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炭素繊維と宇宙エレベーター

炭素繊維の引張強度の最大値は18GPa(ギガパスカル)である。1平方ミリメートルの断面積あたり約1800kgのものをぶら下げられるということになる。

宇宙エレベーターとは、静止軌道上までワイヤーで繋がっていて安価に宇宙空間に物資を運搬できるものである。静止軌道まで重力が強く、離れるほど遠心力が働くので、バランスウェイトでバランスさせる。

重力が地球の40%である火星を考えると7万キロメートルものワイヤーが必要となる。重力と遠心力のバランスを解くと、長さ方向に断面積を変更する必要がある。重い材料は断面積変化を大きくしないといけないが、高強度で軽量な炭素繊維は2倍以内の変化で良い。一般的な炭素繊維の直径は0.007ミリメートルと0.005ミリメートルのものがあり、技術的にはそれを連続的に変化させるのも容易である。一般的な炭素繊維の製品は10キロメートルほどだが、その7000倍も現実的な範囲で可能であろう。綿製品のように短い繊維を紡いで伸ばすのは強度の面で大きなデメリットであることと、毛羽立って劣化するという観点から難しい。

炭素繊維7万キロメートルは、1メートルあたり0.1gとして7トンとなる。これで細い繊維を2000本ほど束ねたものとなる。一度にロケットに積み込める重量は10トンなので重量はここでも重要。一度、宇宙エレベーターの軸ができれば、繊維の本数を増やしていって運搬量も増やしていける。宇宙利用の進展に宇宙エレベーターは有効である。

ただし、瞬間最大の強度ではなく、工業的に安定した製品ができるかがポイントであり、今後の進展が待たれる。

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