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ネズミーマウス奇譚

気がついたら尻尾が伸びていた。
といっても、自分じゃなくてネズミーマウスのぬいぐるみの。

天気が良くて、いつもはあまり掃除機をかけないところも掃除しようとして、
なんかヘンだなと思った。

仕事の取引先との忘年会のビンゴゲームで当たって、いらないというのに無理やり持って帰らされたときから、どう見ても1メートルは伸びてる。

持ち上げてみると、尻尾がだらんと垂れ下がった。べつに、ネズミーマウスが好きなけでもなく(なんで、そんなのが賞品だったのかよくわからない)、おまけに尻尾まで伸び始めたりしたら、もう捨てるしかない。


ゴミとして捨てるには結構な大きさだったけど、まあ、誰か欲しい人がいればもらっていけばいいのだ。

平日の昼間に、男がそこそこの大きさのネズミーマウスを抱えてゴミ置き場に行くのも、なんとなくイヤだったので、夜になってから置いてくることにした。

                *


いろんな張り紙がひらひらしているゴミ置き場にネズミーマウスを放り込み、部屋に戻ろうとすると、うしろから「ちょっと」というおばさんの声。

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