、土地は使用権のみの販売とする。住宅は個人用のコンテナハウス。トラックに積めば、どこにでも引っ越しできる。基本的にコンテナであるからいくらでも積み重ねられる。ローン返済に困れば工事現場近くに確保した臨時の土地に移ってタコ部屋モードに移行。
全国初の設計、建築から口入れ業までカバーするマイホーム総合支援企業。
さあ、どうだ。
「やってみなさい」
「そんなあ」
(了)
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