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なぜ今注目を集めているのか。福岡でも再増加する「寺院葬」

■福岡でも増加を続ける家族葬。一方でコロナ禍の経験から葬儀の大切さを実感する人も。

近年、葬儀においても低価格競争が過熱しています。
ここ数年で福岡でも家族葬が急増し、弔いの儀式を省略し通夜を行わない一日葬や火葬だけ行う直葬を選択する人も増えています。

これに拍車をかけたのが「新型コロナウイルス」の流行です。
コロナ禍では正しい知識が行き渡っていなかったため、葬儀を営まず、火葬だけを行う人が急増しました。
しかし、逆にそうした時期を経ることで別れの儀式の大切さを実感する人も増え、現在では家族葬が増えているものの葬儀を行う人の数はコロナ禍前まで回復しています。

■本堂を使った「寺院葬」が復権傾向に。

昭和では一般的に行われていた「自宅葬」や「寺院葬」ですが、住宅事情や地域コミュニティの希薄化などにより、昭和後期~平成にかけて葬儀会館で葬儀を行うことがスタンダードになりました。
それに伴い、葬儀はどんどん豪華になり、葬儀費用の高額化も進んできたのです。

しかし、平成後期~令和にかけて家族葬が全国的に急増。
その理由は「高齢化によって葬儀に参列する人が減った」などの少子高齢化、そして「豪華な葬儀に必要を感じない」といった葬送に関する意識の変化などで、それとともに「費用を抑えることができる」「近しい人たちに囲まれて温かみのある葬儀ができる」寺院葬も復権の兆しを見せるようになったのです。
 

■実は都心部では一般的なところも。注目を集める寺院葬の魅力。

意外なようですが、実は都心部でも寺院葬が現在まで継続して行われてきたところは少なくありません。
というのも都心のお寺では利用料を支払えば檀家でなくても葬儀が行えるところも多く、築地本願寺や増上寺といったお寺も檀家以外の方も利用可能。近くに葬儀会館が無い地域などはお寺を葬儀場所として活用することは自然なことだったのです。

寺院葬のメリットのひとつが「リーズナブル」であることです。
寺院葬はお寺の本堂で葬儀を行うわけですから、祭壇の設置料金が不要ですし、そのままでも装飾が華やかで、華美な花なども必要ありません。

また最大のメリットは寺院の本堂という最高の「ご供養の場」で丁寧に法要をしていただけること。
参列した人も、例え豪華な祭壇がなくても本堂のご本尊様に見守られながら葬儀が行われることに供養としての手厚さを感じるようです。

もう一つのメリットが参列者数に合わせて適切な広さに調節できること。
もちろん大規模な葬儀には不向きですが、50人前後の収容数であれば葬儀の規模を選ばず祭壇や席を自由に作ることができます。

■葬儀会社主体と寺院主体、寺院葬は2パターンある。

ひとことで寺院葬と言っても、会場として寺院を借り、葬儀自体は葬儀社が主体となって実施する場合と、寺院が主体となって取り仕切る場合の2つのパターンがあります。

葬儀社が主体となって行う場合は本堂でなく、お寺の檀信徒会館などを利用することも多く、葬儀のプロが取り仕切るためご家族や寺院の負担が少ないことがメリットと言えます。

とはいえ、病院へのご遺体のお迎え、ご遺体の管理、納棺などは葬儀社などの手が必要となります。寺院が主体となって行う場合は、こうした部分を葬儀社が担当し、その他は寺院側で行う分業制の形をとっているところが多いようです。
しかし、近年では寺院でご遺体の管理までできる設備を整えているところや、焼骨を終えたあとに葬儀を行うところなど、お寺単体で葬儀を行うところも増えています。

寺院の新たな展開と時代のニーズが合致した「令和の寺院葬」は、これからも増えていくのではないでしょうか。

大分県「金剛宝寺」の葬儀


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