プラダー・ウィリ症候群(指定難病193)

プラダー・ウィリ症候群は生後すぐから力が弱く、呼吸や哺乳が障害される疾患。3歳を過ぎたころから食欲が抑制できず、過食と肥満になる。また、中度の知的障害を合併する。その他に外性器の低形成、小さな手足、特徴的な顔貌を示す症候群である。出生15,000に1人の割合で生まれる。特にどのような人に多いということはないが、ごく稀に家族例が知られている。原因としては15番染色体短腕q11-q13に位置する父由来で発現する複数の遺伝子の働きが失われたことで発症すると考えられている。父性発現伝子の働きが失われるメカニズムとして、15q11-q13の父性染色体微細欠失(70%)、15番染色体母性片親性ダイソミー(20%)、ゲノムインプリンティングの障害である刷り込み変異(5%)が知られている。稀に、染色体転座がみられる。欠失と片親性ダイソミーには遺伝性はなく、刷り込み変異(エピ変異)の家族発症例も報告されていない(刷り込み変異は受精後の体細胞分裂時に生じると考えられている)。極めて稀にプラダーウイリ症候群インプリンティング領域内の極微細欠失については遺伝性がありえる。しかし、プラダーウイリ症候群と類似する臨床症状を呈する他の疾患では遺伝性はありえるので、可能な限り遺伝子診断ならびに遺伝カウンセリングを受けることが推奨される。出生後から筋緊張の低下に気づき、そのため、呼吸の障害や哺乳障害が起こる。呼吸障害は早期に改善するが、哺乳障害はややしばらく続き、経管栄養が必要な場合が一般的である。経管栄養は数か月以内に止めることができる。3歳を過ぎころから食欲の抑制が難しくなり、自然に任せると高度の肥満になる。運動発達は次第に改善するが、知的発達の遅れが明らかになる。知的障害は中程度。約半数の方が低身長の基準を満たし、成長ホルモン療法の対象となる。性格の特徴として、幼児期は人懐っこさが目立つ。次第に頑固さや我慢ができないなどが増えてきて、問題行動をしばしば経験する。早期からの適切な栄養管理が最も重要である。発達については療育や特別支援教育を利用して、支援を行う。低身長の基準を満たす場合は成長ホルモン療法を受けることができる。成長ホルモン療法は身長だけでなく、太りやすい体質から筋肉質の体質に変わり、肥満の予防につながる。また、活動性も増加すると言われている。二次性徴については性ホルモン療法も試みられている。治療には専門医の受診が望まれる。乳児期の発達は遅いが、次第に追いつき、歩行開始以後は運動発達の遅れはあまりめだたない。知的発達は中度の遅れがみられるので、適切な支援が必要。学童期以降は福祉就労が目標になるが、知的能力に比べると、職場での適応に問題が多いと言われている。食事に関する問題と、精神的な問題が主たる問題となるので、社会参加を目指して早期から環境整備や心理発達支援に取り組むことが望まれる。日常生活では栄養・食事の管理が最も重要。決まった栄養を摂っていれば肥満にはならないが、一度肥満になると痩せることは困難。食事環境の整備と本人に対する食事指導を一貫して徹底することが最も重要である。単に、食事量を制限するだけでは長く続きしない。決められた1日のカロリーのなかで、楽しく有意義な食生活を家族と一緒に実現することが重要である。

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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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