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糸井重里の「自伝のようなもの」。

そもそものきっかけは、「NewsPicks」さんでした。

たしか昨年の春くらいだったでしょうか。ソーシャル経済ニュースメディア「NewsPicks」の編集者さんから、糸井重里さんのもとにひとつの取材依頼が入りました。それは「イノベーターズ・ライフ」という、半生を振り返りながら仕事観や人生観を語っていただく長期連載企画。ここからは伝聞になってしまうので事の真相が定かではないのですが、企画趣旨を聞いた糸井さんはふと、「古賀さんが取材してくれるのなら」と答えてくださり、取材がはじまりました。

取材と執筆がおわり、「NewsPicks」での連載も無事に終了したあるとき、こんどはほぼ日の永田泰大さんからご連絡をいただきます。「あの糸井のインタビュー、本にできませんか?」と。

えーっ! だったらがっつり追加取材をして、ボリュームたっぷりの決定版にしないと。あわてるぼくを制するように、永田さんはいいます。「いや、あのコンパクトさがいいんです。短くまとまっていて、さらっと読める軽さが、おもしろい。ちいさな文庫本にぴったりだと思います」。

結果、2度の追加取材をセッティングしていただき、連載時から大幅に加筆修正してできあがった本が『古賀史健がまとめた糸井重里のこと。』です。(※文庫化をご快諾いただいた NewsPicks のみなさま、どうもありがとうございました)

文庫本であること。200ページに満たない軽さであること。そしてなんといっても、キューライスさんのポップなイラストをあしらったデザインであること。編集者・永田泰大さんのすばらしいコントロールによって、なんとも不思議で魅力的な一冊が生まれました。「NewsPicks」掲載時に読んでいただいていた方にも、きっとよろこんでいただける本だと思います。本日発売になりましたので、ぜひお手にとってみてください。

さて。ここでぼくは考えるわけです。

まさか自分が糸井さんと名前を並べて本を出すことになるなんて、考えもしなかった。糸井さんの「自伝のようなもの」を書く機会が得られるなんて、予想だにしなかった。ほっぺたをラジオペンチでつねってやりたいくらい、信じられないことだ。

それはもちろんそうなんだけど、いまでも夢のようなお話なんだけど、だからといって「それ」ばかりじゃないはずだよな、とも思うのです。ほんとにこんなことが実現するとは思ってなかったけど、それでもぼくは「こっちのほう」をめざして歩いてきたはずだよな、と。


いま、糸井さんやほぼ日のみなさんとお仕事したり、おしゃべりしたり、あそびに出かけたりしながらぼくは、ほんとうにたのしい毎日を送っているのですが、そういう毎日もどこかにつながっていくのだろうなあ、という淡い予感があります。そしてそれは、とても気持ちのいい予感です。

本日6月6日は、ほぼ日にとって20回目の創刊記念日。きのう糸井さんとお話していたのですが、じつはぼくがフリーのライターになったのも同じ1998年なんですよね。豊洲でおこなわれたフジロック(第2回)の、たしか翌週くらいに会社を辞めたのでした。だから20年という時の長さと短さが、なんとなくわかるつもりです。

糸井さん、ほぼ日のみなさん、20周年おめでとうございます。これからも、ぼくらをたくさんたのしませてください。

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そして明日からはじまる「第3回 生活のたのしみ展」では、note×ほぼ日の連動企画として「古賀史健がまとめた生活のたのしみ展の人びと。」という特設コーナーを運営していきます。

きのうから記事をあげはじめているので、よろしければ読んでみたり、気にしてくれたり、フォローしたり、「スキ」を押したり、シェアしたり、いろいろしてやってくださいませ。