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「医療中心主義文化」によって地域包括ケアは浸透しない

先日、ある地域の訪問看護部会に参加しました。

本来は50近く事業所がある地域ですが、今回の参加は15事業所で、私もこの3年続けて参加していますが、顔ぶれが大分変わりました。

管理者、もしくはそれに準じる人がどんどん入れ替わっています(この話は最後に繋がってきます)そして、どこの事業所も忙しく地域の部会参加もままならない状況です。

そんな忙しい訪問看護ですが、とどのつまり「少ない事業所で多くの利用者を抱えている」という状況ということです。地域包括ケアを進めていく上で事業所が足りていない、もっと言えば在宅で活躍する看護師が足りていないというのが実情で、その理由の一つに「医療中心主義文化」がというものがあります。


医療中心主義文化

この話をするとき、話は戦後の復興時期まで遡ります。

1947年、日本は医療制度の再構築を行い、いわゆる「医療法」が制定されました。医師の免許制度もこの時から始まり、医療制度が整備されて病院がその中心的な役割を果たす形となりました。

1961年に医療法が改正され、国民皆保険制度が導入されました。これにより、全ての国民が医療保険に加入することが義務づけられ、医療の普及とアクセスの向上が図られました。

特に医師や看護師などの専門職が高い社会的権威を持つようになり、彼らの専門性が重視されるようになりました。健康維持や予防医療よりも、病気の治療が注目され、その治療に係る社会保障費は高度経済成長によって許容され、より高度に、より専門的に進歩することが正しいという文化が出来上がっていったと考えられます。

病気を治すことにフォーカスした医療は、生活とは切り離された分野として制度が確立され、社会に浸透していきました。


膨大な社会保障費

ご存知の通り2025年には75歳以上の高齢者の割合が18%を超えてきます。社会保障費は益々膨れ上がっていくことが想定されていますが、これまで健康維持や予防医療に注力してこなかった世代ですから、多様な病気に罹患していくことでしょう。

未曾有の事態になると言っても過言ではなです。

国はこの状況を打開するために地域包括ケアを推し進めて来ましたが、医療中心主義が浸透してきたこの社会で、健康維持や予防医療が認識され、一人一人の意識を変えて機能していくには、まだまだ時間が掛かるでしょう。


求められる人材

医療従事者の多くは、医療と生活の間に明確な違いを持っています。医療の延長線上に生活があることを認識している人は少なく、別のステージと考えているので、病院と地域が連携して機能していくには、その仕組みを理解し、地域のリソースを把握して、利用者の生活に展開していく人材が必要です。

その中核的な役割を担うのは

  • MSW(メディカルソーシャルワーカー)

  • CM(ケアマネージャー)

そして、我々訪問看護に従事する医療職種です。MSW、CMの役割は明記しませんが、在宅におけるサービスの選定や調整を行うのが大きな役割です。

訪問看護は、特に医療依存度の高い利用者の在宅生活を支える機能を有しており、多くの事業者がある中で「医療保険と介護保険両方を扱う」珍しい業態です。

だからこそ、その制度を理解し運用していくためには、膨大な知識と経験がいるのです。冒頭の訪問看護事業所の管理者が入れ替わるのは、そういった制度の理解に難渋してしまうケースも多いです。私の事業所でもそれによって管理職を辞した人間はいます。

ですが、医療中心主義文化から地域包括ケアを深化・推進していくためには、そのような人材が必要だと考えてます。

もし、興味のある方がいらっしゃればいつでも連絡ください。私たちのグループは全国に訪問看護事業所を展開しています。


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それでは!

理学療法士
ふくちゃん

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