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つまらない話

他人の(睡眠時の)夢の話を聞かされることほど、つまらない事は無いと思う。

以前に見た夢なのだが、

見上げると室外機などがいくつか頭上にある高いコンクリートの建物と細めの竹林に挟まれた狭い路地裏で、
壁沿いに何かの列に叔母と叔母が連れてきた知らない10歳くらい少女と14歳くらいの少年とで並んでいた。
少女はあどけない印象だったが、少年は落ち着いていて大人びていたし、身長も体格もしっかりとしていた。
だが、2人は同じ学年だという。
彼らは日本人であるが、明らかに背格好も雰囲気も差があるため、驚いて少年に尋ねると、
彼は、異国(名前を思い出せないが…)から来たという、そこで教育を受けれずに育ち、日本に来た時に学力テストをしたら、今の学年になったとのこと。
受け答えも、物腰もしっかりした少年だった。
その時には、あぁ、その国は…戦時下だったからね、とひどく納得したのだが、今となっては名前が思い出せないでいる。

そして、振り向くと、
わたしの後ろに、やせっぽちの少し浅黒い肌のアジア系の16歳くらいの少女が一人で並んでいた。

よく見ると顔などにいくつか傷があり、その顔には見覚えがありどこかで会ったことがあった。

しばらく考えていたら、ふと思い出し、タイで会った少女だと確信する。
日の暮れかかったタイの街中で夕食探しをしている時に、店の前で会って、少し言葉を交わしていた記憶が鮮明に蘇った。(しかし、現実では私はタイには行ったことはないのだが。)

タイにいたよね?と英語で話しかけると(夢の中だと英語が話せる不思議…)、
少女は怯えた瞳でわたしを見あげて、まつげに縁取られた大きな瞳に涙が盛り上がり、溢れてくる。
ここにたどり着くまでに、ひどいことをされたと、嗚咽交じりに話し始めた。
ひどい仕打ちをされ、汚いところで働かされていたという。

頬や唇にかさぶたが痛々しくできていたし、日焼けた服や足は、転んだようにところどころ泥で汚れていた。
やっとの思いでここまできたのだと、しゃくりあげながら、たどたどしく話す声は弱々しかった。

しかし、ここは日本で、彼女は大きなバックパック背負っていて、その荷物は明らかに旅行者のそれに見えた。

タイで、わたしと叔母に会ったの覚えている?ともう一度尋ねるが、
涙に濡れた黒い瞳は、覚えていないらしく不安そうにわたしを見上げたままだった。

それより、すごく不思議に感じたのが、
あなた、いろんなところを回っているの?だってタイでも会ったし、今回は日本だし…お金も住む場所もないのに。
と聞いてから、自分が、彼女の帰る場所がないという境遇を知っていることに驚く。

あ、彼女は難民なんだと気づく。

この列はなんだろうと起きる寸前に思った。
この列の先に何があり、わたしはなんでそこに並んでいるのかと、不思議に思った。

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