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もし桜の花に香りがあったら

とあるところで「桜の花って香りがないよね」という話になった。そう言われればそうだよな。

たぶん、最近のお花見事情についての流れからだ。千鳥ヶ淵のボートは外国人観光客の人気コンテンツで数時間待ちだとか(海外ではボートで花見ってないんだろうか?)、信州のお花見は基本的にのんびりしてるとか。

あ、なんでこの時期に桜とか花見の話してるかというと、信州のうちの周辺がいままさに桜満開だからです。

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個人的には、桜の下で飲めや歌えの大騒ぎをしたいわけでもなく、むしろ移動中に通りすがりの桜を愛でるだけでも、結構満たされたりする。

桜って、なんかアイドルとかミューズっぽいんですよね。華やかだし、咲いてるとその場所の空気とか色合いを変えてしまうし。

だから逆に、通りすがりに目にするくらいで調度いいのかも。なんなら「梅の花」のほうが、親近感を感じるしずっと佇んで見ていたい。その昔(江戸時代よりも以前)は庶民も貴族も桜の花見はメジャーではなく、花見と言えば梅の花だったって言うし。

もちろん、僕も桜の花が好きじゃないわけではなく、やっぱり桜の季節になると意味もなく20%ぐらい気持ちが明るくなるのは本当です。

で、ある人が「梅の花には香りがあるのに、桜の花には香りがないのが残念」と思ってたらしく、あーそういう考え方もあるなと。

でも、もし桜の花に香りがあって、それがすごく「いい香り」だったとしても個人的にはなくてもいかなと思う。だって、あの満開の桜から全部香りが放たれたとしたら(キンモクセイみたいな感じで)、まあまあむせそうな感じになりそうじゃないですか。

たしかに香りは物足りないかもしれない。でも、まあそれが桜の世界なんだろうな。無音のフィルム映像みたいに、静かに、だけどそこにはどこかの誰かの幸せそうな時間と光が流れてるみたいに。