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【レビュー】『ヒットマン2』誰でも楽しめるフリーダム暗殺体験【ネタバレ無し】

 IO Interactive開発、ワーナーブラザーズより販売された三人称のステルスゲーム。PlayStation 4、Xbox One、PCで発売されました。

 究極の暗殺劇を体感する準備はいいか?
 プレイヤーに与えられた任務は、神出鬼没の影のクライアントの抹殺。太陽光が焦げ付く街中から、暗く危険な熱帯雨林まで。
 世界で最も危険な暗殺者「エージェント47」の手にかかれば、この世に安全な場所など存在しないー・・・

公式サイトより引用

 ステルス、と言ってもメタルギアやアサシンクリードのように相手の視界に入らないのではなく、変装を駆使して堂々と侵入するのが本作の特徴。
 トライ&エラーを繰り返しながら暗殺手順を構築していくパズルゲームに近いタイトルなので、アクションが苦手という方でも楽しめると思います。

 ターゲットの雇ったボディガード達に紛れたり、寿司屋の板前に怪しげなシャーマン、果てはマスコットの着ぐるみなど冗談みたいな服装も。
 意外な変装が打開のカギになることも多く奥が深いです。ハードコアな暗殺ゲーかと思いきやユーモアたっぷり。

こんな姿が時として作戦上必要不可欠に
いたって真面目なエージェント47の言動と姿のギャップがシュール

 ちなみに筆者は前作プレイ済み。ただ、前作はしんどさが勝り各シナリオ一回やって辞めてしまいました。
 理由は後述。

誘導が強化され一気に楽しみやすく

 特にミッションストーリー(前作ではアプローチという名称だった)の誘導が丁寧になっており、例えば特定の変装をしろ、という際に無力化しやすい孤立したNPCをマーキングしてくれたり、工具や毒物などの必須アイテムの位置をあらかじめ教えてくれたりします。

 前作では誘導に従ってせっかく機会を作ったのに肝心の毒物が見つからずみすみすチャンスを逃すとか、いつまで経っても必要な変装が出来ず詰むという問題がありました。
 多種多様な暗殺手段が用意されているのがウリの本作ですが、最低限のアイテム配置や変装ポイントを把握出来ないと手段を選ぶ以前で止まってしまうので、一通りプレイしながらこれを理解出来るようになったことで劇的に遊びやすくなりました。

丁寧に取り除かれたイライラポイント

 他にも分かりにくかった監視カメラの視界が表示されるようになったり、自分が今ステルス状態なのかが視覚化され一目で分かりやすくなったり、ベルを鳴らすなどした際にどのNPCが反応したのか表示してくれたり、他にも細かな改善が多数なされ、不親切さからくるイライラが取り除かれています。

 このシリーズはMGSやアサシンクリードといった他のステルスゲーに比べ難易度が高めで、その代わりセーブロードがいつでも出来るトライ&エラーを是とする作品なので、尚更この改善がプレイフィールの向上に直結し、多くの人が楽しめるゲームになりました。

 本作はあまり新要素という新要素がない事がしばしば批判されているそうです。
 ただ、新作だからといって新しい要素を詰め込むより、細かいストレスを可能な限り排除する方針は正しい判断だったと私は思います。

一つのステージを何度も遊びたくなる「自由な暗殺」

 ターゲットを直接銃などで仕留めるのは勿論のこと、医師に扮して医療ミスを装ったり、エンジンに細工して車を暴走させたり、カバのエサにしたり(!?)と多種多様な方法がとれるので、同じステージを何度も繰り返して遊べるつくりになっています。

 暗殺パターンはクエスト化されており、達成すると報酬が得られることもあって、同じターゲットを仕留めるのでも毎回展開や場所、手段を変える事になる為、全く飽きが来ません。

 そうして繰り返し遊ぶうちに装備は充実していくし、敵の配置や有効な変装ポイントなどを把握出来るので、いつの間にか高難度のクエストにも挑戦出来るようになっていて、自然と自身の成長を感じられる点もとても良いですね。

ムービーとローカライズ周りに問題アリ

 この点に関しては明確に前作から劣化してしまいました。

 まずムービーがいわゆる紙芝居形式に変更。
前作が高品質だっただけに落差が大きい。

 加えて前作に入っていた日本語音声が廃止され、字幕のみになってしまったのは大きなマイナスポイント
 またローカライズは発売当初より随分と改善されたようですが、DLC系ミッションのムービーと字幕が全く合ってなかったり、本編でも修正が甘い箇所がちらほら残ってたりして、詰めの甘さを感じます。

 原因は開発のIOインタラクティブがスクエニ傘下から独立したことで、そのあたりの支援を受けられなくなったことだそうで・・・
メインとなるゲームプレイにはさほど影響がないのは幸いでしょうか。

要点まとめ

良い点

  • 誘導が強化されて自然に上達出来る仕組みに

  • 前作の複数の問題点が解消され遊びやすく

  • 何度も同じステージを遊びたくなる自由度の高さと選択肢の豊富さ

悪い点

  • ムービーが紙芝居形式に簡略化

  • 吹替の廃止に加えローカライズの質も今一つ

総評

 元々アイデアは素晴らしいシリーズですが、前作から細かい部分のクオリティが大幅にアップしたことで傑作・名作といった評価を下して良いタイトルになったと思います。

 ステルスに分類される作品ではあるものの、同系統の他のタイトルでは楽しめない魅力が詰まっているので、よくあるステルスゲームには飽き飽きしているという方ほど遊んでみて欲しいですね。
 真面目一辺倒ではなく、時折入るバカゲー要素の緩急も相まって遊んでてとにかく楽しかったです。

 なお現在では本作を含めた三部作が統合され、「HITMAN World of Assassination」というタイトルに集約され販売されているため、本作のみを単独購入することは出来なくなっています。
 まああえて単独購入するメリットはほとんどありませんので、興味のある方は素直に統合版を購入していただければよいかと。

評価・・・9 - Amazing(驚くほど素晴らしい)/10

※本レビューの点数はIGNのガイドラインを基準としています。

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