「敵襲だあっ」
「号令っ」
「ワンっ」
「ツー」
「スリー」
「フォー」
「よしっ。いくぞ」
「ワンっ」
「あっ、バカ」
　ワンワン軍曹の銜えた手榴弾がコロコロと転がってきた。兵隊2が恐ろしい顔をして拾い上げ、思い切り投げる。
　数十メートル前方で爆発、匍匐前進していた兵士達が飛び散った。
「馬鹿者っ。もう一度号令」
「ワンっ」
　また手榴弾が転げ落ちた。人が右往左往するのが面白いらしく、ワンワン軍曹は自分から手榴弾を銜え、どんどんピンをはじき飛ばした。
　味方陣地はたいへんなことになった。四方八方に手榴弾が飛ぶ。爆弾の煙幕のようになり、戦闘が終わったとき、敵は潰走していた。
　めでたしといってよいのかどうか。
「号令」
「ワン」
「トゥー」
「スリー」
「フォー」
「任務完了。解散っ」

（了）

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