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Qrioに4年間エンジニアとして携わって経験したこと #6

続きです。

Qrio ただいまキット (Q-TK1)

Q-SL2の開発が走っていた2017年の冬、Q-TK1の開発も並行で走っていました。

Q-TK1は、Qrioが持つ既存のハードウェア(Q-ST1とQ-H1)を組み合わせて実現した製品で、社内のアイデアソンで製品化が決まりました。

アプリとしては、Androidアプリは僕が担当し、iOSアプリは社外の業務委託メンバーが担当する体制で進んでおり、Androidアプリの実装期間は片手間で約2ヶ月と短かったものの、幸いにもiOSアプリが先行してハマりどころを一通り潰してくれたお陰で、計画どおりの2018年2月に発売されました。

Qrio Lock (Q-SL2) ハンズフリー解錠

詳細は #2 を一読頂ければと思いますが、Q-SL1の「手ぶらで解錠」では、スマホの位置情報のみで外出とロックに近づいたことを判定していたことから、GPSが不安定な場合に意図せず解錠されてしまったり、また解錠ができないという問題が頻発していました。

この問題を解決するために、Q-SL2では、ロックに確実に近づいてから解錠を開始できるよう、ロック本体にビーコン(iBeacon)を搭載しました。

iBeaconを採用した最大の理由は、iOSでアプリが完全に終了した状態から起こすことができる、数少ない手段の一つだったためです。

しかしながら、iBeaconはロック本体の電池を大量に消費することから、ロック本体の電池寿命(1年以上の電池寿命が担保できる)と様々なスマホの反応速度(ドアの数m手前で反応できる)のバランスを取るためのチューニングに1ヶ月以上を要しました。

このチューニングを徹底的に行なったことで、当時ほとんどの環境で90%以上の解錠成功率を出せるようになりましたが、これを100%に近づけるためには、さらなる改善が必要と思っています。

また、モバイルOSも新しい省電力機能が追加されることでアプリのバックグラウンド動作が年々厳しくなっており、例えばAndroid 9 (Pie)で追加されたAdaptive Batteryなどに追従するため、Q-SL2の発売後も継続的に改善を行っていました。

Qrio Lock (Q-SL2) 発表/発売〜Qrio Key (Q-K1)

2018年7月6日の製品発表会の直前、Q-SL2の開発はピークを迎えており、サーバーやアプリの修正をギリギリのペースで行っていたことから、発表会の当日にアプリが動かなかったらどうしようとヒヤヒヤしていました。

発表会はなんとか無事に乗り切れたものの、その裏ではQrio Hub (Q-H1)とQ-SL2の組み合わせで動作が不安定になる問題が発生しており、日々徹夜に近い形でQ-H1のデバッグをしていました。

その結果、いくつかの小さな問題は残ったものの、発売には耐えられる状況となり、Q-SL2は2018年7月16日に発売されました。

Q-SL2の発売後はQrio Key (Q-K1)に対応するための機能追加を行い、Q-K1は2018年8月に発売されました。

Qrio Lock (Q-SL2) Apple Watch

Q-SL2の発売時点でApple Watchに対応することは確定しており、Q-K1発売後の2018年9月からApple Watchアプリの開発がスタートしました。

こちらは主に実装サポートを行っており、Apple WatchからBluetoothを直接扱ってロックを操作するための機能のサンプル実装や、Apple Watch向けに暗号ライブラリの差し替えなどを行い、2018年10月に追加機能としてリリースされました。

つづく

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