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差別は消すのではなく越えるもの!過剰な多様性議論に一石を投じるトランス男性議員の一般質問

最近は、『芸能界の闇』といったニュースが目立ち、一時期に比べると、多様性関連のニュースが少なくなりました。(ブームにしたくないけど…)
その中で目立ったニュースといえば、アディダスの女性用水着広告ではないでしょうか?

広告が出た当初は「女性排除」といった否定的な声が多かったですが、『ABEMA Prime』でこのニュースを取り上げ、パックンことパトリック・ハーラン氏が
「このモデルが女性ではないと断言できない」
とモデルについて言及した(アディダスは、モデルのジェンダーを公表していない)こともあり、一気に沈静化したように感じられます。

米国映画の多人種起用や、ジェンダーレストイレなど、最近は、何か一つの多様性問題に働いた件に対し、別の多様性問題を掲げつぶそうとする動きが色濃くあるように感じます。
その議論は、本当に未来に対して有用なものなのでしょうか?それらの議論のせいで、多様性についての行動が制限されるのではないでしょうか?
そういった疑問が生まれた時、昨年12月に行われた、とある市議会議員の一般質問を見つけました。

■宮川議員について

東広島市議会議員の宮川誠子(みやがわやすこ)議員は、議員歴5期のベテラン議員です。いわゆるトランス男性(性自認は男性で体は女性)で公表もしていますが、彼自身、LGBTQを代表して議員になったつもりもないし、そこに焦点をあてられることが迷惑だと言っておられます。
(なので、この記事も不本意だと思われるかもしれない。ごめんなさい💦)
その中で、「当事者にしかわからない論点がある」という理由で、今回多様性問題をあえて取り上げたとのこと。

約30分の質問の全てが、気づきと納得の連続でした。お時間のある方は是非見ていただきたいです。(05:00頃から始まります)

■差別意識を乗り越えた人が豊かな人間性を持てる

宮川議員は一般質問の中で、いろいろな文献を用いて下記のことを訴えています。

社会にはあらゆる差が存在している(性別・障害・体の形・職業・地位・家柄・出生地etc)。どれ一つとっても同じものはない。だからこそ価値がある。(同じものがあれば替えがきくから価値がなくなる。)

いじめや差別がなくなれば、本当に平和で豊かな世の中になるのか。
たいした苦労をしないで暮らした人が、豊かな人間性を持っているかと問えば、答えは明らか。
苦しい思いや挫折、さまざまな苦労を経験して乗り越えた人が超人でしなやかな精神と豊かな人間性を持つ。

"差別"とは、違いを自分と他人、もしくは他人と他人を比べてそこに優劣をつけること。
"劣等感"とは、自分に対する差別意識。
差別意識(劣等感)は全員が持っている。それを超えてありのままの自分を受け入れることができた時、人は成長する。

以上、YouTubeより要約し抜粋

言葉を変えるなど表面的に隠すだけでは、差別はなくなるわけではない。自分の中に差別があることを知り、苦しみ、受け入れ、乗り越えることで、豊かな人間性をはぐくむのではないか、と提唱しています。

それを踏まえると、やはり、昨今の議論は、多様性を理解するためのものではなく、分断を深める結果になっているのではないでしょうか?
多様性を理解しあう世の中とはどのようなものか、それを実現するために何を行い、何を辞めればいいのか、その軸を中心に据えた議論が必要です。

■今は『多様性理解』過渡期

宮川議員は、
「失敗や成功は存在しない。あるのは経験だけ」
ともおっしゃられています。
これは、「思うは招く」の言葉で有名な植松勉氏をはじめ、ビジネスの世界でも広く言われています。

今は『多様性理解」の過渡期です。
今回のアディダスの広告が失敗だとは思いませんが、何度も挑戦し、経験を繰り返すことで、社会全体が成長し、安定期に移るのだと祈っています。

参考

宮川議員が、質問の中で出していた文献です。


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