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5年に一度のこんにちは。

ふとしたきっかけで最近、ジンジャーシロップ熱が再燃している。

飴色の、ねばっこいジンジャーシロップを、マグカップの底が隠れるくらいにたらす。少し多めの牛乳を注ぎ入れたあと、濃いめに淹れた、熱々のイングリッシュ・ブレックファストでマグカップを満たしていく。かさではなく、色の変化を頼りに満たしていく。チャイというにはちょっと薄い、ミルクティーというには華やかでスパイシーな、ジンジャーミルクティーができあがる。猫舌のぼくにちょうどいい、急ぎの朝でもごくごく飲める一杯だ。明日もきっと、飲むだろう。

自分の性格から考えて、このブームも来月ごろには沈静化している。コーヒーを飲みたがったり、ペットボトルのお茶でごまかしたりする朝が、またやってくる。けれどもいま、自分がこの紅茶を愛している事実に変わりはない。プロフィールの好きな食べもの欄に「ジンジャーミルクティー」と書いても、うそとまでは言えない。


週末、何年かぶりに映画『サボテン・ブラザーズ』を観た。げらげら笑って、しっかり泣いて、やっぱりおれはこれが大好きだなあ、なんだったらもう、いちばん好きな映画かもしれないよ、と思いながら考えた。

ぜんぶのシーンが思い出だらけといっていいこの映画。それでも観たのはせいぜい10回くらいのもので、今回だって5〜6年ぶりに観た。今年のうちにもう一度観る可能性は高くなく、もしかするとまた5年や6年、観ることがないのかもしれない。

でもなー、ほんとうの「好き」ってそういうことなのかも、と思った。何十回も何百回も理解や愛情を確認しにいく「好き」ってのは、好きというより不安のあらわれなのかもしれないと。だってもう、『サボテン・ブラザーズ』にぼくは信頼しかないもの。


それとは別に、喫茶店なんかで(そんなにメジャーじゃないけれど)大好きなミュージシャンの音楽が思いがけずかかったときのうれしさって、あれはなんなんでしょうね。好きが多い人生、なにかとお得です。