【現代麻雀への道】67 牌活字の誕生
追跡!牌活字の発明者
昨年12月、浅見さんのHPの掲示板に、こんな質問が書き込まれた。
大学の卒論で阿佐田哲也について書いています。そこで牌活字が最初に使われたのはいつかを知りたいのですが、誰(どこの出版社) が最初なのでしょう?
その場では、浅見さんやぼくが知る範囲で回答して、質問したJETRUGさんはその翌日が卒論の締め切りだったこともあってカタがついた。だが、はっきりした答えは出なかったため、ぼくは古くから業界にいる人にこの問題を聞いて回った。するとこんな情報があったのだ。
「それは阿佐田さんだよ。それまで牌は活字になってなかったから、凸版で処理してたのさ」
教えてくれたのは、麻雀博物館の古牌鑑定人・名木宏之(なぎひろゆき)さんだ。
当時の印刷は小さな活字を組み合わせて大きなハンコ状にするもので、麻雀牌は記号扱いされて凸版という格下のハンコにされていた。それが活字に昇格したのは阿佐田さんのときだったという。
昭和5年頃から麻雀書には牌がごろごろ出てくるが、それらは活字で印刷されたものではなかったのだ。
そこで今度は、双葉社で阿佐田さんの担当編集だった柳史一郎(やなぎしいちろう)さんに電話して聞いてみた。
「最初の牌活字? ああ、そうそう、阿佐田さんですよ。週刊大衆では小説の前に戦術モノを連載していて、その途中でしたねえ。そのころ平凡パンチが牌活字を作ると聞いたものだから、じゃあこっちも作ろうということになって印刷会社に作ってもらったんですよ」
ということは、双葉社が最初に作ったと?
「われわれは自分たちが最初だと思ってますけど、平凡パンチでも同じように思ってるかもしれないなあ」
いずれにしろ、「麻雀の推理」が始まった昭和41年から、単行本(後に「Aクラス麻雀」と改題)が発売された昭和44年の間であるようだ。
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