数々の洋服たち

実家に帰ると、色々なことを頼まれる。たまにしか帰れないからと、こちらも重い体を引きずりながら応えていく。

まずはしばらく使っていないPCについて、インターネットに繋がらないとのこと。

慌ててルーターを確認すると、全て消えている。ムスメに動画を見るのをストップさせ、あれこれ探ると、ただ電源がオフになっていた。

どの位WIFIが機能していなかったのかわからないが、とにかく気づいて良かった。

すぐに入れ直して事なきを得る。

帰省中、WIFI環境がないまま使っていたらと考えるとゾッとする。

親孝行の前に自分にとっても良かった。

続けて、納戸にしまってある洋服の整理。

ムスメも年頃になり、洋服をたくさん欲しいと言いだした。だからと言ってホイホイと全て買ってやれるほどの財力は持ち得ていない。

ただ、今では考えられないかもしれないが、私は昔かなりの洋服好きだった。

都内まで特急電車で2時間弱の片田舎に住み、特に取り立ててレジャーもなく、市内の小洒落たお店には洋服を見に来る学生が集まっていた。要はおしゃれも一つの趣味のようなものだった。

当時、雑誌やテレビでしか情報を得ることができないため、私にとって雑誌は宝箱のような存在であった。

その中でも、今はなきOliveは愛読書。

パリのリセエンヌや都内の雰囲気を醸し出す読者モデルなど、別世界のようで、洋服だけでなく、映画や本、音楽に至るまで広い視野で、田舎の小さな世界観を打ち砕いてくれた。

当時、知った情報や影響を受けた映画たちは今の私の根幹になっていると信じている。

そんな中、おこづかいを洋服につぎ込み、気に入ったものを着ていても、

それ、どこどこで〇〇円だったよね、私も欲しかったんだ

と言われる始末。

結局は、少ない品数の中から、誰がそれを選ぶかというだけだった。

何か自分を値段で品定めされているような違和感を覚えた。

お気に入りの服を買えたにも関わらずスッキリしないまま着ていたこともあった。

明日に続く。


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