あなたには「怒りたい」部下がいますか?
はじめまして。
話し方研究所の代表、福田賢司と申します。
私は、お酒を片手にじっくりと語り合う、笑い合うのが好きです。
あえて「お酒の席」と書いたのには理由があります。
それは、お酒の席で生まれるコミュニケーションは「人間らしさが自然とにじみ出る」から。
普段中々聞くことのない「本音」を言いたいし受けとめたい。
思いを交換し合えるお酒の席は、様々な発見をくれます。
私と同じような理由で、お酒の席が好きな人は多いのではないでしょうか。
今回、みなさまにお伝えしたいのは、
「お酒の席のように、ビジネスシーンでも、もっと本音をぶつけた方が良いんじゃない?」
と、いうこと。ストレートに表現すると、
「上司はもっと部下を怒ろうよ」
という思いを書いていきます。
「叱る」ではなく「怒る」を教えたい
私は仕事柄、企業の新入社員から経営層まで幅広い方に、「コミュニケーションスキル」を磨いていただく研修をおこなっています。
コミュニケーションに関する課題は企業やポジション、時代によって変わるのですが、ここ2~3年、複数の企業様より、
「怒れない上司が増えて困っている。部下に対する怒り方を教えてほしい」
とのお話しをいただきました。
このオーダー、普通に考えるとおかしいですよね。
叱り方ならともかく「怒り方」をオーダーされるのは、20年以上コミュニケーションの仕事をしている私ですら、これまで受けてきませんでした。
なぜ、「叱り方」ではなく「怒り方」なのか。
実は、私はここに、コミュニケーションの意義を感じているのです。
感情は、信頼できる相手にしか出せない
事実に対して指摘をする「叱る」に対して、「怒る」は感情との結びつきが強い表現です。
だから、「叱る」はそれほど難しくはない。
サッカーの審判がイエローカードを出すようなものだから。
けど、「怒る」は難しい。
怒るには、自分なりの「ゆずれない正義」が必要だからです。
そう考えると、私の上司だった人たちは、たしかによく怒った。
怒ったけど、そこには上司なりの筋が通っていた。だから、受け入れられる部分もあったし、その教えは今でも糧になっています。
あと、自分の失敗レベルが分かるのも、上司の「怒り」だったりします。
普段優しい上司が、ここぞという時に怒ると、その失敗は本当にマズいものなんだと反省する。
反省するから、部下は結果的に成長できるんです。
何より、怒る姿って、とても人間的じゃないですか。
そういう、人間臭い部分を見せてくれる大人って、心を開いてイイんだなと思わせてくれるんです。
お酒の席で心が通い合うのは、喜怒哀楽を交換することによるもの。
ビジネスシーンでも同じことができれば、部下との心の距離がグッと縮まり、信頼関係が築けるのだと思うのです。
私は、コミュニケーションは「生きる力」だと考えています。
だから、コミュニケーションにはエネルギーが必要です。
あなたには「怒りたい」部下がいますか?
「怒りたいけど、怒れない…」
そう思い浮かぶ部下がいるなら大丈夫。
たまには、自分の正義に従って、部下を「怒って」みましょう。
人間臭い自分を晒して、エネルギーを注入してくれる上司を、部下は待ち望んでいるかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?