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菜の花を前に首振るカラスかな

 この俳句は本当に帰りがけにちらっと見かけた光景をそのまま五七五にしたものです。カラスの行動の理由も確かめられないほどの、ほんの一瞬のことでした。緑色のフェンスに一羽のカラスが止まり、その向こうにある菜の花畑を眺めながら、頷いているのです。まるで畑の持ち主が作物の成長ぶりに満足しているかのように。そうでないとすると、何に頷いていたのでしょうか。

 カラスの好む食べ物について調べてみると、葉物野菜は好まないようです。だから、菜の花自体を狙っていたとは思えません。農作物の中では、スイカやトマトやインゲン・ソラマメが畑で食害に遭うそうなので、インゲンかソラマメが菜の花畑の一角に植わっていたのでしょうね。畑の持ち主さんからすれば腹立たしい行動かもしれません…。

 それはさておき、通勤途中で見かけるカラスたちは、見ていてなるほどとこちらを感心させる頭の良さです。例えば、信号近くの電線にいつもたくさんカラスが止まっているので、何か気味が悪いなと思っていましたが、飼料運搬車が信号で止まるたびにバサバサッと数羽が舞い降りて、たぶん飼料をタンクに入れる時に周囲にこぼれた飼料をついばんでいるのです。朝は何台も飼料運搬車が通るので、信号待ちのたびにエサ場がやってくるような感じでしょう。どのカラスが最初に気づいたのか、相当の賢さですよね。いかなる環境でも知恵を働かせて生き抜いていくたくましさに、頼もしさを感じます。

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