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SF小説 『デューン』フランク・ハーバート著

大叙事詩

 『デューン 砂の惑星』("Dune")は、アメリカの作家フランク・ハーバートが1965年に発表したSF小説である。舞台は遠い未来で、砂漠の惑星アラキスで政治的陰謀と権力闘争に巻き込まれた青年貴族ポール・アトレイデスの旅を描く。

 この小説は、政治、宗教、エコロジー、人間の経験といったテーマを探求している。登場人物の複雑な関係、権力の争奪、環境や文化の影響などを掘り下げている。

 全体として、"Dune "は魅惑的な惑星を中心にし、独自の歴史、政治、宗教、生態系を持つ、詳細かつ複雑なSF世界を舞台に、人間の本質について複雑な探求を行い、これまで見たことのない宇宙を作り上げた。この広範な世界は、以下の点において完全に把握するのが難しい。

  1. 複雑なプロット:『デューン』とその続編のプロットには、複雑な政治的駆け引き、権力闘争、複雑な物語構造が含まれている。読者はストーリーを完全に理解するために、登場人物や出来事に細心の注意を払う必要があるかもしれない。

  2. 哲学的テーマ:政治、宗教、エコロジー、権力の本質など、哲学的、形而上学的な深い概念を掘り下げている。これらの考え方は熟慮を要し、すべての読者がすぐに理解できるものではないかもしれない。

  3. 濃密な散文:ハーバートの文体は、その密度と複雑さで知られている。読者によっては、彼の散文には複雑な文章や描写があり、注意深く読む必要があると感じるかもしれない。

 この長大な物語は、善と悪の戦いを描く単純な娯楽作品として書かれたものではなく、複雑な世界のシミュレーションであり、光と闇が入り組んだ文芸作品だ。ポールの覚醒は、他のSF作品に見られるような人類の幸せを約束するものではないし、結果として恐怖の帝国を築き上げてしまう。

 2004年の映画の最後で、ポールはスパイスの輸出を独占することに成功した。そして、スパイスなしでは活動できないギルドを完全に手中にし、結果として物資の星間輸送が制限され、多くの餓死者を出すことになった。それでも、アトレイデスは、他のほとんどのグレートハウスよりも人命を大切にしている。

オリジナル Dune シリーズ

 フランク・ハーバートが生前に出版したオリジナルの『デューン』シリーズは、以下の6つの作品です。

  1. 『デューン砂の惑星』"DUNE" (1965)

  2. 『デューン砂漠の救世主』"DUNE MESSIAH" (1969)

  3. 『デューン砂丘の子どもたち』"CHILDREN OF DUNE" (1976)

  4. 『デューン砂漠の神皇帝』"GOD EMPEROR OF DUNE" (1981)

  5. 『デューン砂漠の異端者』"HERETICS OF DUNE" (1984)

  6. 『デューン砂丘の大聖堂』"CHAPTERHOUSE: DUNE" (1985)

 この6作品の日本語訳は、1972~1987年に矢野徹訳で早川書房から出版されたが、デューン世界への知識がほとんどない当時の読者には、特殊な用語が多く、巻末に用意された用語集を使っても読み進むのは非常に難しいものだった。

 2024年3月現在、『デューン砂の惑星』から『デューン砂丘の子どもたち』までの作品が、酒井昭伸の新訳によって刊行され、現代の読者にとても読みやすいものになった。翻訳も、時代とともに見直されるのは、とてもいいことだ。

Expanded Dune Universe

 フランク・ハーバートが死去(1986)した後、息子のブライアン・ハーバートとSF作家ケヴィン・J・アンダースンが、『デューン』の前日譚を多数出版した。

Legends of Dune

  1. The Butlerian Jihad (2002)

  2. The Machine Crusade (2003)

  3. The Battles of Corrin (2004)

The Schools of Dune

  1. Sisterhood of Dune (2012)

  2. Mentats of Dune (2014)

  3. Navigators of Dune (2016)

デューンへの道 (Prelude to Dune)

  1. 『公家アトレイデ』Dune: House Atreides (1999)

  2. 『公家ハルコンネン』Dune: House Harkonnen (2000)

  3. 『公家コリノ』Dune: Housee Corrino (2001)

The Caladan Trilogy

  1. Dune: Duke of Caladan (2020)

  2. Dune: The Lady of Caladan (2021)

  3. Dune: The Heir of Caladan (2022)

Heroes of Dune

  1. Paul of Dune (2008)

  2. The Winds of Dune (2009)

  3. Princess of Dune (2023)

Anthology books

  1. The Road to Dune (2005)

  2. Tales of Dune (2011)

  3. Sands of Dune (2022)

Dune 完結編

 ブライアン・ハーバートとケヴィン・J・アンダースンは、フランク・ハーバートのメモの断片から『デューン』シリーズを完結させる続編を出版した。

  1. Hunters of Dune (2006)

  2. Sandworms of Dune (2007)

 オリジナルの6作品と合わせて、"Dune Chronicles" と呼ばれている。

 しかし、あまりに作品が増えすぎたのと、オリジナルの6作品とデューンへの道3作品以外は日本語訳がされておらず、日本の読者には非常に見通しが悪くなってしまった。

 デューン世界で年代順に作品を並べたものは、以下のリンクを参照してください。


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