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ロキソプロフェンとアセトアミノフェンの違い


 解熱剤や痛み止めとして使われるロキソプロフェンや、アセトアミノフェン。どっちが強いの? 副作用はどっちが多いの? 何が違うの? というところからお話していきます😄


<基本情報>

商品名:ロキソニン® など
一般名:ロキソプロフェン
規格 :60㎎
剤形 :錠剤、散剤、貼付剤
分類 :NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)

商品名:カロナール、アンヒバ、アセリオ® など
一般名:アセトアミノフェン
規格 :50㎎、100㎎、200㎎、300㎎、400㎎、500㎎、1000㎎
剤形 :錠剤、散剤、液剤、坐薬、注射
分類 :アセトアミノフェン


<作用機序>

・ロキソプロフェン
 末梢に作用
 アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(COX)によりプロスタグランジンへと代謝される。このプロスタグランジンは痛み・炎症・発熱の原因となる。ロキソプロフェンはこのシクロオキシゲナーゼ(COX)の作用を阻害することで痛み・炎症を抑える

・アセトアミノフェン
 中枢に作用
 実は詳細はわかっていないが、主に中枢に作用し、痛みの閾値を上げる(痛みの耐用度を上げる)作用と考えられている。


<内服:用法用量>

・ロキソプロフェン
通常 1回 60㎎ 1日3回 最大180㎎
 ※適応によっては適宜増減あり

・アセトアミノフェン
通常 1回300㎎~1000㎎ 4~6時間ごと 最大4000㎎

<作用時間>

 飲み薬は通常内服して、胃を通り、小腸から吸収されて効果を発現するので、飲んですぐ効果が出るわけではありません。
 また内服量や個人差で作用時間は変わることをご了承ください。

・ロキソプロフェン
効果発現:おおよそ15分~30分
作用時間:平均7時間 解熱効果も4時間以上

・アセトアミノフェン
効果発現:おおよそ15分~30分 
作用時間:約4時間(2~6時間程度)


<強さの違い>

 ロキソプロフェン Vs アセトアミノフェン
 
 痛みは数値で判断することが難しく、投与量などでも異なるので、あくまで経験によるものですが、痛み止めとして強いのは👑ロキソプロフェンです。特に抗炎症という点ではロキソプロフェンが強いです。


<安全性>

〇禁忌
・ロキソプロフェン
1.過敏症
2.消化性潰瘍
3.重篤な血液・肝・腎障害
4.心不全
5.アスピリン喘息
6.妊娠末期

・アセトアミノフェン
1.過敏症
2.消化性潰瘍
3.重篤な血液・肝・腎障害
4.心不全
5.アスピリン喘息


〇副作用
・ロキソプロフェン
 
特に注意すべきは消化性潰瘍腎機能障害。NSAIDsは胃を守ってくれるPGも産生を阻害してしまうため、胃に負担がかかります。長期間内服している方や、お酒と一緒に飲んでいるなんて方は要注意! このためロキソプロフェンはレバミピドなどの胃薬と併用で処方されることが多いです。
 またロキソプロフェンは腎臓へ血液を送る輸入細動脈と呼ばれる血管を収縮させることで、腎臓に流れる血液が減少し腎機能が低下する。


・アセトアミノフェン
 アセトアミノフェンは比較的安全な薬です。禁忌に消化性潰瘍や腎機能障害はあるものの、ロキソプロフェンに比べるとかなり副作用としては少ないお薬です。また妊婦さんにも安全に使用できるお薬になっています。
 アセトアミノフェンで特に注意が必要なのが肝機能障害です。アセトアミノフェンは通常グルクロン酸抱合と呼ばれる方法で代謝されます。しかし、大量・過剰に内服、アルコール多飲者ではグルクロン酸抱合では処理しきれなくなり、CYPと呼ばれる酵素で代謝されると肝機能障害を引き起こすN-アセチル-P-ベンゾキノンイミン(NAPQI)が産生されます。


<値段>

・ロキソプロフェン錠60㎎
先発品/後発品:13.8円 / 5.7~9.8円

・アセトアミノフェン錠
先発品/後発品
アセトアミノフェン200㎎錠 6.2円 / 6.2円
アセトアミノフェン300㎎錠 7.2円 / 7.2円
アセトアミノフェン200㎎錠 8.2円 / 8.2円


<その他疑問>
Q1.ロキソプロフェンとアセトアミノフェン一緒に飲んでもいいですか?
答え:OKです。作用機序が異なるので一緒に内服して問題ありません。医療現場でも併用します。

Q2.市販で売っているイブとロキソプロフェン一緒に飲んでもいいですか?
答え:ダメです。作用機序が同じのため一緒に内服しても効果の増強が少ないうえに、副作用が発現しやすくなります。
・ロキソプロフェンと一緒に飲んではいけない市販薬一例
イブ、ナロキソン、バファリン(一部アセトアミノフェンの商品もあり)

・アセトアミノフェンは一応4000㎎を超えなければ内服可です。

※市販薬を買う時は薬局薬剤師にも一緒に内服できるか確認してください。

Q3.使用期限はいつまでですか?
答え: わかりません💦 基本的に古い薬は出していないと思いますが、薬ごとに使用期限は異なります。処方で出てから基本的には半年過ぎたら新しい薬をもらった方がいいと思います。


Q4.どの痛みに効きますか? 頭痛には効きますか?
答え:
 基本的にはどんな痛みにも効きますが効きやすい痛みと、効きにくい痛みがあります。ケガや骨折などの痛みはロキソプロフェンの方が効くイメージです。
 頭痛には効きますが、正直効きにくいです。ロキソプロフェンの方がアセトアミノフェンより効くとは思います。

Q5.錠剤が大きくて飲みにくいです。砕いてもいいですか?
答え:OKですが、苦みが出たりする可能性はあります。

Q6.医師から1日3回で10日分処方されたけど、3日で痛みがなくなりました。まだ飲み続けたほうがいいですか?
答え:基本的に解熱鎮痛剤なので痛みが治まったり、解熱した場合は無理に飲む必要はないと思います。痛みがないのに飲む必要はないですよね。
ただし場合によりあえて出していることもあるので不安な場合は処方されたときに確認しておきましょう😄

Q7.ご飯食べなくても飲んでいいの?
答え:
 できれば食後の方がいいです。それは消化器への負担軽減のためですが、頓服で処方されていて、短期で内服する場合は食後でなくてもOKです。

Q8.余った薬を家族にあげてもいいですか?
答え:
 ダメです!! もちろん一般的な薬なので大丈夫な場合がほとんどだと思いますが、詳しく知らない方が子供や妊婦さん、腎機能の悪い方にあげてしまう・・・なんてことがあったら大変です。

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薬剤師国家試験問題集

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