大手アパレルのEC売上におけるZOZO比率をまとめてみた

こちらのnoteではファッション業界の最新ニュースを1週間に5本程度解説し、その先に起こり得る事や豆知識を盛り込んでご提供いたします。
先週のピックアップニュースは下記の通りです。

・大手アパレルのEC売上におけるZOZO比率をまとめてみた
・オリジナルスティッチ・Amazonも参入!サイズを切り口にしたプラットフォーム戦争の覇権はどこに行く?
・ユニクロはアジアでどれくらい強いのか調べてみた
・アパレル企業が来店頻度を上げる為にはどうしたらいいのか?
・ファッション雑誌発行部数減少の推移とこれからのファッション雑誌のあり方


大手アパレルのEC売上におけるZOZO比率をまとめてみた

ユナイテッドアローズのEC売上は235億円で16.4%増(18/3期)、EC化率は3割めざす方針

アパレルブランドを展開するユナイテッドアローズの2018年3月期におけるEC売上高(単体)は、前期比16.4%増の235億2500万円だった。 (中略)単体売上高は1283億5600万円。EC比率は18.3%で、2017年3月期と比べて1.6ポイント上昇している。 自社ECサイトと「ZOZOTOWN」でEC売上高の約8割を占めた。自社ECサイトの売上高は前期比34.9%増。自社ECサイトと「ZOZOTOWN」における客単価は同4.9%増、客数は13.5%増だった。

ユナイテッドアローズの決算発表があり、その中でEC売上にのみフォーカスした記事。これを見てちょっと気になったのが

「EC全体の売上のうち、ZOZOTOWNでどのくらいの割合を売っているのか?」

という事。ユナイテッドアローズの決算資料の「質疑応答集」にその記載がありまして、

質疑応答集

Q、通販サイト別の伸び率、売上構成比について知りたい。
A、㈱UA のネット通販売上は 232 億円で前年から 16.4%増。主要サイトでは、ユナイテッドアローズ オ ンラインストアが 35%増で構成比 23.2%(前年から 3.1pt 増)、ゾゾタウンが 12%増で構成比が 57.0% (同 2.4pt 減)、楽天ブランドアベニューが 64%増で構成比が 6.5%(同 1.8pt 増)、アマゾンが 28%増 で構成比 2.8%(同 0.2pt 増)となりました。

ユナイテッドアローズのZOZO売上構成比は全体の57%。232億円の57%ですから正確な売上は132億円。2017年と比較すると、EC全体が202億円でZOZO売上構成比が60%で121億円。まとめたものが下記になります。

      2017年3月期 2018年3月期
EC全体    202億円   232億円
ZOZO売上   121億円   132億円
自社EC売上  40億円    54億円
ZOZO比率    60%     57%

売上は伸びていますが構成比がやや下がり、ZOZOへの依存度は少し軽減されたようです。ただユナイテッドアローズのECはスタートトゥデイがフルフィルメントを担当していますから、自社ECが伸びてもスタートトゥデイに恩恵があります。そしてまだまだ半分以上はゾゾタウンでの売上。ユナイテッドアローズの中でも特にB&YはZOZO上でトップレベルに売上がよく、ランキングでも常に上位にいるようです。しかし、ZOZOに出店しているどのブランドでもそうですが前年の売上を上回るべくクーポンとセール強化が顕著すぎて、このままではブランド力を削りかねないような状況が続いております。

http://zozo.jp/zozoweek/

5月ってまだまだプロパー期間なんですけど…。まあ昨今、プロパーなんてあってないようなものですが。。では他のアパレル各社ではどのくらいの比率なのか、公開されている数字を調査してみました。

○パルグループ

パルは先日、公開されてましたのですぐわかります。

EC全体   110億2100万円 
ZOZO売上       71億8300万円
自社売上    19億8700万円
ZOZO比率               65%

ユナイテッドアローズと比較するとZOZO依存度が高い事がわかります。クーポンの餌食にならないようお気をつけください。

○ベイクルーズ
上場企業ではありませんので明確な数字は公開していませんが、アパレルの中でZOZO依存度を下げる事に成功している企業の一つがこちらのベイクルーズなんではないでしょうか。

自社ECのベイクルーズストアの売上が44%増の137億円のベイクルーズ、伸びている理由は? 物流問題の影響は?

2017年末の記事ではその当時の数字が、

EC全体     275億円
ZOZO売上      107億円 ※ZOZO比率39%から逆算
自社売上   137億円
ZOZO比率     39%

と完全に自社ECが逆転。ベイクルーズの各ブランドサイトのコンテンツの作り込みは参考になりますので、自社の売上が伸びるのも頷けます。

○アダストリア
自社EC売上の大きさで言えばアダストリアも業界トップレベルです。自社ECモール「.st(ドットエスティ)」の売上高は自社ECの中ではユニクロについで業界2位。ただZOZOの売上が公開されておりません。ログミーの決算説明会書き起こしを見てみますと、

アダストリア単体の国内売上が2002億円。その8.6%が自社ECの売上になります。

EC全体    333億円
自社売上     172億円
ZOZO比率  48%以下

つまり残りの161億円が他社モールでの売上ですが、仮に残り全てがZOZOの売上でも構成比48%。アダストリアは楽天でもマガシークのようなファッションECモールでも商品を販売していますから残り全てという事は絶対ありえませんが。

販管費率は52.0パーセントと、前期比で3パーセント上昇しております。広告宣伝費率は、0.4ポイントの上昇となっております。こちらにつきましては、10周年というアニバーサリーもございました「ニコアンド」など、主力ブランドにおける広告宣伝の強化、そして他社ECサイトでのクーポン増加が、主な要因となっております。

上記はログミーの抜粋ですが。。

「他社ECサイトでのクーポン増加」

この一文、まんまZOZOの事やん…。

○オンワード樫山
百貨店アパレルにしては珍しくEC売上を大幅に伸ばしているオンワードさん。ターゲット顧客の年齢層が高く、ZOZOの主要顧客である30代前半の女性とはややずれるからこそZOZO比率は低いようです。

EC全体    203億円
自社       152億円 ※自社比率75%から逆算
ZOZO比率   25%以下

直近の決算資料からEC全体の売上が203億円。自社比率が75%という事で152億円がオンワードクローゼットの売上。他社モールではフラッグショップやマガシークでの取り扱いもありますので、ここも残り全てがZOZOという訳ではありません。というかオンワードの自社比率めっちゃ高いですね。百貨店アパレルなのにこの数字はすごい…。

○TOKYO BASE
EC比率の高さで言えば業界トップレベルのTOKYO BASEですがZOZO依存度が高い事でも有名です。

TOKYO BASE IR 

こちらは明確にZOZOの数字が掲載されていましたが、

EC全体    49億7000万円
ZOZO比率    86%
自社比率    14%以下

逆に自社の売上や比率の掲載がありませんでした。が、モール出店は見る限りではフラッグショップくらいでしょうか。出品もレディースのみで点数も知れてますので売上としては微々たるものかと。自社ECの売上は6億円前後といったところでしょうか。そんな事より、

こちらのEC専用ブランドにちょっと驚き。。そんなんやってたのね…。ZOZO比率が高すぎなので、養分になりすぎないようご注意ください。

そんな訳で(どんな訳だ)、思いついたところや数字拾いやすいところをピックアップしてみました。パッと拾った数字なのでもし見落としてそうなところあればご指摘ください。どんどん追記していきます。


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