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こころの玄界灘。

寝ていると、原稿の夢にうなされる。

玄界灘を渡って蒙古が襲来する夢にうなされるのではない。それは元寇だ。ぼくがうなされるのは書き途中の原稿で、いいアイデアが浮かぶ夢というより、余計なアイデアが浮かぶ夢であることが多い。「えーっ、あそこにそれ入れちゃう?」「そらおもろいかもしれへんけど、バランスめちゃめちゃになって、ほぼ全直しになるで」。こころのインチキ関西人が騒ぎ出し、どうするべきかうなされる。これがまあ、いちばん多いパターンの夢だ。

あるいはまた、夢を見ながら「ああ、でもこれ夢なんだよなあ。おれはいま眠ってるんだよなあ」と自覚できている夢、いわゆる明晰夢を見ることも多い。「ああ、けっこうおもろいアイデア思いついたけど、これ目が覚めたらぜったい忘れとるで」。こころのインチキ関西人が予見したとおり、目が覚めた瞬間に忘れる。その「ああ忘れるかも。覚えきれてないかも」の煩悶もまた、うなされるパターンのひとつだ。

今朝もしっかりうなされた。

それが原稿に関する夢であったことは覚えているのだけど、いったいどういう夢だったのかは、ちっとも覚えていない。

なんというか、起きてる時間のほとんども、そんな感じじゃないかという気がしてきた。具体的になにが、ってわけじゃないし、ひとつも覚えてないけど、なんかうなされてる。アイデアを求めてる。

さあ、もう少しだ、おれよ!