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薄青き空いっぱいに風光る

 しばらく雨ばかりの日々でしたが、ようやく晴れました。早朝から空が明るく光っています。何と言えばいいのか、昨日までとは空気感が違うのです。見るものすべて、日一日と輝きを増しているのを感じます。

 「風光る」とは、春の明るい日差しの中で、風がきらきらと光り輝くように感じられることを表す春の季語です。その言葉だけで日常が詩に変わる、美しい表現ですね。

 海からの風が菜の花畑をなで、木々の梢を揺らして、空へ吹き抜けていきます。肌寒いのに、ガラス越しの風景は太陽の光に満ちていて、自然に心が浮き立ってきます。こんな日はコンビニで三色団子とお茶を買って、公園のベンチで過ごしたい。ボール遊びをする子供たちの歓声や、山からの鳥のさえずりを聴きながら、目を閉じて春の空気を感じたい。一日が始まる前からそんな空想でそわそわとしてしまう、春の朝です。

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