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新NISA(つみたて投資枠)は、本当にネット証券がおすすめなのか?~メリット・デメリットを比較しよう~

2024年1月にスタートした新NISA制度。
これを機に投資をはじめてみよう!という方が急増しています。
地元の銀行で勧められたけど、ネット証券の方がお得なの?と疑問に感じている方、ぜひこの記事でメリット・デメリットを比較してください。

さて、期待の新NISA制度、簡単に言うと「投資で儲かっても、税金をとられない」制度でしたね。今回はそのうち、年間120万円まで(月々10万円まで)利用できる「つみたて投資枠」について、ネット証券(楽天証券)と地方銀行(A社)を比較してみます。

ただし、私自身が地方銀行の行員であることを、少し差し引いて読んでいただけますと幸いです(笑)


≪ご注意≫
本稿の内容は、私の所属する株式会社西日本フィナンシャルホールディングス、株式会社西日本シティ銀行の公式な見解ではなく、私の個人的な見解です。また、個別の金融商品やサービスを推奨するものではなく、営利を目的としたものではありません。

評価ポイント① 手数料(ネット銀行はお得なのか?)

この点について、大きな誤解があります。「つみたて投資枠」で購入できる投資信託の購入手数料は0円と決められており、この点はネット銀行も地方銀行も変わりはありません。

投資信託には、この他、「信託報酬」と呼ばれる残高に対して一定の割合でかかる手数料があります。最近は地方銀行でも、業界最低水準の「信託報酬」を謳う商品がそろっており、ネット証券と大きな差はなくなっています。

「ネット銀行の方が手数料が安そう…」「銀行だと高い手数料の商品を勧められそう…」というイメージは、誤解なのです。

評価ポイント② ポイント還元

楽天証券の場合、楽天カードで積み立てを行うと、0.5%~1.0%の楽天ポイントが付与されます。この点は、たしかに魅力的ですね!

ただし、少し注意が必要。1.0%のポイント還元は、先ほどの信託報酬(手数料)が高い商品に限られています。信託報酬が低い商品の還元率は0.5%です。ポイント目当てで手数料の高い商品を選ぶのは本末転倒ですよね。

一方、地方銀行では、NISA契約で取引ポイントがアップし、合計ポイントでATM手数料が無料になる等の特典を用意している銀行があります。取引先の銀行に確認してみましょう。

評価ポイント③ 対面での手続き・相談

地方銀行の方がメリットが大きい点は、対面で相談ができることです。
初心者はNISA制度を正しく理解し、たくさんある商品の中から自分にあった商品を選ぶのはなかなか難しいものです。
投資を始めた後のことも想像してみましょう。万一、大きく値下がりしてしまったようなとき、選択肢を示しながら適切なアドバイスをしてくれる担当者がいると心強いのではないでしょうか。
地方銀行の場合は、そういった「かかりつけ医」のようなサービスを期待できます。

評価ポイント④ Webでの手続き・情報提供

最近は、地方銀行でも、投資信託やNISA関連の手続きをWebやアプリで完結できる銀行が増えてきました。しかしながら、いわゆるUI/UX(画面の使いやすさ等)は、ネット証券にやや軍配が上がります。

また、お客さまのタイプ別にさまざまな情報をわかりやすく提供するなど、ネット証券の情報提供の充実ぶりはさすがです。

一方、地方銀行の場合は、「預金」と「投資」を1つの銀行アプリ等で管理できる点はメリットと言えるでしょう。

評価ポイント⑤ 積み立ての停止(簡単にスキップできるか?)

クレジットカードで積み立てを行う場合、この点が見過ごされがちですので、少し詳しく説明します。

例えば、結婚式の招待が続いて、「今月はどうしても積み立てをスキップしたいなぁ」と考えたとき、どうすればよいでしょうか。

まずは、地方銀行の場合です。
①引落日の数日前までに積立停止の手続きをする
②直前なら、口座の残高を減らしておく
で対応できます。もちろん、ペナルティなどはありません。

次に、ネット証券のクレジットカード払いの場合はどうでしょうか。
地方銀行と同様、積立停止の手続きは可能です。
しかし、すぐに引き落としを止めることはできません。
例えば3月15日に積立を停止したいと考えたとします。
この場合、3月27日と4月27日の引き落としを停止することはできません。
(楽天証券の場合)

万一、お金が不足してしまえば、クレジットカードが延滞となり、個人信用情報に傷をつけることにもなりかねませんので、注意しましょう。

詳細は、楽天証券のWebサイトをご参照ください。

まとめ(タイプ別におすすめはどっち?)

最後に、タイプ別にどちらがおすすめかコメントします。
簡単に言えば、投資初心者の方には「地方銀行」、投資経験が豊富でお金に余裕がある方は「ネット証券」がおすすめです。

タイプ① 投資未経験の初心者🔰の方

➡「地方銀行」がおすすめです。

投資の知識に自信のない方は、プロのアドバイスを聞いて、投資をはじめられてはいかがでしょうか。地方銀行であれば、担当者が親身になってお客さまに最適な積立方法を案内してくれます。

どの地方銀行もNISA口座の獲得に力を入れています。しかし、実は「つみたて投資枠」のみのお取引では、赤字なのです。それでも、「お客さまの将来の資産形成に向けてお役に立ちたい」「NISAを通じて、末永く取引していただきたい」との願いを込め、日々取り組んでいるのです。決して、手数料目当てではない点は、ご理解いただけるとうれしいです。

タイプ② 財布の事情によっては、積立を停止する可能性がある方

➡「地方銀行」がおすすめです。

クレジットカードによる積み立ては、ポイントがつくメリットがある一方、急に積み立てを中止できないといったデメリットがあります。
「簡単に積立てをスキップしたい」「柔軟に積立ての内容を変更したい」という方は、地方銀行の方がおすすめです。

タイプ③ 投資経験が豊富で、自身で投資判断ができる方(投資したい銘柄が決まっている方)

➡「ネット証券」がおすすめです。

投資信託や株式の投資経験がある方や、書籍等で制度や商品を勉強され買いたい商品が決まっている方は、ネット証券がおすすめです。
ネット証券では、専門的な情報もそろっていますので、ポイントなどのメリットを最大限享受しながら、知識アップを図っていきましょう。

タイプ④ 投資信託だけでなく、株式にも投資したい方

➡「ネット証券」がおすすめです。

今回テーマにした新NISAの「つみたて投資枠」では、投資信託のみが対象となりますが、「成長投資枠」は株式も対象にできます。
NISAは、1つの金融機関にしか申し込みができませんので、将来、株式にも投資してみたいといった希望がある方は、ネット証券がおすすめです。
(銀行では、株式の購入はできません)

おわりに

いかがでしたか?ネット証券のサービスは充実していますが、意外に地方銀行の方がメリットがあることもお分かりいただけたのではないでしょうか?
みなさんの実情に合わせた金融機関選びにお役立ていただけましたら幸いです。

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