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誕生日

ちょうど今日が誕生日なので、日記をはじめる。できるかぎりつづけるつもり。

33回目の誕生日は、起き抜けから頭痛。でもお出掛けしたかったので、日本橋高島屋の黒柳徹子さん×田川啓二さんのSU・TE・KI展へ。

田川啓二さんのご親族の着物は、豪華なのに品がよくて、しかも状態もよかった。財と粋、職人の技が揃うとこうなるのか、という感じ。あんなに美しいものを身にまとうってどんな気分だろう。護符のようでもあり、ときに自由には動きにくいような気もした。シノワズリの衣装は、栄華を誇るあつかましいほどのエネルギーと、柳のようなしなやかさ、繊細さがどちらもあっておもしろかった。

個人が集めた物って、偏っているからおもしろい。宝物を見せてもらうと、その人がどんな人だかなんとなく肌でわかる気がする。お二人ともみっちりと豪華なものが好きそうだ。

物も記憶を持っていると思うのだけど、お着物も帽子も鞄も、大事に扱われてきたよ、という顔をしていてそれもよかった。

そのあと、地下のジューススタンドで桃といちごのジュースを買って、大事に少しずつ飲んだ。酵素を摂ったら頭痛いのと気持ち悪さが治るかなと思って。そこまでしゃきっとはならなかったけど、新鮮なくだものの香りでちょっと持ちなおす。新宿に移動して、薬局で塩タブレットを買ってガリガリ食べたらさらに少しよくなった。昨日の猛暑で熱中症ぎみなのかもしれないし、お腹もすいてたのかもしれない。しゃべる元気もなくて、ほとんど目を閉じながら髪を切ってもらい、(いつもの人じゃなくて安いところに浮気。うまくカットしてくれるか心配だったけど、仕上がりはわりと大丈夫だった。すぐ伸びるからえりあしは刈りあげに。)

ルミネ1に寄って天然石のアクセサリーを見ていたら、スタッフの方に身につけていたネックレスを褒めてもらった。フランスのアンティークで、枝に小鳥がとまっている絵柄が樹脂のなかにとじこめられているもの。今日はシノワズリのものを見に行くから、揃えるつもりでつけていたので、気づいてもらえてうれしかった。

6時すぎ、山手線に乗るときにちょうど実家から電話がきた。お父さんが話す声よりも雑踏の方が大きくて、かけ直すねと伝えて切る。会社帰りのひとがたくさんの電車に久しぶりに乗る。また働くことになっても、通勤時間は短い方がいいなと思う。品川の改札前で知り合いの方に会って、お願いしていた航空券を受け取った。旅好きの方たちとこれから飲みに行くよと誘われていたけれど、頭痛くて辞退。たぶん軽い熱中症だと思う、といったら集まっていたなかの一人の女性が扇子でぱたぱた仰いでくれて、わたしも少しおどけて風にあたらせてもらった。20代のころはこうやって初対面の人たちと会って話すのが楽しかった。でもこれからは、新しくたくさんの人と出会うよりも、自分と、気の合う人と、より深く向き合うことに時間をつかいたい。

乗り換えの有楽町駅の前ではなにかの宣伝のための魚が泳ぎ(この日記のトップ写真はそれ)、すぐそばではサマージャンボを買う人が列をつくっていた。「発売は今日までですよ、宝くじは買わなければ当たらないものです」と女の人がアナウンスしているのを背中で聞きながら、「でも、宝くじが当たったら大きな家が欲しい、みたいなぼんやりした夢は真剣みが足りなくて叶いにくい気がするよ」とも思って列には並ばなかった。頭痛いし。

最寄り駅から少し歩いてケーキ屋さんに入ったけれど、もうあまり種類がなくて、コンビニでマンゴーの小さなパフェを買って帰った。ネックレスもピアスも外して、部屋着に着替えてから、実家に電話をかけなおした。お母さんに「誕生日おめでとう」といわれ、「こちらこそ産んでくれてありがとうございます」と軽くいい、「いえ、産まれてくれてありがとう、あ、あとお父さんがたくさん買ってきたからいつものお醤油送るね」ともっと軽やかにいわれた。

もう頭が痛いのはほとんど治っていて、おなかがすいていて、けっこう幸せだと思った。



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