鰓耳腎症候群(指定難病190)

鰓耳腎症候群はBOR症候群ともよばれ、頸瘻孔・耳瘻孔・耳介の形の異常などに、難聴と、さまざまな腎臓の形態異常をともなう病気である。多くの場合、遺伝子の異常によって発症する。2010年の厚生労働省研究班の調査によると、わが国の患者数(医療受療者数)は約250人と推定されている。男女差はない。耳瘻孔や耳介の異常は生後すぐに気づかれる。重症な難聴や腎機能障害も生後早い時期に気づかれるが、軽症な場合は成人となってから健康診断などで見つかることもある。耳瘻孔と難聴があって他に大きな病気はないという方は、一度この病気のことを考えて腎臓の検査(超音波検査など)を受けることをお勧めする。多くの方は8番染色体にあるEYA1という遺伝子の異常によって発症する。一部の方は14番染色体にあるSIX1という遺伝子の異常でも発症する。このEYA1とSIX1がコードする蛋白は生体内では複合体を作って作用するので、いずれの異常でもほぼ同様の症状になる。鰓耳腎症候群は常染色体優性遺伝という形式で発症する遺伝性疾患である。両親のどちらかがこの病気であれば、50%の確率で子どもに遺伝する可能性がある。ただし、両親ともにこの病気でなくても、子どもにだけ発症することがある。難聴はほぼ全員の患者にみられる。感音性難聴、伝音性難聴、混合性難聴いずれもある。生後すぐに見つけられることもあれば、聴力検査で初めて気づかれることもある。また、多くの患者で耳瘻孔を合併する。その他、頸瘻孔、耳介の形の異常、顔面神経麻痺が見られることがある。腎臓の異常は、腎低形成(生まれつき腎臓が小さく、機能が悪い)や水腎症などがみられるが、腎臓の異常がまったくない場合もある。知能は多くの場合で正常だが、軽度な精神発達の遅れや難聴を原因として言葉の遅れがみられることがある。上記以外の症状(鎖肛、多指、網膜色素変性症など)がある場合は、他の疾患との鑑別が必要。特別な治療はなく対症療法になる。難聴はさまざまなタイプがあり、補聴器が有効な場合も手術によって聴力が改善する場合もある。多くの方は生後受けた聴力検査や腎臓の超音波検査で気づかれる。聴力が悪いまま放置すると言葉の獲得が遅れるので注意が必要。腎臓の病気が進行すると透析や移植が必要になることがある。聴力と腎臓の病気をうまく治療すれば、健常な方と同じ生活を送ることができる。腎臓の悪い方は水分をきちんと摂る、塩分の摂りすぎに注意するなどが必要である。難聴については専門機関で治療をしてもらい、必要に応じて言葉のトレーニングを受ける必要がある。

疾患の詳細はリンク先をご覧ください。

引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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