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2022年振り返り

毎年恒例の振り返りです。

去年は転職という、ガラッと環境を変えることをしたので、新しい環境に慣れることにエネルギーを使っていた記憶があります。

今年は読書ペース戻せたり、ちょっと落ち着けてきた感があります。
さて、一応サラリーマンなのですが所属しているところの躍進は僕からあえて特筆するまでもなく、という感じなので、今年は個人でやったことについて振り返ってみようと思います。

ワ探インタビュー

去年の終わりくらいから、VRChatワールド探索部の部長のタカオミさんと一緒にVRChatのクリエイターにインタビューするという活動をしています。
まずは、インタビューに関わってくださった、すべての方に感謝申し上げます。

ソーシャルVRでの創作自体はこれまでに比べて表立って出てくることは増えたのですが、「バーチャル空間を使った表現・体験設計」というのは、まだまだ正道があるわけではなく、模索段階だと思っています。

Experience Designをされているsabakichiさんのこちらの記事が、バーチャル空間の体験設計の複雑さについて端的にまとめられています。

それを踏まえると、こうした黎明期に試みられたことを記録し、クリエイターたちが何を考えてつくったのかを残しておくことは将来的にも貴重だと思われます。

なので、このインタビューでは基本的にインターネット記事のセオリーである「文字数は抑えめに」をぶっちぎって、なるべく多くの情報量を残すことに努めています。
その分、記事のボリュームがどうしても大きくなって、なかなか数は出せていないですが、引き続き来年もこの方針でやっていきたいなとは思っています。

言葉に捉われない作品を生み出す――VRコンテンツクリエイターの"現在"「PROJECT: SUMMER FLARE」制作インタビュー

こちらは僕はがっつり関わったわけではなく、タカオミさん、三日坊主さん、Capさんがメインで聞き手になっています。
VRChatをやっている方なら一度は聞いたことあるかもしれない「夏」の作者であるヨツミフレームさんのインタビュー。

編集で少し関わっただけですが、「ジャンル」の話が特に面白いと思いました。ジャンル分けは人類の認知能力の拙さを証左するものなので。

バーチャル展覧会の空間に、なぜ「実在感」が必要だったのか?――バーチャル展覧会の"現在"「Shader Fes 2021」制作インタビュー

こちらはVRChat内で行われた「Shader Fes2021」のインタビュー。
ワールドを拝見して、つくり込まれた体験設計に感銘を受けたので、ぜひお話を聞きたいと思って、打診しました。特に僕は建築出身なので、そうした観点からワールドデザインについて重点的に聞きたいと思い、聞く内容としてもそっち寄りになっています。

momomaさんもLuraさんも大分前から存じ上げていたのですが(僕がVRAAを運営していたこともあって)、お話をしたことはなかったので、お声がけするときはドキドキでした。
インタビューの最初のお声がけって何度やっても緊張するんですよね…

「現実を切り取る技術」から新しいコミュニケーションや表現が生まれてくる――フォトグラメトリワールドの"現在"「VoxelKei × 龍 lilea」インタビュー

こちらはいろいろなフォトグラメトリワールドで知られるVoxelKeiさん、龍 lileaさんのインタビュー。
龍さんは建築とXRのコミュニティ「xRArchi」時代からVRAA運営まで色々ご一緒させていただいており、改めてお話を聞けて面白かったです。
実は前職の新建築のウェブ記事を見て、きちんとお話を聞いてみたいと思って、ご依頼した次第でした。

VoxelKeiさんは、かなり前からインタビューしたいと個人的に思っていて、ようやく念願かなったという感じです。

VoxelKeiさんはフォトグラメトリだけではなく、さまざまな体験設計をされています。
この記事ではフォトグラメトリがテーマだったのでそれが中心になりましたが、機会があれば別の切り口でもお話を聞いてみたいですね。

さて、ワ探インタビューをやるにあたって、僕は「VRChatをやっていない人にも伝わる文脈を取り出したい」という思いがあります。
それはソーシャルVRでの創作はリアル/バーチャル関係なく、広く興味深い試行や思索がなされているからです。そうした面白さをなんとかいろいろな文脈と繋げたい、というのが僕の動機です。

という意味では、このインタビューはこれまでのインタビューより、より強くリアルとの接続を意識したものになっています。
特に建築・都市分野の人に見てもらいたいという思いがあります。ただ、なかなか僕の発信力では届かない部分もあるので、そこは今後の課題ですね。

リアルを知るからこそ追求した「物理的に不可能な映像表現」ーーバーチャルクラブにおける映像演出の"現在"「CLUB REGULUS DELTA」制作インタビュー

こちらは僕がイベントを見れていないこともあり、タカオミさんのサポート的な立ち位置で関わらせていただきました。

ソーシャルVRのクリエイターの面白さの一部には、実はリアルではある分野の専門性を持っている人がいて、その人たちが協力し合うことでワールドやイベントがつくられていることにあると思います。

このインタビューでは、リアルのクラブに関わる人たちがバーチャルクラブに対してどのような思いを持っているかを聞けて、非常に興味深いインタビューになりました。

「VR」についてかんがえてみた vol.01

これは確か三日坊主さんの発案でやったものだったと思います。
これまでの「インタビュー」とは異なる形式で、まとめるのに結構頭を使いました。

インタビューって行き当たりばったりに見えて、インタビュアーとしては事前に入念にリサーチした上で話の筋書きはもうガチガチに固めています。その時点で、インタビューのベースラインは大方完成しています。
なので、インタビュー中にあまりにも話が外れた場合は、インタビュアーはその筋書きに乗せるように話を誘導していきます。
ただ、筋書き通りに話したからと言って面白くなるわけでもないので、インタビューでは、筋書きでベースをつくった上でインタビュイーからインタビュアーが想像もしてなかった話を引き出す、という逸脱とのバランスが非常に重要になります。

その観点で言うと、この記事ではファシリテーションをほとんど行わず、あるテーマについてひたすらしゃべり続けるという形を取ったため、そうしたインタビューの方法論がまったく使われていません。何が話されるかも分からないので、非常にスリリングでした。
そのため、まとめの作業では、いかに当日のニュアンスを残しつつ、話の内容を正確に伝えるかが肝になりました。

当日は4時間近く話していました(もっと話せたけど中断した)。その結果、ワ探インタビューとしては初の前後編になっていますが、実は最初の原稿の文字数は公開した記事の倍ありました。
そこから、削っていって読みやすくする、というのも重要な作業でしたね。

ちなみにvol.01ということはvol.02もあるはずですね?
乞うご期待です。

リアルとバーチャルの「梯子」をつくるーバーチャル空間を使った映像制作の"現在" 根本凪「タイニーグレープフルーツ」MV制作インタビュー

僕自身はアイドルやVTuberには疎くてほとんど知らないのですが、このインタビューでは「ミュージックビデオと、その外側」という、もともと興味を持っていた観点から、お話を聞きました。

ミュージックビデオというのは、年間でかなりの数が出ていると思いますが、個人的に映像表現としてはいろいろ試みられているのかな、と予てから思っていたので、そうした興味もありました。
ですが、建築出身の僕がミュージックビデオを制作している人とつながりがあるわけもなく…と思っていた折に繋がってしまうのもまたソーシャルVRの面白さですね。

僕自身はあまりソーシャルVRで交流できていないですが、このように、さまざまな分野のプレイヤーにお話を聞けるのは非常に楽しいです。

というわけで、今年のワ探インタビューは7本でした。
来年も引き続きやりたいし、せっかくなので物理本にしたいなあとふんわりと思っております。
来年も引き続きよろしくお願いします。

その他個人で

ブログ記事色々

すっかり自分の考えをしたためる機会をなくしてしまっていたので、今年はちょろちょろと書けました。
自分の思考のアーカイブでもあるので、来年はもうちょっと書いていきたいですね。

〈わたし〉をいかに生きれるか——公共とデザインに聞く、「公共」と「まち」

公共とデザインさんという、行政と一緒になってさまざまな活動を進める方々にお話を聞きました。
以前から記事を拝見させていただいたり、年代も近いので共感するところも多かったので、いつかお話を聞きたいと思っていた折に、機会があったので、お話を聞くことができました。

詳細はぜひ記事を読んでいただきたいとして、記事内で書かれている『プロジェクトをいかに「自分事」にするか』という視点はあらゆることに言えることだと改めて感じました。
この考え方は自分も常に持っていたいです。
来年も引き続き都市に関連していろいろな人に話を聞く予定で、既に収録済のものもあります。公開した際にはぜひ読んでいただけると嬉しいです。

小説すばる『「創造的都市」としての「ソーシャルVR」』

なんと文芸誌にコラムを書かせていただきました。自分でも驚きです。
依頼をくださった編集者の方は以前から僕の記事を読んでくださったみたいで、かつ特集が「都市」であったため、僕に依頼してくれたようです。

ソーシャルVR関連では名だたる発信者がいる中で、僕のような無名人にお声がけいただき、非常にうれしかったです。

あまり「都市」に引き寄せてソーシャルVRを考えたことはなかったのですが、せっかくの機会なので思索を巡らせ、都市の「集積性」「多様性」に焦点を当てソーシャルVRを論じてみました。
「クリエイターエコノミー」自体は語られているものの、実態としてそこで何が起こっているかというところまで触れた文章はあまり見たことなかったので、具体例としてゴーストクラブを挙げさせていただき、自分の中では良い感じにまとまったかなと思います。

物理本だしな…と思っていましたが、想像以上に多くの方の手に取っていただいたようで非常に嬉しかったです。
建築や都市の文脈からソーシャルVRの創作を分析する、ということは結構できる気はしているので、来年はそういう文章も少し書いてみてもいいかもしれません。

2023年

簡単ですが、2022年を振り返ってみました。
プライベートの限られた時間で、そこそこ文章は書けたかなと思います。
来年も引き続き文章を書いていこうと思っています。

また、まだ名前だけですが出版レーベル的なものを名乗り始め、活動を開始しています。
なので、来年は文章だけではなく本づくりにも積極的に取り組んでいければと思っています。

来年も粛々とやっていきたいと思っておりますので、皆様ぜひよろしくお願いします。
よいお年を~

サポートして頂いたものは書籍購入などにあて,学びをアウトプットしていきたいと思います!