【ネタバレ注意】『マレフィセント』に描かれていたこと【備忘録】

見たばかりでまだ考えがまとまっていないし、ちょっと文章化する体力もないので、箇条書きで思ったことだけ書いておきます。あらためてコラムとしてまとめ直すかもしれません。

・魔法を使える妖精が自然と共生する世界(ムーア国)に住んでいた幼少期のマレフィセントは、「自由に空を飛べる翼」を持っていた

・ステファンは男性社会の権力闘争で勝つために、マレフィセントに「真実の愛」をちらつかせ、彼女から「自由に空を飛べる翼」を奪う

・薬を盛られて寝ている間に「自由に空を飛べる翼」をステファンに奪われるのは、男性からの性暴力によって女性が自尊感情を奪われる比喩か

・「魔女化」とは、自分の尊厳や能力、可能性を男性に奪われて、女性が憎悪にとらわれた状態に変化すること。
従来、魔女は全員、醜い老婆として描かれてきたが、彼女たちにも若いときはあったはず→どんな女性も「魔女化」する可能性はある(そしてそれは、加齢によって男からの性的価値が落ちることと密接に関係している)

・奪われた翼の代わりにマレフィセントに仕え、空を飛び回るカラスは、女性の中に持つ抑圧された「男性性」を外部化した存在(だから、マレフィセントの分身的存在でありながらカラスは男性として表象される)

・ステファンと王妃の間に生まれた娘(オーロラ姫)は、マレフィセントが裏切られたことと引き換えに生まれた存在であり、マレフィセントが断念させられた人生を代わりに許された「もうひとりのマレフィセント」

・マレフィセントがオーロラ姫にかけた呪いは、「私が果たせなかった幸せを叶えなさい」、ただしそれと引き換えに「私が受けたのと同じ苦しみを味わいなさい」というもの
=自分がされたことを繰り返させて娘の幸せの足を引っ張る毒親

・母性は先天的に生まれつきそなわったものでもなければ、血縁を根拠にしなければいけないものでもない。血のつながらない義母と義娘の間にも「真実の愛」は後天的に育むことができる

・「男に性的価値付けされる前の、まだ翼のないロリ=姫」と、「男に性的価値を搾取された後の、翼を奪われたババア=魔女」は、実は同じ1人の女性の引き裂かれた2つの姿。抑圧してきた男性を共闘して打倒することで、この2つは統合される

・ロマンティック・ラブイデオロギーや王子様幻想によって「姫」と「魔女」を引き裂いてきたディズニーの自己反省と自己批判が込められている

・フィリップ王子は、「ニコニコ笑うさわやかなイケメン」であること以外、本当になんの役にも立たないボンクラのモブキャラ扱い。オーロラ姫をときめかせ、ハアハアさせる存在(恋愛対象)ではあるが、「真実の愛」とはまったく無関係

・ステファンは、男性社会のインチキ自己肯定にとらわれるあまり、嫉妬や復讐心でおかしくなってしまう。これからは男性こそ「メンヘラ化」しやすいということの暗示か

・人間国の王妃(オーロラの実母)は、王位継承争いのトロフィーにされ、子供と引き離され、夫からも愛されず、放置されたまま病死するので、むしろマレフィセントより「魔女化」のおそれあり、というTwitterで見かけた指摘はもっともだ!と思った

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