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病院薬剤師が足りない! 現状の不足と将来不足する県

こんにちは😌 病院薬剤師のいるかです。
今回は病院薬剤師の不足問題について取り上げていきたいと思います。

目次:

  1. 病院薬剤師の偏在: 数字で見る現状

  2. 不足の背景: 教育、キャリア、給料の問題

  3. 地域別の不足状況

  4. 解決策と将来の展望

  5. 薬学生と新人薬剤師へのアドバイス: 病院薬剤師になるメリット


1. 病院薬剤師の偏在: 数字で見る現状

 以前からも言われていたことですが、近年病院薬剤師の不足が深刻化しています。特に病棟業務やチーム医療の参加、医師のタスクシフトなども進み薬剤師の業務量増加仕事内容の多様化が進んでいる中での病院薬剤師の不足が問題になっています。

 厚生労働省の調査によると、目標偏在指標1.0に対し、病院薬剤師の全国ベースの偏在指標は0.80と不足しています。薬局薬剤師の偏在指標は1.08と目標を上回っていますが、病院薬剤師に関しては、2036年においても徳島県を除く全都道府県で不足が続くと予測されています。

2. 不足の背景: 教育、キャリア、給料の問題

 病院薬剤師の不足には、業務量の多さ、教育システムの問題やキャリアパスの不明瞭さ、そして給料の低さが関係しています。
 特に重要なのは業務量の多さに対する給料の低さが一番の原因ではないかと自分は考えます。薬学部が6年になり、公立・私立大学でもかなりの学費がかかります。奨学金を借りている学生も多くいると思われます。その中で給料が低いというのは病院の魅力を下げている要因です。
 また業務量の多さ、多忙さというのも学生が病院を死亡しない原因のいつでしょう。学生は5年時に病院実習を行います。その際に病院薬剤師の仕事(人数不足による多忙な状態)を見て、(私にはこんなこと無理・・・)と考えてしまう学生さんもいるでしょう。
 このように多忙・低給料が要因の一つ。そのうえで、ドラッグストアや調剤薬局の給料の多さも拍車をかけていると思われます。

 その他、病院自体に務めたが、あまり教えてもらえなかった。ほとんど調剤しかしていない病院だった。資格を取れる環境ではなかった。忙しくて資格を取っている暇がない。資格を取っても給料アップにつながらないなど様々な問題が存在します。

 これらの問題が、薬剤師としての魅力を損ない、特に病院での勤務を避ける傾向に影響していると考えられます。

3. 地域別の不足状況

 特に地方の病院では薬剤師の不足が顕著です。都市部と比較して地方の病院で働く薬剤師は少なく、この地域格差が医療提供の質に影響を及ぼしています。
 下記に最初にお話しした偏在指数の地域別TOP5を記載しました。

・不足地域 TOP5

  1. 青森県:偏在指標 0.55

  2. 秋田県:偏在指標 0.56

  3. 山形県:偏在指標 0.60

  4. 岩手県:偏在指標 0.65

  5. 宮崎県:偏在指標 0.65

・充足地域 TOP5

  1. 東京都:偏在指標 0.94

  2. 石川県:偏在指標 0.87

  3. 大阪府:偏在指標 0.92

  4. 兵庫県:偏在指標 0.89

  5. 北海道:偏在指標 0.86

 見ていただいてわかるように、なんと充足地域No1の東京都ですら1未満という結果です。不足地域では青森県など東北地方は不足しているようです。青森には青森大学に薬学部があるので意外ですね。

引用:厚生労働省 薬剤師偏在指標の算定について

4. 解決策と将来の展望

 解決策としては、なんといっても給料面でしょう。
 こんなお話を聞いたことがあります。病院薬剤師の給料が少ない。病院薬剤師の給料を上げてほしいと国に言ったところ、「薬剤師の給料は高い」と言われたと。これは病院薬剤師が、ではなくドラッグストアや薬局薬剤師がです。これと同じ理由で数年前に看護師の給料が少ないから上げようとなり看護師の給料アップがありました。その際も薬剤師には給料が高いから除外されるということもありました。
 まずは国、もしくは世間の薬剤師は給料が高いという認識を改める必要があるのかもしれません。看護師とお話していても、「薬剤師さんは給料高いんでしょ?」とよく言われます。
 また病院で薬剤師が診療報酬を得られる機会が少ないことも原因であり、診療報酬を上げるというのも解決策の1つだと思います。

 その他、教育プログラムの改善、キャリアパスの明確化など解決策の鍵となるでしょう。また、技術の進歩を利用した業務の効率化も不足を解消する一助となり得ます。

5. 薬学生と新人薬剤師へのアドバイス: 病院薬剤師になるメリット

 これらの話を聞いて病院薬剤師には魅力がないと思われたことでしょう。
 しかし病院薬剤師として働くメリットは多数あります。まず、臨床現場での直接的な患者ケアに関わることができ、医療チームの一員として重要な役割を果たします。薬局では触れる機会の少ない注射薬の知識や検査値などをカルテから見ることができます。また、病院では多様な症例に触れる機会があり、幅広い知識とスキルを身につけることができます。さらに、病院薬剤師の需要が高まっている現状では、就職機会が豊富であり、キャリアアップの道も広がっています。薬学生や新人薬剤師にとって、病院薬剤師としてのキャリアは、専門性を深め、医療業界での地位を確立する絶好の機会です。




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