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強い真実性 映画『インスペクション ここで生きる』

インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)The Inspection上映日:2023年08月04日製作国:アメリカ上映時間:95分
監督 エレガンス・ブラットン
脚本 エレガンス・ブラットン
出演者 ジェレミー・ポープ ガブリエル・ユニオン ラウル・カスティーロ マッコール・ロンバーディ アーロン・ドミンゲス ボキーム・ウッドバイン

観たのに書くの忘れてたっ!

テーマが全然単純じゃないのがいいですね。
実話の強さだと思います。

作劇ならもっとシンプルな設定でシンプルなゴールに辿り着いたことでしょう。

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一番飲み込みづらいのは〝海兵隊〟ですね。。

海兵隊に入って人生のキャリア立て直しました!
仲間もできました!

って言われても、、戦争をする集団なわけで、、、
そこで「自分を確立しました!仲間ができました!」って言われても
どうしてもスカッと爽快な気分にはなれない。。

ある立ち場にいれば気持ち良くさせてくれるような映画ではない。
そういう映画ではない。

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この映画は監督の半生を映画化したもの。

ゲイであるということで
キリスト教の保守派の母から捨てられ、16歳からホームレスとして生きて、

貧困から抜け出すために選択肢が少ない中で
海兵隊に入隊して、
広報部でカメラを学び、大学に入ったり大学院に編入して就職して、今は映画監督になっている、
という信じられないような力強いサクセスストーリー。

強い真実性が、いろんなテーマが複雑に絡んでそのまま描かれるこの映画の芯になって観客の胸に刺さって取れない。

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優しくしてくれた上官を好きになっちゃう♪
(好きになっちゃうっていうかイケると思っちゃう)

っていうシーンの浅はかさも良かったですね。
この手の映画ではななかなか描かれないディティールかと思います。

「そういうコトじゃねえし、そういうトコだよ!」っていう。。

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〝個〟の話なんですよね。
別にこうやって生きましょうとか、これが正解、とか言いたいわけじゃないと思う。

自分の半生を描くことで周囲にある100近くの事象を描いている。

セクシュアルマイノリティであることを自分自身で受け入れるために海兵隊に入らなくていいし
他人に受け入れてもらうためにそのコミュニティの一員にならなくていいはず。

↑別にこれが正しいやり方だと言っている映画ではない。

これだけのことをしなきゃいけないくらいの困難なことだとは言えますね。

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