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好奇心の正体

昨日、あるひとから「いい編集者の条件」について訊かれました。

じつはそのテーマ、何年か前にピースオブケイクの加藤貞顕さんと対談したことがあります。ぼくはこんな感じで5つの条件を挙げていました。
(1)原稿を受けとったら1秒でも早く返信する
(2)ほめ言葉は感情的に、直しの指示は論理的に
(3)ほめることに照れない。直すことにおじけづかない
(4)直しの指示は、答えではなく選択肢を提示する
(5)本を出したあとのアフターフォローをきちんとする

加藤貞顕×古賀史健(前編) 企画の入口と出口を考える(cakes)

加藤貞顕×古賀史健(後編) 信頼される編集者の条件(ckaes)

読んでいただければわかるように、これは「作家やライターから信頼される編集者」として挙げた条件です。もっと純粋な「いい編集者」の条件となれば、また違ったモノサシがあるでしょう。それで、いっちばん大切な要素はなにかというと、つまんない答えではありますが、やっぱり「好奇心」のひと言に尽きるような気がします。

「なにごとにも好奇心を持ちなさい」は、語られ尽くしたアドバイスです。そして、なぜ好奇心が大切なのか、好奇心が与えてくれる翼やアンテナについても、いろんなところで語られています。

一方、あまり語られていないように思うのが「どんなひとが、好奇心を持ち続けられるのか」という問題です。好奇心のことを、生来の気質や、天賦の才みたいに考えてしまっては、議論はそこで終わってしまうでしょう。

好奇心を持ち続けるために、ぼくが大切にしたいと思っている要素は、大きくふたつあります。

ひとつは「向上心」。これはとっても理解しやすい話だと思いますが、いまよりもっとよくなりたい、もっと前に進みたい、という健全な向上心を持つひとには、おのずと好奇心が芽生えてくるはずです。

そして健全な向上心を支える要素はなにかといえば、「敬意」なんじゃないかと思うんです。

周囲のひとたちに対して、作品に対して、あるいはプロダクトに対して、素直な「すごいなあ」を感じられるひと。「みんな、すごい」を前提に生きているひと。向上心があっても、まっとうな敬意を持ち合わせていないひとは、いつか好奇心も失ってしまう。なんとなく、まわりを見ていてそんな気がしているところです。


こどもたちは、「もっともっと!」と「すごいなあ!」を両の手に持ち合わせてますよね。