福田フクスケ

編集&ライター。「週刊SPA!」の編集者やってます。構成に参加した本に、田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』、プチ鹿島『芸人式新聞の読み方』、松尾スズキ『現代、野蛮人入門』など。ご依頼は fukusuke611@gmail.com まで

【最終話】「母みたいになりたくない」娘たち――『あなそれ』は無理して結婚にコミットする不毛さをあぶり出した

●母のような“弱い女”を嫌悪する麗華の意地

『あなたのことはそれほど』が6月20日に最終回を迎えた。視聴率は自己最高を記録し、Twitterでの盛り上がりも好調だったが、2組の夫婦の顛末は視聴者の心に果たして何を残したのか。

まずは、有島(鈴木伸之)&麗華(仲里依紗)の夫婦から見ていこう。

麗華は置き手紙を残し、娘の亜胡を連れて実家に帰る。有島が電話をかけても、心のシャッターは閉店ガラガラ。

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【第9話】美都だけが思いっきり“人間してる”!?――正しい規範と正しくない欲望に引き裂かれる『あなそれ』の登場人物たち

●麗華の“正しさ”が皆美を追いつめ、凶行に走らせた?

前回、マンション中に「301号室の渡辺美都はW不倫の最低女。バカ女に制裁を。」という中傷ビラが撒かれる、ショッキングなラストを迎えた第8話。最終回直前にして、まだケレンみ溢れる展開をぶち込んでくるアグレッシブな姿勢には、シビれるばかりだ。

そして第9話、案の定マンション住人から好奇の目で見られる美都(波瑠)だったが、涼太(東出昌大)は「みっ

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【第8話】麗華を羨みながら嫉妬する隣人・皆美の闇――誰かの“正しさ”が別の誰かを追いつめるジレンマ

●自分を卑下する皆美にとって、麗華の“正しさ”は息苦しい

これまで、有島家の事情を何かと詮索しようとウザ絡みしてくるご近所さん、というサブキャラにすぎないと思われていた横山皆美(中川翔子)が、第8話では、彼女がドラマにとってきわめて重要なテーマを提示してくれる回であった。

家族で動物公園に出かけることになった有島(鈴木伸之)と麗華(仲里依紗)を、羨ましそうに見つめる皆美。有島が思わず社交辞令で

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【第7話】実は似た者同士だった美都と麗華――結婚相手は“なりたい自分”になるための道具!?

●都合の悪い現実から目をそらし続ける涼太&美都

妻に不倫されても夫婦仲の亀裂を直視しようとせず、問題をなかったことにして変わらず愛し続けようとする涼太(東出昌大)。妻の気持ちも自分の気持ちも麻痺させて突っ走るその言動は、はたから見れば人間の感情を理解しないモンスターに見える。そんな夫がほとほと怖くなった美都(波瑠)は、家を出て有島(鈴木伸之)に「逃げよっか、2人で」と提案する。

しかし、女性に

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【第6話】母親譲りだった麗華の“帰る港”戦略――わがままを言えない有島と麗華の暴走が怖い!?

●カメラワークがホラー映画!涼太のサイコスリラー演出

前回、涼太(東出昌大)が美都(波瑠)に不倫されても“怒れない”のは、自分がどう感じるか/どうしたいのかというモノサシを持っておらず、「お天道様」という世間の目に従って“誠実で優しく正しい夫”を演じる方法しか知らないからではないか、と書いた。だから、ひとたび「お天道様」が怒る=タガが外れると、これまで抑えてきたネガティブな感情が歪んだ形で暴走し

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【あなそれ第5話】“幸せ探し”が覆い隠す黒い感情――涼太はなぜ“お天道様”にこだわるのか

●“お天道様”がいなくなったとき、涼太の感情が暴走する

前回、美都(波瑠)の不倫をすべて把握していながら、「ずっと変わらず、君を愛する」ことを誓い、「これがぼくの、プレゼントです!」と張り付いた笑顔で言ってのけた涼太(東出昌大)。『シャイニング』のジャック・ニコルソンに負けるとも劣らないそのディープ・インパクト・スマイルは、早くも前半戦のクライマックスを迎えた趣きすら感じさせた。

妻が不倫をや

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